Mr.Sirius - Incredible Tour

INCREDIBLE TOUR(紙ジャケット仕様)

INCREDIBLE TOUR(紙ジャケット仕様)

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ミスター・シリウスのライブアルバム、1990年リリース。

「ダージ」リリースに伴うライブを収録したもので、セカンドからはRequiemとLove Incompleteのみ、他は1stからやカバー、未収録曲、MCなどで占められた企画盤の色が強く、いわばベスト盤的に聴くには適さない。

バンドの本格的な演奏が始まるまで十分以上かかるし、最初は聴き所の少ないアルバムだなと思ったものだけれど、このアルバムの最大の目玉はアンコールでのYesのSiberian Khatruのカバーだ。Yesファン、プログレファンはとりあえずこれだけでも是非とも聴いて欲しいと思う。高度な演奏力とアレンジセンス、そこに旺盛なファンサービス精神を盛り込んで、20分にも及ぶお祭り騒ぎが展開する圧倒的なパフォーマンスだ。

まあ、まずは収録曲について。
1.Opening〜Requiem(original version)
2.Advance Billing
3.Madrigal(from "All the fallen people")
4.Time in the Image ☆unissued
5.Babooshka〜Love Incomplete
6.Kokan de Jealousy(perfect version)
7.Siberian Khatru '90
8.Barren Dream〜Grand Finale

収録曲は以上で、1は「ダージ」からのインスト。Requiemは打ち込みではなく生演奏となっている。2はMC。MCは全体に関西人らしいネタ満載の代物で、良く聞き取れないところが多いけれど面白い。3の曲はこれはよく分からない。ヴォーカル主体。4は未収録曲らしく、これまたヴォーカル主体でバンドサウンドだけれどあまりハードなものではない。5はケイト・ブッシュバブーシュカからセカンドのラブ・インコンプリートに繋がるメドレー。6は1stのEternal Jealousyの別バージョン(らしい)。ひどいタイトルになっている。ここにきてようやくシリウスらしいアグレッシブなバンドアンサンブルが聴ける。で、アンコールを経たラストは1stからタイトル曲。荘厳なフィナーレ、かと思うとラストでやけにコミカルになっていき爆発オチ。さすが関西ノリ。

で、シベリアンカートゥルのカバー。Yesのスタジオ版、イエスソングス版、そしてミスター・シリウス版とをまとめたものが以下。

とりあえず一度聴いてみて欲しい。絶対CDを買いたくなる。私自身、これを聴いてこのアルバムを買った。

このシベリアンの凄まじさはまず演奏がいきなりフルートによる「春の海」から始まるところ。これ自体がYesのジョン・アンダーソンが来日公演で日本の民謡というか、赤とんぼとかチューリップとかぞうさん、とかを必ず歌うことをネタにしたものなんだけれど、そのフルートの「春の海」がなぜか突然シベリアンカートゥルに変わっていくのが驚愕。「春の海」からメドレーでシベリアンのギターリフに繋がり、イントロを省略して歌に入る。しかも、サビの部分の演奏をシリウスらしいスピーディなものにアレンジしているのが凄い。そして、サビを一端終えてから、本来のシベリアンのイントロへ突入する。

ウェイクマンのキーボードをフルートで代替するアレンジが斬新。ギターもハウ自身がやらないイントロフレーズをきちんと再現。しかし、さすがにキーボードソロをフルートで演奏するのは無理らしく、ソロパートではやや端折っている。それでも凄いが。

ひとしきり演奏し、メロトロンが出てきて、アウトロのソロに入ったかと思うと、違うギターが入ってきて(これがおそらく大谷レイブン)強烈なソロを展開する。同時にバッキングも調子が変わる。

さらに凄いのはここからで、このソロの間にバッキングが変わり、いつの間にかDeep PurpleのSpace Truckin'にメドレーしている。で、そこで終わりかと思いきや、シベリアン終盤のダ、ダ、ドゥダドゥダ〜のフレーズが挟まり、大木理紗の紹介でゲスト第二弾、難波弘之が登場するとともに、曲がELPのHoedownにメドレー。難波のオルガン大フィーチャー。その後またシベリアンに戻り、今度は同じYesの違う曲、Roundaboutのキーボードソロパートに移行、ここもおそらく難波のソロ。そこから今度はGenesisのMusical Boxの終結部ラストの歌パート。Musical Boxで終わるかと思いきや、GenesisのSupper's Readyの歌詞のワンフレーズとともに、またもやシベリアンに戻る。ラストのギターソロパートをやったあと、ライブのシベリアンならイントロのフレーズに戻って、ダ!と終わるところを、Heart of the Sunriseのラストにつなげて不意打ちのように終結

開いた口がふさがらない驚愕のプログレメドレーを含んだ凄まじいカバーセンス。Incredible(信じがたい、途方もない)とはまさにこのこと。イエスファン、プログレファンはマジで必聴。まあ、ホントは何も知らない状態で聴くのがベストだと思うけど。
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