幻視社 第九回文学フリマ終了の記

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というわけで、第九回文学フリマ無事終了しました。

フリマ自体は第八回から蒲田の大田区産業プラザに会場を移していましたけれど、幻視社としては初の蒲田会場での出店で、私もこの会場に来たのはこのときが初めてでした。

会場は京急蒲田駅出口(確か東口?)からちょっと歩くともう見えている、という巨大さで、なかに入ってみるとやたらと天井が高い。秋葉会場に比べると広さは雲泥の差で、サークル数も我々が初参加した第三回に比べて約三倍。それでもまだスペースに余裕はあります。

立地の差による来場者の減少を心配する声もあったのですけれど、三時くらいでカタログがすべて捌けたというアナウンスが聞こえたので、第八回同様に2000部用意していたのであれば、今回は2000人超の来場者があったということになります。あ、記事が出ていました。2400人。やはりどんどん規模は巨大化していますね。
http://news.ameba.jp/domestic/2009/12/52002.html
幻視社としても、新刊第四号の頒布数は去年の第三号に比べて一割増の54部と記録を更新。本を買ったサークルさんに渡したり、身内に配るなどして、当日捌けた数としてはだいたい80くらいだと思います。同時に置いていた渡邊さんの「CENOTAPH」も10部を超えました。第四号は会場に来られない人からの予約もあって、それを数えるとまたもう少し増えると思いますけれど、当日の部数としては以上の通り。

買って頂いた皆様、本当にありがとうございました。ここのコメント欄でも、サイトの掲示板でも、メールででも感想などありましたらお願いします。
幻視社

以下長々とレポ。

初っ端から京急ではなく、JR蒲田駅に到着してしまうというありがちトラップに見事にはまってしまった柿崎さん(id:Lobotomy)と合流し、やや遅れてやってきた岡和田さん(id:Thorn)とブース設営。開場と同時にエンドケイプさんも来てくれて、四人体制で売り子をしていました。

右隣のブースではバーテンダーのような服装の格好いいお姉さんがBL要素ありとか、耽美系っぽい創作ものを売っていて、左隣は首輪、獣姦、ショタ、メイドもののアダルトな作品を売っているブースになっていて、何という取り合わせかと配置の妙に感じ入る。

売れるペースは去年とかわりなく、蒲田会場になってもその点で変化は感じられない状況。それと知人に売ったり配ったりして、案外に速いペースで段ボールが空いていく。

柿崎さんは隅っこでなにやら折り本をせっせと作っていたけれど、何を作ったのかは結局見られなかった。戻ってきた後彼は「この本を買ってもアフリカの飢えた子供は救われませんが穀潰しニートは救えます」とか書いた紙を掲げ持っていたり、まるで芸人みたいなネタ師ぶりを発揮していて面白い。私がいないあいだに柳下毅一郎氏がきたらしく、「フロム・ヘルマジ最高」と書いた紙を見せたら買っていってくれたらしい。おいおい、ラファティ、バラードとかの翻訳でお世話になった柳下氏が来るとか! おれのいないあいだに! あれ、でも柳下氏がうちの本買うとかありえなくね? 柿崎おれを謀ってね? と思って柳下氏のブログ見たら、確かにそんなようなことが書いてある。まじか。

ちょっと遅れて渡邊(id:wtnbt)さんも現る。渡邊さんと、カント読みの人と、先の早稲田文学新人賞の最終候補に残った安藤魚晴さんのその候補作の原形が載った「CENOTAPH」一号を持ってきて一緒に売ることに昨日突如決まったので。三者三様の小説が読める面白い本なのに、以前の時は七冊しか売れなかったとか。しかしまあ、渡邊さんの経歴は聞けば聞くほど面白い。言えば言うほど虚言症といわれると渡邊さんはいうけれど、まあ、小説書きとしてならどっちでも別に良いよね、と。ホントのことを嘘だよと言って書いても、嘘をホントのことだよといって書いても小説。

こう、いろいろな人が買っていくのだけれど、売ってる側として気になるのは、この本のどこが面白いと思って買ったのか、というところ。何がアピールして買っていこうと思ったのか、それすっごく気になるんですよね。何度か目の前の人に聞いてみたくなったりもした。向井特集と聞いて、とか柿崎さんいますか、とか、エンドケイプさんいますか、岡和田さんいますか、とか言ってくれる人がいて、知り合いとか読者さんとかが買いに来てくれたのか、というのはわかるのですけれど。佐伯さんと二人で、私たち目当てに来た人いないねー、と呟きあう。

一人、新刊を買っていって、しばらく経ったあと、さっきのが面白かったのでバックナンバー買っていきます、という人がいて、これは結構うれしい反応でした。この時間で目を通したとか、はやい!

