Flairck - Variaties Op Een Dame

まえに紹介したボックスセット「Oeuvre」収録、フレアークファーストアルバム。1978リリース。ギターのErik Visserを中心に結成されたバンドのようで、たぶん弟でアコースティックベースギターなどのHans、パンフルート、バンブーフルートなどの笛系のPeter Weekers、バイオリンなどのJudy Schomperの四人編成。あと最終曲のみにヴィブラフォンマリンバ、グロッケン、ゴングで参加のFred Kremsがいる。

と書いてみたが、ブックレットがオランダ語なので、確実なことはいえない。バイオリンはVioolと書いてあるし、Mandolaやtwaalfが何の楽器だかわからない。

ちなみにタイトルを直訳すると、「Variety on a Lady」となる。

一曲目はフルートの響きが叙情的な静かなトラッド。

二曲目はライブの定番とのことで、のっけからアコギベースのうねるフレーズのうえをフルートが早いパッセージをリフレインするアッパーなオープニング。アコギも激しいカッティング。いったんブレイクするとバイオリンとフルートのユニゾンとなる。以降もイントロでの主旋律を反復しつつスピーディなアンサンブルを見せつける。バイオリンがソロを取りつつフェードアウトし、小鳥のさえずりが聞こえてくると、またもやイントロのような静かなパートに移行し、フルートとバイオリンの緩やかなトラッドになる。そして、静かなパートを切り裂くようにバイオリンが鳴り、またもやハードなアンサンブルパートへ。かなり格好いいスピードトラッド。フルートの叙情とバイオリンの優美なスピード感がすばらしい。

三曲目は穏やかだがどことなく夜の雰囲気を漂わせる曲。特に印象的なメロディがあるわけではなく、雰囲気を作る曲。こういうのは説明が難しいな。

四曲目は穏やかだがもう少しメロディ主導で、中盤からまたもやスピーディなアンサンブル。叙情的な美旋律をハイスピードで奏でるフレアークの特徴が良く出ている。終盤の格好良さは格別だ。

五曲目はアナログレコードB面を占める大作。物悲しい緩やかな旋律から始まり、一転盛り上がり、また静かに、ということをそれなりに繰り返した後、十分くらいから目の覚めるようなアコギベースがうなるハードなパートが始まる。トラッド的と言うよりはクラシックよりな印象もあるダークかつ切迫感ある演奏だ。続くパートではベースのパターンのうえをフルートがフリーキーなソロを取る。ラスト、叙情的なメロディをどんどん速度を上げていったり、ちょっとユーモラスなエンディング。クラシカルだったり叙情的だったりと多彩で、中盤からのハードな盛り上がりはかなりのもの。

追記
ラスト六曲目の存在を忘れていた。一分半のアコギによる軽快な佳曲。

やはりこのバンドはアコースティックオンリーのほうが魅力的だ。アコースティック楽器の美しい音色による、叙情的でトラッドな旋律を、すさまじい演奏でぐいぐい引っ張っていくアンサンブルは驚愕と同時に感動的。良いバンドです。これ、まだあと二十枚あるんだよね。このクオリティで続くなら驚異的なコストパフォーマンスだ。