Paatos - Timeloss

Timeloss

Timeloss

スウェーデンプログレバンド、パートスの2002年発表ファーストアルバム。
翳りのあるヘヴィなサウンドにちょっと陰鬱な女性ヴォーカルが乗っかる、メランコリックな逆癒し系音楽。

バンドはリズム隊にギターとキーボードの定番編成に、ヴォーカルとチェロの女性で五人。音楽性の基盤はドラムの人らしく、プログラムも担当している。また、ドラムとヴォーカルの人がたぶん兄妹(姉弟?)で、この二人が中心だろう。

一曲目の、ジャズ調のオシャレっぽいイントロから突如ベースとギターの歪んだバンドサウンドが切り込んでくるところがなかなか鮮烈。あんまプログレっぽくなくて、現代ロックバンドらしい音を出している。

他の曲では、北欧プログレらしく、メロトロンがうっすらと翳りを加える薄靄のかかったような音。ギターやキーボードが明確なメロディのリードを取るというよりは、コードを鳴らして雰囲気をもり立てる使い方が多い。

このバンド、しかし、結構良い感じでかなりお勧めなんだが、どこらへんが良いとかを説明しづらい。ある種独特(というほど独特でもないんだろうが)の空気感がキモなわけだけど、ただ暗いといってもアネクドテンほどダークアンドヘヴィというわけでもない。あー、アネクドテンから凶悪さをマイナスした感じだろうか。

間の生かし方、現代的なサウンドの取り入れ方、ジャムっぽい即興演奏パートみたいなのもあったりして、実は意外に幅の広い音楽性を持っていることとか、いろいろ面白い。

全部で四十分のレコードライクな収録時間で、全五曲と少なめだが、なかなか中身は濃い。特に面白いのが、最後にある「Quits」。ドラム、パーカッションとベースのリズムに、プログラムっぽいエフェクトが随時挿入されて、テクノみたいになってるトラックのうえをヴォーカルが乗る、異色の一曲。一瞬聴いてるアルバムを勘違いする。ベース大活躍。後半はサックスやトランペットが即興的に参加してきて、カオスな様相を呈してくる。すげえ。


私がこのバンドを聞こうと思ったきっかけは、プログアーカイブスの試聴で「Won't Be Coming Back」(セカンド収録)を聴いたからなんだけど、これみたいなメリハリのある曲はそんな多くない。多くないが、そういうメリハリのある曲以外のものもなかなか面白い。

逆癒し系と書いたように、ある種の暗鬱さが逆にカタルシスになるような音だといえる。

Paatos - Hypnotique

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