SIBERIAN NEWSPAPER - ASIATIC SPY

ASIATIC SPY

ASIATIC SPY

以前も紹介したシベリアンの1stミニアルバム。ヴァイオリン、アコギ、クラシックギターコントラバス、パーカッション、ピアノ、ディジュリドゥのフルアルバムの方を聴いたときこれを探したらすでに在庫切れで入手できなかったのだけれど、収録曲がcmに使われたとかで急遽再発されたのでちょうど良く入手できた。

そしてやはりこれが素晴らしい。クラシカルで繊細な感覚と、ロック的なダイナミックさを持ち合わせていて、ヴァイオリンの縦横無尽の活躍が存分に味わえる。

イントロから切り込んでくる「柵から逃げ出し亡命する軍馬のはなし」はテンション高く奏でられるアンサンブルが、タイトル通り、馬が青空を疾走する姿をイメージさせてとても爽快だ。コントラバス、パーカッションにギター二人のリズムもいい。気持ちよく突き抜ける名曲。

次曲はWhaleriderと、ややテンポを落として重厚な雰囲気を強調した一曲。叙情的なヴァイオリンの演奏はつねに耳を引く。次曲「MA FIANCEE AUX GANTS VERT」は情景描写的な落ち着いた楽曲。繊細な演奏。

五曲目「SLOVENIAN MORNING」はCMに使われた曲で、ヴァイオリンのスピーディなメロディが印象的。これも非常に爽快な印象。ディジュリドゥの妙な音が面白いアクセント。

次曲の「HEBREW CUPID」は悲しげな雰囲気が覆うややミドルテンポの楽曲。

七曲目は「ボクの村は戦場だった」。序盤は静かな調子で進むけれど、中盤でドラマティックに展開する。後半のメロディが何とも言えず印象的。盛り上がる中盤部分をやや静かな前後半でサンドイッチにする形で、回想のような印象を与えている。

ラスト「KATHOMANDU NOIR」は悲しげな調子で始まるけれど、途中から開放感を持った調子に変わる。穏やかで、ささやかに明るい秀逸なエンディング。

というわけで、非常に充実した30分間のミニアルバムになっている。1500円程度と安価だし、時間的にもコンパクトで聴きやすいので、とてもオススメ。