Flairck - Flairck & orkest


オーケストラと共演した模様を収録した企画盤。1982年作*1

前作での五人編成に加えて、オーケストラとNelleke Burgというシンガーを加えた大所帯でのライブを録音したもので、アナログA面にはアンデルセン童話「The girl and the bird」を下敷きにした「Anders dan Andersen (Different to Andersen)」という、六部構成の組曲を、B面には第二作「Gevecht met de Engel」からタイトル曲をオーケストラアレンジで演奏したものが収録されている。つまり、CDでは細かくトラック分けされているが、実質二曲で構成されたアルバムだ。

オーケストラ共演と言うことで、超絶スピードのアンサンブルというのは抑えめだが、ヴォーカルの存在もあいまってよりドラマティックになっている。叙情的メロディの美点は強調された感もあり、壮大なスケールのB面のアレンジも面白い。


Anders dan Andersen
アンデルセンを元ネタにしているらしいが、元ネタも知らないし、この曲の歌詞も分からないので、内容は全然わからない。物語展開があるせいか、穏やかで牧歌的な叙情性が強調された作りになっている。CDでは六曲にトラック分けされている。冒頭の「De Storm」と、中盤の「Kermis in de Hel(Village fair in the hel)」から「De Vlucht(The flight)」への流れがすばらしい。タイトルがCamelの「Snowgoose」っぽいかんじもある。

B面のオーケストラル「Gevecht met de Engel」。
オーケストラ版ということで、アンサンブルにかなり厚みが出て、スピード感よりは圧倒的なスケール感で押してくる。ダイナミックなアレンジだ。オーケストラと共演したものというと、バッキングが壮大なだけであまりアンサンブルに組み込まれておらずバンドとオーケストラが乖離したものがあるが、これは結構オーケストラも組み込まれていて、聴き応えがある。

テクニカルトラッドとしての技巧性は目立たないが、オーケストラの魅力を生かした壮大さと美しさの演出はうまく行っているように思う。もともと、テクニカルなだけではないメロディの良さが際立つグループなので、それも当然といえば当然だ。

*1:この発表年については、ボックス同梱のブックレットを見て書いてるのだけれど、基本オランダ語で読めないのと、各項目にレコーディング日時とミックス日時はあっても、明確なリリース時期が明記されていないので、多少のずれがある場合があるかと。