RPWL - Stock

Stock

Stock

ドイツのオルタナシンフォなどと呼ばれるバンド、RPWLのサードアルバム、2003年リリース。

サードアルバムというか、ストック、というアルバムタイトルが示すとおり、今作はこれまでの二枚のアルバムのアウトテイク集で、ちゃんとしたオリジナルアルバムというわけではない。しかし、アウトテイクというのが信じられないほど曲のクオリティは高く、なぜオリジナルアルバムから漏れたのかがよくわからない曲が多い。とはいっても、カバー曲、短いインストも挾まれていて、そこらへんは企画ものの匂いが強い。

そして、このアルバムには本編の曲の5.1chサラウンドミックスが収録されたDVDがついている。細切れのライブ映像を含んだ十数分ほどのライブドキュメンタリー映像もついており、またそのラストには前作の「Side By Side」のサラウンドミックスも収録されており、安価なわりにお得感のあるアイテムになっている。

曲のクオリティは高く、ミディアムテンポのバラードを聴かせるセンスはかなり高いと思う。ハードだったりポップだったりする訳ではないのに、聴いていて飽きない。個人的にはこのバンドはかなり気に入っている。曲にはずれがまったくない。

以下、DVDでの映像として表示されるコメントを分かる限り紹介。

1.Opel (5:27)
これはシド・バレットのソロアルバムでの曲をカバーしたもの。元曲を知らないので、何とも言えない。ただ、なかなか良い曲だ。ちょっとトリッキーな歌メロがクセになる。良くサウンドチェック用に演奏していた曲らしく、ただ、カバー曲のためかレギュラーアルバムには収録したくなかったが、ちょうど良くこの機会に収録することができたとのこと。

2.The Way It Is (5:47)
1stアルバムでのセッションで録音された曲。アルバム中での小休止的な曲として良い感じだと思ったようだ。穏やかな曲調で秀逸なメロディ。ソロでのキーボードのへんてこな音色がサラウンドをぐるぐるまわるのが面白い。

3.Perceptual Response (1:21)
前曲から間隔なしにつながるこの曲は、元々前曲から他の曲につなげるためのインストとして録音されたらしい。キーボードのふわふわしたバッキングのうえをギターがちょこちょこ音を入れていく。

4.Forgive Me Part 1 (1:38)
これも1stアルバムのアウトテイク。リプライズとして作られた曲。本編は後の方に入っている。

5.Gentle Art Of Swimming (10:18)
セカンドアルバムのアウトテイク。展開の仕方が気狂いじみていて曲の核を見つけられなかったが、ある意味でとても面白い、とかなんとかいうのがお蔵入りの理由らしい。メロディが非常に印象的で、またキーボードのサイケな感じも面白い。前半の歌パートが終わってからのインスト部での展開は確かにかなりサイケというか、整理されていない感じもするにはするが、普通に良いフレーズもあるし、面白い。

6.Who Do You Think You Are (3:36)
1stアルバムのアウトテイク。いつもライブの最後に演奏する曲らしい。ちょっとユーモラスな感じのする曲調。ブリティッシュポップ風といえばいいのか。終わり方が良いな。

7.Going Outside (0:24)
場つなぎインスト。これはオリジナルらしい。インストというかSEだ。

8.Sun In The Sky (4:23)
これは、セカンドアルバムのタイトルトラックとして制作されていたものの、バラードはもういいやと収録を見合わせたらしい。ゲストの女性ヴォーカルを迎えた壮大なバラード。良曲なのに。というか、曲ラストに「Trying To Kiss The Sun」の歌詞が歌われているあたり、元々セカンドアルバムのラストあたりに配されるべき曲だった気が。

9.Forgive Me Part 2 (3:01)
元々、1stアルバムのラストトラックになるはずだったのだけれど、最後になって、よりシンプルで明快なメッセージのある、「God Has Failed」に置き換え、それをアルバムタイトルにしたとのこと。静かで、穏やかな曲。

10.Forgive Me Part 3 (7:46)
メロディが良いのはもちろん、いかにも秀逸なエンディング。ギターソロも良い。なお、DVDではオミットされているが、CDではこの曲の後に無音部を挾んで、小曲が収録されている。



amazonでは品切れのようなので、HMVあたりでどうぞ。