John Entwistle - Too Late the Hero

最後のヒーロー(紙ジャケット仕様)

最後のヒーロー(紙ジャケット仕様)

昨日ルネッサンスはリードベースとか書いたが、リードベースといえこの人、ザ・フーのベーシストジョン・エントウィッスルのソロアルバム第五作。1981リリース。今作ではイーグルスジョー・ウォルシュが参加しており、トリオ編成で制作されている。イーグルスザ・フーという大物バンドのメンバーが会した非常に興味深い作品だ。

トリオということもあってシンプルなロックアルバムだが、やはりエントウィッスルの大音量で歪んだベースが凄い。ベースとギターとで、通常のバンドサウンドにおける位置づけが逆転している。低音ゴリゴリのベースが堂々とリードを取りまくるスタイルは格好良すぎる。わたしはこの手の歪んだベースサウンドフェチなので、聴いているだけで楽しくなってしまう(まあ、弾ける訳ではないので技術云々は知らん)。1stソロより曲の粒はそろっている感じがある。

ジョー・ウォルシュのギターも良いし、ベースがリードするハードロックをとりあえず聴いてみたいという人には良い作品だと思う。しかし、ジョー・ウォルシュキース・ムーンのソロにも参加しているのか。ザ・フージョー・ウォルシュは仲が良いのだろうか。

1.Try Me (3:54)
一曲目からミドルテンポの曲のボトムを支えつつ、歌のバックとかで激しく動くゴリゴリのベースサウンドが気持ち良い。

2.Talk Dirty (4:06)
ベースがバリバリのリフを弾きまくる快調な滑り出し。とにかくベースが核にあるスタイルが楽しめる。ジョー・ウォルシュもソロを披露。

3.Lovebird (4:52)
ジョー・ウォルシュの影響か、アメリカンっぽい爽快な曲。ベースはおとなしめでギター中心のアレンジ。歌がなかなかよい。

4.Sleeping Man (3:56)
ベース、ギターともに活躍度の高いミドルテンポの曲。

5.I'm Coming Back (4:02)
躍動感あるイントロフレーズから格好いい、これもアメリカンな香りがする曲。やはりウォルシュのギターはイーグルスを連想させる演奏だ。作中ではかなり出来が良い曲かな。

6.Dancing Master (4:24)
これまたベースリフがリードする軽快な曲。中間部でのベースとギターの掛け合いが聴き所。ラストはベースソロでフェードアウト。

7.Fallen Angel (4:40)
わりとギター中心のアレンジか。

8.Love is a Heart Attack (5:13)
ここまで聴くとあんまり書くことはないな。

9.Too Late the Hero (7:26)
ラスト、タイトル曲。キーボード、フルート等も交えたスケールの大きなシンフォニック大曲。メロディともども、かなり力の入った力作。ベースを堪能する曲ではないかな。
John Entwistle- Too Late The Hero (Promotional Video)

日本盤の紙ジャケやリイシュー盤にはいくつかのボーナストラックが入っていて、だいたいがデモなのだが、もうひとう本来アルバム冒頭に入れようとしていたという「Overture」が入っている。キーボードオーケストレーション中心のインストで、やけに長い。長さが半分だったらちょうど良かったんじゃないかと思う。しかし、これとタイトル曲はかなりプログレ寄りだ。