Marillion - Anorak in the UK

Anorak in the UK: Live

Anorak in the UK: Live

先日に続いてマリリオンのサイト限定ライブアルバム。2002年リリース。「Marbles」と同じく、1CDに編集されたバージョンがEMIから一般販売されている。Amazonのリンクは1CDのもの。
http://www.marillion.com/music/albums/anorak-live.htm
今作は「Anoraknophobia」リリース後のツアーから採録されたライブ盤。当然「Anoraknophobia」の曲が多く、一曲を除いたほぼすべての曲が演奏されている(うち2曲はスタジオライブだが)。というわけで、いきおいこのアルバムのアピールポイントは「anoraknophobia」が好きかどうかということになりがちだ。しかし、このライブはむしろ「anoraknophobia」がいまいちだったという人にこそ聴いて欲しいと思う。

なにより、このライブでのバンドメンバーの演奏はいくつかのマリリオンのライブ作品の中でも特にワイルドかつ溌剌としたもので、ライブならではの勢いに満ちあふれている。ラフなギターや野太いベースが唸りをあげるサウンドは「anoraknophobia」のイメージを一変させる。私も、あれ、「anoraknophobia」ってこんなに良いアルバムだったっけ、と驚いたほどだ。ファンにとってはマリリオンはスタジオ盤以上の演奏をライブで繰り広げるライブバンドであることは周知だけれども、この作品も例に漏れず、楽曲をライブでさらに魅力あるものにしている。観客の歓声や手拍子、合唱などが聞こえてくる会場との一体感もまた魅力的だ。

また旧曲もこの熱い演奏でより生きている。特に低迷期といわれる「marillion.com」からの「Rich」はスタジオ版より相当早いスピードで演奏されており、これが素晴らしい熱演。この曲のベストテイクではないか。マリリオンの曲の中でもかなり好きな部類にはいるのだけれど、映像はない。
「This Strange Engine」からの叙情的な名曲「Man of a Thousand Faces」も良い。

(低予算なのかこのPVはなんとかならなかったのか)
特に素晴らしいのは、「Out of This World」、「Afraid of Sunlight」というアルバム「Afraid of Sunlight」からの二曲に続けて、「Brave」から「Goodbye to All That」の抜粋である「Mad」につなげるところだ。これは曲の緩急としても、詞のイメージからしても素晴らしい連繋で、演奏の熱さも相俟ってこのアルバム中もっとも秀逸な場面になっている。

2枚目劈頭の「Between You And Me」はモダンでポップな曲調。シングルカットされた。以下はMarblesツアー時の映像だけれど、やはりこの手の曲はライブで盛り上がる。

続けて演奏されるのが「Brave」からの「The Great Escape」。マリリオンらしい穏やかさと激しさを併せ持つ繊細な曲。

ラストは定番の「King」で締めた後、2曲ほど「anoraknophobia」からの曲が収録されているけれど、これはたぶんファンを交えた少人数で行われたプライベートライブで、ライブならではのノリがあるわけではない忠実な演奏で面白味には欠ける。

というわけで、マリリオン史上でも出色のライブアルバムだと思う。「anoraknophobia」からの曲にはオルタナ風やラップを交えたもの、リズムマシンを導入したものなどあまりらしくはない試みをした物がありバラエティに富む。選曲は代表作を網羅する、という点では「Brave」全曲演奏を含む「Made Again」にはやや負けるが、それ以外の面ではまったく劣らない。

ラケットレコードで買い物をしようと言うときにはまずはずせないアルバムだろう。

Strange Engineは名作だと思うけれど、他の二作はやや評判が悪い。悪くはないし個々には名曲もあるのだけれど、全体として印象に残らないところがある。

Anoraknophobia

Anoraknophobia

Strange Engine

Strange Engine

Radiation

Radiation

Marillion.Com

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