- アーティスト: マウロ・パガーニ
- 出版社/メーカー: ディスク・ユニオン
- 発売日: 2004/11/19
- メディア: CD
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プログレで民族音楽といえば、これもかなり有名なアルバム。一般には名盤中の名盤として評価が高い。聴いてみて、相当の名盤だと言って良い作品だと思う。
マウロ・パガーニはイタリアの名バンドPFM(とはいっても私はPFMはぴんとこなくてあまり聴いていない)でバイオリンやフルートを担当していた人物。これはPFMを脱退したマウロ・パガーニが発表したファーストソロアルバムで、邦題の通り地中海の民族音楽を自分なりに研究したものらしく、民族音楽とジャズやらのミックスされたものだという。民族音楽といっても、ロック的ダイナミズムもあり、またプログレ的な演奏の応酬があったりとそういったリスナーにもアピールする作品だろう。
一曲目から激しい演奏に引き込まれる。リズミカルなバイオリンによるリフレインが印象的で、メロディも非常に民族的なものを思わせる。オーボエやバイオリンの狂騒的なソロがまたすさまじい。つねにテンションが高く、アッパーなまま突き抜けるアグレッシブな一曲。
二曲目は中近東を思わせる女性ヴォーカルをメインとした曲。ブズーキ、バイオリン、オーボエ等のシンプルな楽器編成で、アコースティックな一曲。ブズーキはギターの一種(というか、リュート族の一種、という方が正確か?)で、アコギに似た音を出す。
三曲目はパガーニのバイオリンのみによるインスト。PFMはクラシカルな印象だったが、ここではそんな雰囲気はみじんもない、かなり奇っ怪な演奏を披露している。土着的というのか、そういう迫力が感じられる曲だ。
四曲目はバイオリンによるメロディアスなオープニングを持つミドルテンポの曲。途中でエレクトリックギターがソロを取る。わりと落ち着きのある綺麗な曲。
五曲目はイタリアのバンドAreaの超絶ヴォーカリストとして知られるデメトリオ・ストラトスが参加した超絶ジャズロック。ピアノに、不気味なヴォーカルが乗るイントロからしてかなりクセの強い曲だが、途中のソロパートでは、バイオリン、ヴォーカル、ピアノ、ベースなどとソロを回していくのだけれど、バイオリンのソロは笑ってしまうくらい超速だし、ヴォーカルが楽器と並んで詞のない歌でソロに参加するというのもすさまじい。
六曲目は中近東的なパガーニのフルートが前半を占める。フルートがフェードアウトすると、突如エスニックなパーカッション群がリズムを刻み始める。そしてバイオリンがうなる。バイオリンはやはり民族的な土臭いアグレッシブさを持った迫力ある演奏。音色の美しさよりも激しさを重視。
七曲目はアコギとブズーキのデュオ。わりとテンションの高い演奏だけれど、音色の美しさもあって、攻撃性はほとんどなく、落ち着いた雰囲気を醸し出す。
ラストは五曲目のパート2と題されている。メロディは共通でテンポも落ち着いていて、パート1の超絶ぶりとは対照的。デメトリオ・ストラトスのヴォーカルはやはり存在感がある。静かにフェードアウト。
全曲名曲の名盤。PFMファンであるとかそういうのは関係無しに、民族音楽に興味があるとか、アクの強い音楽が好きだとか、ジャズロックファンとか、バイオリンが好きな人とか、とにかく変なものが好きとか、そういう人に強く勧めたい一作。まあ、そういう人はすでに聴いているだろうというくらいには有名な作品ではあるのだけれど。