そう、そして向井豊昭氏の息子さんがいらっしゃってくれました。いや、もうなんと言ったらいいのやら感謝の言葉もありません。未発表原稿掲載は次回もやるつもりです、はい。

しかし、当日会った人のなかで一番驚いたのはブログ「地を這う難破船」のid:sk-44さんでした。来ていたのにもビックリしたけれど、何よりその若さに驚いた。渡邊さんも参加した新文学の文芸空間で売り子をしに来たらしく、渡邊さんからこちらがsk-44さんだ、と紹介されてあまりの若さに二度は聞き返してしまった。もっと年上だとばかり思っていたのだけれど、文章がそうであるように物腰穏やかで丁寧な好青年でした。私のはてな以前のブログも読んでいた、といわれ、この人のアンテナはどこまで延びているのかとおもった。で、紹介される前に新文学をsk-44さんから買っていたんですよね、私は。あれ、さっきの売り子の人じゃないかと。

会場をある程度回ったのだけれど、ほとんど買い物をしなかった今回。id:puhipuhiさんのところから「ボルヘス推理小説書評集」とシェーアバルトの「セルバンテス」を買う。それとさっきの「新文学02」と、買いに来てくれた向井読者の人が書いていた「アリの穴」をその人から買い、はてなの小説書き集団「UMA-SHIKA vol2」を、買ってきた岡和田氏から奪い取る。あと、同じく買ってきた岡和田氏から西瓜鯨油社の二冊、「一つの愛とその他の狂気について」と「コルキータ」を。レスポンスを貰った「この文章系同人がすごい」を買い忘れていたことに気づく。それ以外にもいろいろ買っとけばよかったもんが思い出されてくる次第。

閉場後、近くの(といってもずいぶん歩いた)ファミレスで打ち上げというか飯を食う。以前は売り上げを飲みで散在するという宵越しの銭は持たないぜ精神だったのだけれど、やっぱりストックしておいて次回の印刷資金にしようぜ、ということになりこのようなかたちに。エンドケイプさんと柿崎さんは別の用事があり、私、佐伯、岡和田、渡邊、そしてスティーブ(フリマ初参加の時から本誌に書いてこそいないけれど影の協力者)というメンツでだべり、私はその後夜勤があったため七時前には解散という小学生みたいな行動時間。

バックナンバー含め三、四十ある在庫を持ち帰るのがやたらきつかった(やはりヤマトで発送すれば良かったか)とはいえ、対人関係消極的な私にしてはいろいろな人に会えて非常に楽しいイベントでした。皆さんお疲れ様です。

また、影ながら協力して頂いたid:Panzaさん、大変ありがとうございました。


そういえば、後書きにも書きましたけれど今回の雑誌から印刷所が変わりました。前使っていたところはコミケに直接搬入を拒否されそのまま倒産、会社跡地が競売に付されているページを見て私がとても切ない気持ちになるという顛末を辿り、あまりの事態に笑いが…… 以前から悪評が知られたところだったらしいのですけれど、それを知らず、一太郎形式のファイルで直接入稿可能だったのでずっとそこを使っていいました。今回はいろいろ探してポプルスさんに変えたところ、前に比べて印刷費も格安な上に表紙フルカラーでも追加料金無しという驚くべき価格設定で、前回よりページ数も部数も二割以上増えているのにもかかわらず、値段は二割近く安いという信じがたいコストパフォーマンスでした。フリマ会場に直接搬入してもらえるのも良かった。何で最初からここにしなかったのかと。何か宣伝みたいですけど、ポプルスさんありがとう! あるいは前のところがアレすぎたのか。
同人誌 グッズ 印刷 株式会社ポプルス

通販について

すでにフリマに直接来られなかった人から、買いたいという要望がありました。もちろんこちらとしましてもお送りしたいのですけれど、まだ支払い手続きとかをどうするかという部分が決まっていないので、少々お待ちください。連絡はこちらへ。
inthewall[あっと]king-postman.com