Eagles - One Of These Nights

呪われた夜

呪われた夜

イーグルスの四枚目にして初の全米ナンバーワンアルバムとなり、アメリカを代表するバンドとしての地位を確立したと言われる作品。この作品が売れたのはいいものの次作「Hotel California」までには時間がかかり、その合間に出されたイーグルス初のベストアルバムが2004年時点で2800万枚の売り上げを記録し、マイケル・ジャクソンの「Thriller」を上回る全米歴代一位を記録している。

それは良いとして、このアルバムは私がイーグルスの全作を聞こうと思うきっかけになったアルバムだ。「Hotel California」一曲しか印象になかった時に、この曲がこんなに良いのだから、他のアルバムも一応聴いてみるか、とふと聴いてみたのが今作で、1曲目の「One Of These Nights」の冒頭の格好良さに完全にはまってしまった。

「One Of These Nights」のイントロの格好良さは「Hotel California」に勝るとも劣らないと思う。他の曲もバラエティ豊かで、バラードの名曲「Take It To The Limit」やイーグルス唯一の変奏曲でない長尺インスト「Journey Of The Sorcerer」などを含み、ハードロック志向でありながらもカントリースタイルの曲も残っている。しかし、今作でバーニー・リードンが脱退するため、バンジョーなどを用いた素朴でアコースティックなカントリーっぽさは今作でほぼ姿を消す。

ギターオリエンテッドな爽快なハードロックスタイルとしては前作の方が元気がある気がする。今作はタイトル曲のようにシリアスさが増し、また落ち着いた雰囲気が強まった印象だ。

しかし、ジャケットはこれ、何だろう。

1.One Of These Nights (4:51)
イントロのうねるベースに少しずつギターが重なってきて、突如、ダダダンとヴォーカルパートへと突入するイントロは鮮烈。これまでのイーグルスにはなかった曲調で、ダークかつアダルト。ディスコ調らしく、ちょっとファンキーな感じもある。この曲はイントロもそうだけれど、とにかくバッキングのリズムが好きだ。

2.Too Many Hands (4:40)
これもちょっとダークでハードな曲調。左右交互でギターソロを応酬するソロパートが聴き所か。

3.Hollywood Waltz (4:01)
一転、アコースティックスタイルのゆったりとした穏やかな曲。

4.Journey Of The Sorcerer (6:38)
イーグルス唯一の長尺インスト。ある曲の変奏曲としてのインストはいくつかあるけれど、それ自体が独立したインストというのは今のところこれだけ。で、これがバンジョーをメインにバンドサウンドとストリングスが絡むという、きわめてプログレな一曲。バンジョーとストリングス! 他では聴けない独特の雰囲気で、メロディも良くかなりの名曲だと思う。ラストのあたり、ギターやらが盛り上がってくるところで明らかにトラッド的な演奏が絡んでくるところがまた面白い。

5.Lyin' Eyes (6:21)
これは初期イーグルスっぽいカントリーっぽい曲。ちょっと寂しげな印象が際立つ。さびのコーラスがやはり良いな。

6.Take It To The Limit (4:46)
スケール感の大きいバラード。ランディ・マイズナーの作曲で、ヴォーカルもランディ。ストリングスも絡んで壮大な印象。曲自体は三分で終わっていて、最後、さびを何度も繰り返すところがすごくLimitな感じでしつこいとは思いながらも良い。バラードというとドン・ヘンリー独壇場な感じがあるイーグルスだけれど、この曲はそれらに劣らない。「Take It Easy」で気楽に行こうと歌い、「Take It To The Limit」でもう一度限界までやろうと歌う。

7.Visions (3:58)
ギターを聴かせるハードなスタイル。前作では多かったが、実はこのアルバムでは珍しい。

8.After The Thrill Is Gone (3:56)
ヘンリー、フライのデュエットによるバラード。タイトル通り、終わりを感じさせる雰囲気が漂いう。結構名曲。

9.I Wish You Peace (3:45)
エレクトリックピアノの音色が絶妙なエンディング。タイトルにあるように、これで脱退するバーニー・リードンのメッセージ的な印象。


下の映像は、音が荒々しくてよりハードな雰囲気になっていて面白い。しかし、ホテカリの時も思ったけれど、イーグルスはスタジオ録音でフェードアウトする曲をライブで演奏するときの終わらせ方があんまりうまくないと思う。
Eagles - One of These Nights 1977