コシャマイン記・ベロニカ物語 鶴田知也作品集 (講談社文芸文庫)
- 作者: 鶴田知也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/04/10
- メディア: 文庫
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タイトル:忘れられた作家・鶴田知也を読む〜北海道・開拓・アイヌ〜
講師:東條慎生氏(ライター)、岡和田晃氏(文芸評論家)
課題図書:『コシャマイン記・ベロニカ物語 鶴田知也作品集』 (講談社文芸文庫)内容紹介:
鶴田知也(1902〜1988年)は、プロレタリア文学の書き手でありながら、芥川賞を受賞した唯一の作家です。しかし、2009年に講談社文芸文庫から40年ぶりの作品集『コシャマイン記・ベロニカ物語』が出るまで、完全に忘れられていました。そして、残念ながら同書が出た後も、忘れられた作家という印象は拭えないものとなっています。
けれども、受賞作の「コシャマイン記」(1935年)は、 アイヌの叙事詩を擬した特異な作品で、戦前の時代状況に対する批評性も籠められており、事実上の戦時下たる現在も読み継がれる価値を有しているものと考えます。
このたび、鶴田についての論考を収めた『北の想像力』(仮題)という評論集が、寿郎社から刊行されることとなりました(2014年春頃を予定)。
同書は、北海道をテーマにしたSFや文学を主題的に扱った批評のアンソロジーなのですが、刊行に先がけて、『北の想像力』で鶴田知也論を担当した東條慎生と、同書の編集を手がけ、また筑波大学で鶴田文学を講じた岡和田晃が、鶴田文学について語ります。
課題図書を指定してありますが、最低限「コシャマイン記」には目を通しておいてください。講談社文芸文庫版を――年譜や註釈が充実しているうえ、他の作品も収められており、鶴田の全体像をコンパクトに掴むことができるので――強くお勧めします。
ただ、「コシャマイン記」については、ウェブ上に公開されているものがいくつかあるので、ブラウザで小説を読むのに抵抗がない方は、そちらで読む選択肢もあります。以下、URLを列挙しますが、それぞれ、ギリシャ古典文献に関するサイト、日本ペンクラブのサイト、そして秦恒平氏のサイトにて、「コシャマイン記」が公開されています。このうち、後二者は誤字が共通しており、注釈も省かれているなど、同じテキストデータを使っていると思われます。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/yaziuma/master2.html
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/novel/tsurutatomoya.html
http://umi-no-hon.officeblue.jp/emag/data/tsuruta-tomoya01.html
開催日時:2013年10月6日 日曜日 午後6時15分〜8時15分
参加費 :千円
会場 :高井戸地域区民センター(地図) (京王井の頭線「高井戸」駅下車)
上掲の通り、岡和田さん編集による北海道SF・文学の評論集のために、本文六十枚ほどの鶴田知也論を書いたのですけれど、その原稿を元に、乱学講座で先行発表をする、ということになりました。
鶴田知也は現在もそうですけれど、過去においても論考でとりあげられることが少なく、「コシャマイン記」論はあっても鶴田論というのがほとんどない、という状況にあります。私の原稿は、この「コシャマイン記」を真ん中において、デビュー前から主に戦前の作家活動を追ったもので、北海道を主たる題材として書いていた九州生まれのプロレタリア作家が、戦時下においていかなる運命をたどったのか、ということを書いたものです。評論と言うよりは評伝、というか長い作家案内・解説のようなものです。戦前の鶴田知也をここまで詳しく紹介したものは、戦前から数えても他にないはずです。需要があるかは別として、凄くレアな内容にはなっていると思います。
作品は「コシャマイン記」など色々面白いのですけれど、なにぶん地味すぎる作家で、私の原稿も地味なうえ、講演的なものをすること自体が私は初めてなので、どうなるかと不安ですけれど、このあまりに語られることの少ない鶴田知也について、ご興味があればどうぞご参加ください。
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/09/25
- メディア: 雑誌
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