Moving Hearts - Live in Dublin

Live in Dublin

Live in Dublin

クリスティ・ムーアつながりで、アイルランドのバンド、ムーヴィング・ハーツの2007年の再結成ライブ盤。曲順は異なるものの、同ライブを収録したと思われるDVD付きの買い得なアイテム。今はかなり値が上がったけれど、私の買ったときは1600円のうえに二枚買いで一割引の1400円台という値だった。

ドーナル・ラニーの主導するバンドのうち、もっともエレクトリックなのがこのバンドで、エレキギターエレキベース、ドラム、キーボード等のロック系編成にサックスも加わる大所帯のバンドで、全体的なサウンドとしてはフュージョン要素の加わったアイリッシュトラッド、というなかなか面白いものになっている。去年末の記事で「Hiroshima Nagasaki Russian Roulette」という曲が素晴らしいと書いたように、ロックサウンドもいけるようだけれど、オリジナルアルバムは今入手困難。

さて、ムーアつながりとは言ったけれど、実はこのアルバムにはオリジナルメンバーだったクリスティ・ムーアが参加していない。というわけで、すべてインスト曲によるライブになっていて、人気のパイプ吹きデイヴィ・スピラーンを大きくフィーチャーした形になっている(歓声が一番大きい気がする)。スピラーンは映画「タイタニック」にも参加したり、日本では確か光田康典が音楽を担当した「ゼノギアス」か「ゼノサーガ」の主題歌でも参加していたはず。

このバンドはリズム隊がかなり分厚くて、ドラムとエレキベースのみならず、おなじみドーナル・ラニーのリズミカルなブズーキと、コンガ等のパーカス担当までが居て、結構にぎやかに土台を支えている。

そこにデイヴィ・スピラーンのイリアンパイプが奏でられ、さらにサックスが切り込んできたり、怒濤のユニゾンをみせたりするのがメインのサウンドになっている。時折いかにもフュージョン風になるキーボードや、基本はバッキングに専念しているエレキギターボトルネック奏法でソロをとったりするなど、なかなか面白い。ただ、フィドルの影が薄い気がする。

ベースにサックス、コンガが見える。

トラッドなのになんだか都会風な雰囲気が漂う。


これはロウ・ホイッスルでの演奏。サックスが加わり、まさしくケルティックフュージョン

聴き物なのが、10分を超える「The Lark」。淡々としたリフレインがずっと続くのだけれど、段階的にスピードが速くなっていって、どんどんとテンションが上がってくる。会場も含めたこの盛り上がりが素晴らしい。

アコースティックバンドだけではない、違うアプローチのケルトサウンドが聴きたい、という人には面白いのではないかと思う。