Acoustic Asturias「Marching Grass On The Hill」

というわけで、とりあえず最近聴いてるアルバムとかを書きます。

Marching Grass On The Hill

Marching Grass On The Hill

  1. WATARIDORI (5:01)
  2. Marching Grass On The Hill (7:34)
  3. 紅江 (4:30)
  4. Waterfall (6:04)
  5. Classic Medley (7:35)
  6. Coral Reef (5:18)
  7. 神の摂理に挑む者たち (3:52)
  8. Bloodstained Roses (6:56)
  9. Rogus (8:35)
  10. Luminous Flower (4:21)
  11. Adolescencia (New Mix) (4:27)
  12. Woman of Ireland (4:38)

日本のマイク・オールドフィールドとも呼ばれる多重録音インストもので知られるアストゥーリアス(ASTURIAS - Wikipedia)が、最近アコースティック編成で再始動させたその名もアコースティック・アストゥーリアス、通称アコアスの1stフルアルバム。

私見では、どう考えても名盤。

一曲目WATARIDORIの、静かで落ち着いたゆるやかな演奏から、ヴァイオリンの旋律が急速に立ち上がる二分ほどで、私はそういう印象を持った。

このバンドは室内楽編成というやつらしく、メンバーはガットギター大山曜、ヴァイオリン伊藤恭子、ピアノ川越好博、そしてクラリネットorリコーダー筒井香織の四人。最初の三人だけだと割と良く聴く感じのクラシカルな音に聞こえるのだけれど、そこにクラリネットが入ってくると、とても懐かしいというか、素朴な印象が出てくる。それが全体の雰囲気を決定づけている。クラシカルだけれど素朴。高尚ぽいけれど牧歌的。

癒し系プログレなどと呼ばれたりもするので、ヴァイオリンやピアノやらできれいなメロディがBGM的に流れるもの、という先入観を最初私も抱いていたのだけれど、いざ聞いてみると、メロディの美しさもさることながら、美しいだけではなく、躍動感あふれる演奏になっていて、少しも退屈しない。

帯にはライトクラシックファン、プログレファンにお勧め、みたいなことが書いてあって、「ライトクラシック」ってなんだ?、とは思ったけれど、音を聞いてまあ、なるほどな、とは思った。クラシック的だけれど、そこは自他共に認めるプログレファンである大山氏なので、どこかロック的なダイナミズムがある。

しかし、このアルバムが一番アピールするのは、ゲームミュージックリスナーかも知れない。単に私の音楽的無知のためかもしれないが、このアコアスの音楽を聴いて即座にゲームミュージックに似ている、と思った。実際に、過去に大山氏が提供したゲームミュージック用の曲が、いくつか再録音されているようだし、Coral Reefは、確かLamentoというゲームにアコアスの演奏がそのまま使われている。そして、いま、大山氏はエロゲーメーカー、ニトロプラスなどの楽曲にかかわっているZIZZ STUDIOというところに所属しているらしく、ニトロのゲームにしばしば楽曲を提供している。

それはそれとして、このアルバムを聴いていると、非常に視覚的なものを想起させられる。そしてその光景はどこかゲーム的(あるいはファンタジーRPG的)でもある。特に印象的なのはRogus。これは実際にローガスというゲームに使われた曲であるせいか、勇壮さとクラリネットの音色による牧歌的な印象があいまって、草原を駆け抜けるような情景が浮かぶ。7の神の摂理に挑む者たちと並んで、特に私の好きな曲。この二曲の躍動感と美旋律はすばらしい。

全体に、上記のようなダイナミックな曲と、ゆるやかな癒し系的な曲が相互に並んでいる。また、三曲目の紅江は唯一のヴォーカル曲で、いとうかなこが歌っている。これがまた非常な名曲で、ヴァイオリンの音色が卑怯なほど泣いている一曲。


このアルバムを聴いて、すぐに今購入可能なアストゥーリアスのアルバムを注文したのだけれど、初期エレクトリック時代のCD三作はすべて入手不可。再販を待つしかない状態。そのうちまた再発されるだろうとは思うけれども。