Christy Moore - Ordinary Man

Ordinary Man

Ordinary Man

ムーア繋がりで、今回はアイルランドのシンガーソングライター、クリスティ・ムーアの85年リリースアルバムを。アイルランドボブ・ディラン、とか言われていて、国民的大スターらしいのだけれど、日本での知名度はどうだろう。この人はドーナル・ラニーとのバンド、ムーヴィング・ハーツやプランクシティにも参加していて、私はその伝で知ったのだけれど。

というわけで、このアルバムは演奏、プロデュースともにドーナル・ラニーが全面的にかかわっている。他にまたもプランクシティのリアム・オフリンがパイプで参加(他のメンバーはブックレットの文字が小さすぎて読めないのでわからず)。とはいっても、基本的にはギター一本弾き語りのフォーク風で、躍動感あふれるアイリッシュサウンドを求める向きにはお応えできない作風だ。非常にシンプルなシンガーソングライターのアルバム、というおもむき。

ところどころにブズーキやパイプなど、アイリッシュサウンドが聴かれもするのだけれど、躍動感あふれるというよりは情景描写的で牧歌的な雰囲気。楽曲も木訥なヴォーカルが呟くように歌われている。

いろいろあるのだけれど、アットホームな親近感を感じさせる穏やかな雰囲気が快い。

表題曲は名曲。

他は「The Reel in the Flickering Light」が、ギターとキーボードで小気味よいヴォーカルが呟くように歌われる軽快な曲で良い。どうでもいいことだけど、「Matty」はどうにもキンクスのローラっぽく聞こえてしまう。

あと、このアルバムには「聖ブレンダンの航海(St Brendan's Voyage)」という曲があって、これはアイルランドから冒険の旅に出たケルトキリスト教の聖人の有名な伝説に基づいている。
クロンファートのブレンダン - Wikipedia
アメリカ大陸を発見したというバリエーションもあるらしい。アイリッシュプログレのアイオナにも同名の曲があり、よく取り上げられるモチーフのようだ。まあ、アイオナはそもそもケルトキリスト教がバンドの大きなバックボーンみたいだけど。



以下余談。ゲイリーもクリスティもアイルランド系だけれど、こういう例として、ケルト系ミュージシャンにはどうも「mcken」を含む姓が多い気がする。Mae McKennaとかLoreena McKennittとか。他にもいたはず。

で、ちょっと探してみると、Mackenzieもそうだ。そしてこれはゲール語起源の姓らしく、他にもマケイン、マクファーソン、マクニールってのもゲール語起源らしい。「Mc」で子供、という意味らしく、これは英語圏で姓に「son」がつくのが多いのと同じことのようだ。とりあえずwikipediaを探してみると、なんと「ドイル」もゲール語起源で、「邪悪な異邦人」という意味とか。これは知らなかった。「マクダウェル」も同じく「マク」系姓だ。マクドゥーガルってのもたまに聞くけど、これもそうだろう。
ゲール語起源の姓 site:http://ja.wikipedia.org - Google 検索
でも、「Mc」はいいとして、「Mcken」の「ken」ってのは何かってのはわからなかった。