Jeff Beck Group - Beck-Ola

Beck-Ola (Exp)

Beck-Ola (Exp)

ジェフ・ベック・グループの第二作、「ベック・オラ」1969リリース。タイトルがどういう意味かはわからないが、サブタイトルに「コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)」とある。ジャケットは見ての通り、マグリット

メンバーはドラムをトニー・ニューマンに変え、ピアノのニッキー・ホプキンスが正式加入となる。

レコーディングに時間をかけられなかったためか、収録時間が31分と短いが、バンドアンサンブルのヘヴィさは前作以上の密度で、ほとんどがカバーだった前作と比べ楽曲のクオリティも上がっている(というより、音楽性に合わせた楽曲を作った、ということなのかも知れない)と思う。とはいえ、1と4のカバー曲もアレンジの良さもあってか、アルバム中白眉の出来だ。

前作と異なる点はよりピアノが効果的にアンサンブルに絡むようになったところだろうか。それも併せて、演奏というか楽曲が全体に底上げされている印象。よりハードロック的になった。

1.All Shook Up カバー。アルバム劈頭を飾る一曲だけあって、爆音のアンサンブルが炸裂するハードな一曲。ピアノも効果的で、ギターも前作以上に弾いている。後半、サウンドエフェクトみたいな奇怪な音を出すギターが聴ける。

2.Spanish Boots 多重録音されたギターが縦横に動き回るのが聴き所のこれまたハードな一曲。

3.Girl From Mill Valley 新加入のニッキー・ホプキンス単独作曲のピアノ曲。ピアノとベースのみの演奏で、センチメンタルなインスト。

4.Jailhouse Rock カバー。いかにもロックンロールといった曲調ながら粘るリズムが加わることでJBGらしい演奏に。冒頭のギターを弾きまくるベックはかなり格好いい。また、その後にピアノを弾きまくるホプキンスも。かなりノリのいい曲。

5.Plynth 珍しくギターリフがリードする一曲。このアルバムの中でも特にギターが前面に出た曲。

6.The Hangman's Knee ミドルテンポの重ったるい曲調、粘付くリズム、ギターは結構ばりばりに弾いている。

7.Rice Pudding 冒頭のハードな切り込みがすごい、ほとんどハードロックそのものな一曲。インストが続いた後ピアノのソロに移行し、ラストにまた冒頭のハードなアンサンブルが戻ってくる構成。ラストのぶつ切りっぽい終わりがまた唐突。

8.Sweet Little Angel B.B.キングのカバー。これはボーナストラック。スタジオライブ的にレコーディングされたらしいアウトテイク。本編収録曲と比べて明らかに曲調がファーストよりで、アルバムイメージと噛み合わないと見なされたのだろうか。持っているのは輸入盤なので、いまいち曲の素性がわからない。

9.Throw Down A Line これもアウトテイクかな。これもカバー。特にシングルB面曲というわけではなさそう。歌は良いのだけれど、ハードな曲中心のアルバムにはそぐわない、ということか。

本編収録曲の別テイクはどちらもまだ軽い感じがあり、発展途上な印象がある。

ジェフ・ベック・グループとしてはこの後にもう二枚アルバムがあるわけだけれど(未聴)、本来はこの次に、よりリズム隊を強力にしたベック・ボガート&アピスが来るはずだったわけで、そう考えると、そのサウンドコンセプトのつながりがよくわかる。また、BBAはソウル色が強いというあたりは、黒人音楽の影響が知られる第二期ジェフ・ベック・グループとのつながりもあるのだろう。じゃあ、第二期JBGを経ずしてBBAを結成していたらどんな音だったのか、というのは少し気になるところではある。

まあ、このバンドはいわば、裏レッド・ツェッペリンなんだろう。

というわけで、そろそろレッド・ツェッペリンをファーストから改めて聴いてみようかなと。ベストとかライブとかは聴いてるけれど、オリジナルアルバムをきちんと聴いてはこなかったので。


昨日貼り忘れたジェフ・ベック・グループのShapes Of Things