- アーティスト: アストゥーリアス
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 1993/11/26
- メディア: CD
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エレアスのアルバムを聴くのはこれが初めてなんだけれど、聴いてみて目立つのは90年代はじめあたりの多少古めかしく感じられるシンセ類だ。ニューエイジというのかそういう時代性を感じさせる音色で、時代的に仕方がないのだろうが、そこは今聴くと微妙。
しかし、楽曲の質の高さはさすがで、バンドサウンドを土台にしつつも、きらびやかなシンセとヴィオラ、チェロ、ファゴットといった生楽器を生かした旋律の美しさは格別。エレアスといいながらも、クラシカルな生楽器の多用は後のアコアス路線につながるものを元々持っていたことを示している。
しかし、それにしても曲が良い。旋律が綺麗でメロディ重視の楽曲構成のせいか、自然にリラックスして聴ける。そのうえに落ち着きだけではなく躍動感も持ち合わせていて、ただ綺麗なだけではない勢いの良さがある。
いまはアコアスしか入手できない状況だけれども、どこかで見つけたら是非とも聴くことをお勧めする。おそらく、アコースティック・アストゥーリアスを気に入った人ならきっと気に入るだろう。
1.Distance
ミニアルバム「Bird Eyes View」劈頭に収められた早弾きピアノのアコアスバージョンを先に聴いていたので、打ち込みと思われる高速パッセージの冒頭には違和感があったが、きらびやかなシンセの音色での高速フレーズと、ヴィオラの旋律の代わる代わる現れる構成を聴く内にすぐに気にならなくなった。アコアスバージョンも良いが、このエレアスバージョンもかなり良い。
2.Cryptogam Illusion
タイトルトラックはいかにもニューエイジという感じの打ち込みを多用した厳かな感じさえするスローな曲調。一曲目ではヴィオラだったが、ここではより低音で落ち着きのあるチェロがリードを取る。ラストに近づくに従って、どんどん音が厚みを増していく。
3.Adolescencia
アコアスのフルアルバムにも再録されていた曲。ファゴットによるものか、牧歌的で優しい音色が印象的な曲で、強いインパクトがある曲ではないが、非常にリラックスして聴ける。
4.Mistral Island
シンセやパーカッションが主軸で幻想的な雰囲気を持つミドルテンポの曲。
5.Phoenix
ロック的なダイナミズムを持った曲で、エレキギターも加わった今作のハイライト。リコーダー系の笛みたいな音色のシンセの音が印象的で、これのおかげでどこか牧歌的なトラッドな雰囲気もある。ピアノもよい。今作にはエレキギター担当がリーダーの大山曜と元新月の津田治彦と二人いるんだけど、ここでソロを取っているギターは津田氏なんだろうか。
まあ、とりあえず名曲。是非アコアスでもやってほしい。
6.Glacier
これもニューエイジ的な瞑想的で神秘的な曲調。
7.Cyber Transmission
サイバー。デジタルロックインストという感じで、時代を思わせるものがあるが、後半ギターが出てきてかなり格好良く展開する。
8.Danca Das Borboletas
シンセとギターそれと生楽器の多様なコラボレーションが楽しめる。ミドルテンポの曲ながらアレンジは緻密で聴き応えのある曲。パーカッションの使用など、どこか民族音楽的な要素も感じさせる。後半のハイライト。
9.O Tempo Passa
アコギと上野洋子のヴォーカルだけで構成されたラストトラック。スペイン語っぽい歌詞で歌われる歌が面白い。ラストにタイトル曲が音量小さく流れてフェードアウト。
やはりアストゥーリアスは良いな。エレアス時代の他のアルバムも欲しい。2004年に再発されたやつはもうすでに手に入らないのが痛い。是非再発を。
個人的には、エレアス時代の曲も積極的にアコアスで再録なりして蘇らせて欲しいし、アコアスでの曲をエレアスを復活させて演奏して欲しいな。せっかく二つの方法論があるので、両者を縦横に行き交ってみるのも面白いと思うんだけれど。