The Yardbirds - Roger the Engineer

さて、ブログを毎日更新するというのにもなかなか疲れてきましたが、まだもう少しは続けてみます。今日はジェフ・ベック関連The Yardbirdsのセカンドアルバムロジャー・ジ・エンジニア。1966リリース。

ジェフ・ベック在籍時の唯一のスタジオ録音アルバムで、ヤードバーズで一枚というときにはこれが挙がることが多い。1stは全曲カバーのライブということで比較にならないのだけれど、アメリカ編集盤の「Having a Rave Up」と比べてみると、音の作り込みというか、緻密さと密度がぐっと上がった印象で非常に完成度が高いアルバムだといえる。

ただ、クオリティの底上げはなされたものの、キラーチューン不在という印象がぬぐえず、地味なアルバムに聞こえることも確か。ヤードバーズにはシングル曲で発表した優れた曲が多数あるのに、アルバムに収められていないので、オリジナルアルバムは初めてヤドバを聴こうという人には訴求力が薄いし、かといってマネージャーが何度も替わり音源の権利を持つ人間が複数いるため、決定的なベストを作れないというハンデがあり(全時代を網羅したベストも最近出たらしいが)、そこらへんがヤドバが名前だけ知られたバンドになっている原因でもあるのだろう。

上記編集盤にあった「ハートせつなく」とか「トレイン・ケプト〜」などのシングル、あるいはこの盤のボーナストラックのベック・ペイジツインリードの貴重な二曲は演奏もそうだが、歌としての魅力が際立っているのに、そういう曲に限ってオリジナルアルバムに入っていないのはなんとも歯がゆい限りだ。

個人的に、聴きやすさや好みの曲の多さでは編集盤「Having a Rave Up」の方が好きだという結論。

1.Lost Women これは「Having〜」収録のデモ「Someone to Love」の完成版。サミュエル・スミスのベースが格好いい。

8.Jeff's Boogie BBAのライブでも演奏していたベックの名を冠したギターインスト。チャック・ベリーのカバーでもあるらしく、メリーさんの羊が挿入されるユーモラスで軽快な佳曲。ギターが聴きたいならこれ。

11.What Do You Want 編集盤にも収録されていたものの歌がきちんと載せられたもの。ギターが格好いいのは変わらず。インスト版もよかったがこれも良い。

曲紹介が簡素になったけれど、実はどの曲も結構面白いっちゃあ面白い。どの曲も水準以上の完成度で聴いてて退屈するようなのはないのだけれど、これといってインパクトに欠ける感じ。グレゴリオ聖歌を取り入れた独特の暗い曲とか、実験的な要素もあるが。

で、やはり核心は以下のベック・ペイジのツインリードの二曲。

Happenings Ten Years Time Ago これはかなりの名曲。ギターのリフも格好良いし、歌メロの良さもヤドバの曲全体のなかでも際立っている。それまで聴いてきたアルバム本編を食ってしまうような曲。

Psycho Daisies これもハードなギターがリードする佳曲。

ツインリードといっても過剰な期待は禁物だが、クリス・ドレヤがサイドギターをやっていた時より、アレンジに幅が出たような気がしてなかなか良い感じ。

Yardbirds - Happenings Ten Years Time Ago

映像はツインギターではないが、名曲に変わりなし。