Marillion - Marbles

Marbles

Marbles

2004年リリースの二枚組アルバム。anoraknophobiaに続いてリリースされた今作はマリリオン史上初の二枚組スタジオ盤となった。上記Amazonリンクは市場販売用の一枚もののバージョン。二枚組の物はバンド公式さいとからのみ入手できる。参考記事
marillion.com | Racket Records Store

今作では合間にアルバムタイトルを冠した小曲をいくつか挾んで、コンセプチュアルに構成されているけれど、「Brave」のような一続きの物語や、コンセプトアルバム然とした緊密な構成ではなく、緩やかな繋がりの中であわく全体像を浮かび上がらせようとする試みのように感じられる。

オルタナ路線に転換しファンを驚かせたanoraknophobiaと対照的に、今作では透明感と浮遊感にあふれ、じりじりと高まっていく静かなドラマ性が強調された作品となった。

たゆたうような浮遊感から少しずつ激しさを増し、後半では張り裂けるようなホガースの声がぶつけられる冒頭のThe Invisible Manからして名曲。このドラマティックさはまさに最近のマリリオンを象徴する曲だと思う。

タイトル曲に続いてのGenieは一枚盤には入ってないし、ライブ映像もまだ出ていないという埋もれがちな曲だけれど、今作では非常に好きな一曲だ。明るく希望を感じさせるメロディで、これすごく名曲だと思うのだけれど、あまり評判を聞かないなあ。

続くFantastic Placeはライブでも良く演奏される今作を代表する一曲。マリリオンらしい穏和な前半からガッとバンドサウンドが盛り上がる後半へと展開する。現在のマリリオンの特徴が良く出た曲だと思う。

The Only Unforgivable Thingは一枚盤ではオミットされた曲だけれど、これもなかなかの佳曲。Fantastic Placeと似た感じなのが削られた理由か。

タイトル曲を挾んで、18分に及ぶ大曲Ocean Cloud。これも一枚盤には入っていないけれど、明らかにこのアルバムの核となる名曲。海の効果音や浮遊感のあるシンセサウンドなどを導入しているけれど、素晴らしいのはメインの歌メロだ。ホガースにも劣らずエモーショナルに聴かせるスティーヴ・ロザリーのギターも聴き物。
サビの歌詞が面白いのだけれど、意味はよく分からない。

I've seen too much of life,So the sea is my wife and a sweet ocean cloud is a mistress I'm allowed for now.

二枚目は三つ目のタイトル曲からシームレスにThe Damegeにつながる。ややポップな雰囲気で、はねるようなベースが印象的。Genieと同じ歌詞が挿入され、繋がりを明示している。

その後は二枚のシングルが続けて収録されている。
アコギの演奏がイントロに雪崩れ込むところが良いフックになっている。この曲はAメロの部分が特に好きだ。

モダンなデジタルビートを導入し、チャートのtop10シングルにもなった次曲は珍しくTV出演映像がある。

Angelinaはゆったりとした落ち着いた曲で、ムーディな雰囲気。女性コーラスが入り、ギターソロも落ち着いたもの。

Driling Holesは反面、ダークなデジタルビートを効かせたなかなか珍しい感じの曲になっている。

最後のMarblesを挾んで、ラストのNeverland。これもライブの定番だ。エモーショナルなヴォーカルとギターが悲劇的な雰囲気を盛り上げていく。ネバーランドには決して辿り着くことができない、という歌詞が印象的。

I never land in neverland.

明るさや希望を感じさせる曲もあるけれど、やや悲劇的な雰囲気が強い。しかし、ホガースの優しさを感じさせる声にもよるのだろう、聴いているとそういった悲しみが洗い流されるようなカタルシスもまた感じ取ることができる。穏和な悲しみに浸されているような気分になる。

ホガース期マリリオンの傑作。入手がやや面倒なのが玉に瑕。

以下のライブ盤はちょっと前に見たときは900円台で、これを薦めるのが良いかも、と思ったのだけれど、今見たら普通の値段に戻っていた。ほぼ同音源のDVDも良いのだけれど、これも公式サイトからなら二枚組の拡大版がより安価に入手できる。

Marbles Live

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Marbles on the Road [DVD] [Import]

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