The Bothy Band - After Hours

BOTHY BAND

BOTHY BAND

ドーナル・ラニーのバンド第二弾。ボシーバンドの70年代最後のアルバムで、パリ公演を収録したライブ盤。1978年リリース。

ムーヴィング・ハーツとは異なり、これはかなりトラッドよりのアコースティック編成。メンバーがまた凄くて、有名バンドのメンバーがごろごろしているスーパーバンドでもある。チーフタンズのマット・モロイやパトリック・ストリートのケヴィン・バーク他、ナイトノイズ(これ聴いたことない)のヴォーカルなどが在籍している。

音楽性は、躍動感あふれるジグやリールのアイリッシュサウンドをこれでもかと繰り出すアグレッシブな面と、姉弟のツインヴォーカルによるヴォーカル曲という叙情的な側面があり、どちらも素晴らしい。

叙情的な曲としては、三曲目の男性ヴォーカルによる「Casadh an Tsugain」や五曲目の女性ヴォーカル「The Heathery Hills of Yarrow」が印象的。後者のものはちょっと「フォギー・デュー」のメロディを思わせるところがある。

ドーナル・ラニーのブズーキのリズムが心地よいアップテンポな曲では、その他の楽器による強烈なユニゾンプレイが圧倒的だ。フィドル、イリアンパイプス、フルートが迫る。

序盤がやや切れているけれど、今作ではラストの曲。CDとは別音源か。

いろいろなところで言われているのだけれど、このバンドの凄いところは、今のアイリッシュ音楽において、たとえばセッションなりをするときに、このバンドの曲が共通言語として位置しているというところだろう。以降これがスタンダードになってしまったらしく、誰がも知っているものとして扱われているらしい。現代アイリッシュ音楽における基準点が、このバンドらしく、その後に出てくるバンドもしばしばボシーバンド級、とかボシーバンドを比較対照として評価されるというあたりにもその位置づけが伺える。

歴史的にも音楽的にも現代アイリッシュ音楽の基準点、とも言えるわけで、この手の音楽に興味があれば強くオススメ。歴史的とか興味はなくとも、躍動感あふれるアンサンブルのノリが素晴らしく、ヴォーカル曲も良い感じなので、いろいろな意味でまずこれを聴いてみるというのも良いと思う。

とはいっても私もまだこのアルバムしか聴いてないんだけれども。

このアルバムには入っていないけれど、もうひとつ動画を紹介。

参考
The Bothy Band