John Paul Jones - Zooma

Zooma

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クリス・スクワイア、ジョン・エントウィッスル、トレイ・ガンとベーシストのソロアルバムを紹介してきたけれど、最後は大御所、元レッド・ツェッペリンジョン・ポール・ジョーンズの1stソロアルバム。1999リリース、ということで遅すぎるソロデビューだけれど、これがなかなかの快作で、バリバリのベースがこれでもかと堪能できる。

ちょっと他のZEPメンバーのソロは聴いていないので、何とも言えないのだけれど、このアルバムはメンバーソロのなかで、もっともZEPに近いという風に言われることが多い。私的な印象だと、むしろ、最近のキング・クリムゾンに近いように聞こえる。フリップが好きそうな感じがする。

まあ、この作品はそのロバート・フリップが主催するレーベル、ディシプリン・グローバル・モバイルから出ている上、タッチギター(ウォーギター?)でトレイ・ガンが参加というクリムゾン人脈のバックアップを得て制作されているので、フリップが好きそうな音楽なのは当然と言うべきかも知れない。

で、具体的にいくと、このアルバムでは金属的な音色のベースのヘヴィなリフを中心としたオールインストアルバムになっていて、楽器編成も基本的にベースとドラム、あとジョンジー自身によるラップスティール(スティールギターの一種)という感じで、ドラムとベースのリズムセクションがイニシアチブを取ったかたちになっている。また、ジョンジーの使用楽器が面白い。ベースは主に十弦ベースを使っていて、さらにラップスティール以外にも、マンドラやエレクトリックマンドラというマンドリンの親戚みたいな低音の出る複弦ギターを使っている*1

で、このベースが金属的で凶悪なリフを叩きだしていて、かなり格好いい。エントウィッスルのソロ作もヘヴィなベースリフリードする作風だったが、がヴォーカル重視の歌ものロックというフォーマットだったのに対して、このアルバムではインストということもあり、よりアグレッシブな姿勢を見せている。

アルバム中、半分以上がベースリフがリードするハードなベースオリエンテッドロックだけれど、3曲目ではマンドラを使ってアメリカンな雰囲気を出してみたり、7曲目ではオーケストラを導入して、プログレな展開を見せたりもしている。そこでもジョンジーはオルガンソロを披露したりとマルチプレイヤーぶりを見せつけている。

ベースオリエンテッドなインストロックアルバムとして、非常に楽しめる出来の作品だ。

下のはジョンジーがギターウォーズという日本独自企画のライブに参加したときの映像。曲はこのアルバムのラスト曲を演奏している。面白いのは、ジョンジーは五弦のおそらくギターを演奏していて、ヌーノ・ベッテンコートがギターでジョンジーと対面しながら楽しそうに弾いている。ベースはほとんど写らないが右隅にいるようだ。で、ドラムはパット・マステロット、キーボードはスティーブ・ハケット・バンドのロジャー・キングという、非常に面白いメンツがそろっている。本当はこのライブにはポール・ギルバートとスティーブ・ハケットも参加しているのだけれど、これには映っていない。考えてみれば、ZEP、クリムゾン、ジェネシス、エクストリーム、Mr.Bigメンバーが一堂に会しているという凄いイベントだ。ギターウォーズのDVDは音のミックスに不満があるが、安価なら見る価値はある。ハーモニカを吹くハケットが格好いいので。

"Tidal" - John Paul Jones (Guitar Wars)