2018年に見ていたアニメ

というわけで今年の見ていたアニメのなかから感想をまとめておく。去年よりも言及作品数を落とした。50作以下になったか。見ていたアニメ自体の数ならこれの倍くらいあるけど、良かったアニメを選んで47作。なおネタバレを気にせず最終話の感想も突っ込んでいるので注意。

2018年アニメ10選

目次がわりというか私の全体的な趣味を理解してもらうには手っ取り早そうなので、まず最初に今年のアニメのなかから10作選ぶのをやっておきたい。順番は放送クールごと。

宇宙よりも遠い場所
ゆるキャン△
ウマ娘 プリティーダービー
TO BE HEROINE
音楽少女
はるかなレシーブ
ヤマノススメ サードシーズン
あかねさす少女
となりの吸血鬼さん
ゾンビランドサガ

宇宙よりも遠い場所がやはり今年は凄かったと思うんだけど、そういう海外で評価され一般受けもする完成度の高いアニメがあれば、ぱっと見は萌え系でトンチキな絵面でもそれこそがアニメだという矜持がつまったアニメがあって、私にとって2018年のテレビアニメとはこのようなものだった、その象徴としての二作が宇宙よりも遠い場所と音楽少女だと思っている。

スロウスタートヒナまつりこみっくがーるずがかなり同着的候補だったけど残念ながら選外。各作品についての感想は以下の記事本体を参照。TO BE HEROINEは見ている人が少なかったけど、かなり懐かしのジュブナイルじみたストーリーと作画のすごさもあるので、チェックしてみて欲しい。あとあかねさす少女はかなり放課後のプレアデスだった、気がする。

2018年冬(1~3月)

宇宙よりも遠い場所
いしづかあつこ監督花田十輝シリーズ構成マッドハウス制作のオリジナルアニメ。今年を代表する作品の一つだと思う。一話からこれは素晴らしいのではという感触からそのまま、毎回が最終回かのような盛り上がりを見せ続けて最後まで走りきった。青春アニメとして近年でもまれなほど、むしろイヤミなほど出来が良くて、挿入歌を入れて感情を揺さぶってくるあざといまでのエモーショナルさは逆にマイナスかも知れないと思うほどだ。こう書くとなんだか批判的なようだけど、アニメをあまり見ない人にも勧められるタイプの傑作。タイトルは南極のこと。宇宙飛行士毛利衛が、昭和基地に行くのは宇宙に行くよりも時間が掛かったということを指していった言葉に由来する。母が消息を絶ったこの南極へ行こうとする高校生小淵沢報瀬と、彼女に出会った主人公玉木マリ、そして高校中退の三宅日向とタレント業で友達がいないアイドル白石結月、という少女四人が南極へと旅するなかで、青春、友達のありかたを描いていく。死体を探しに行く話だから実質『スタンド・バイ・ミー』です。これが放送していた間はTwitterで各人のそれぞれが持ってる友達、という関係についてちょくちょくプライベートな話が流れてきてて、人それぞれの友達についてのデリケートな部分を刺激する作品だったことが印象に残っている。どの回が、というのは難しい。個人的には三話の四人が揃った回や、五話高橋めぐみ回、六話パスポートの回、11話日向回、12話だろうか。特に三話、テンポの良さと結月の心情描写が噛み合ってて良かった。それぞれ目的が違うけれども、南極行きの四人のなかに自分のほしかったものを見つけながら四人が成り立つ。窓から友達が来る夢を見た後に、夢のように友達が迎えに来る場面で、窓と振り返ればそれが現実になるドアの、対比と幸福さが印象的。そして五話はかなりの破壊力を見せてきたけど、これはどちらも友達の話で、かたや同じ目的地に一緒に旅に出る友達を得た話で、かたやこれまで一緒だった友達と別々の方向にお互い同時に足を踏み出す話で、一緒に旅に出る友達と、旅に出ない友達がいて、この旅と友達のテーマは最後まで核にある。横に横にと地球を果てまで移動して極点まで来てしまったら、あとは空を見上げるしかない終盤の悲しさ。まあ延々ツイッターに感想書いてたので各回についてはそっちを見てほしい。
宇宙よりも遠い場所の感想まとめ
しかし、Twitter見てると、宇宙よりも遠い場所見ている人とラブライブサンシャイン見てる人があんまり重なってない感じがある。花田十輝脚本で女子高生たちの青春、という骨格が同じなのに。南極はすごくよくできてる作品だけど、サンシャインはもっと得体が知れない感じがある。南極は語り口のテンポでするすると見させるけど、サンシャインは音と映像でリアリティだのなんだのをねじ伏せるバイオレントな作品だった。

ゆるキャン△
きららフォワード連載でつまり四コマではない、きらら系女子冬キャンプ漫画原作。冬のソロキャンプを楽しむ少女をはじめに、言ってみれば旅・グルメ要素とキャンプ用具などのガジェットネタの趣味要素を掛け合わせてかつ少女がそれをやる。距離感が非常に重要な作品で、ソロキャンプを趣味とする志摩リンとキャンプ中に出会った各務原なでしこが、冬キャンプの楽しさに目覚めていく、という作品なんだけど、いわば旅行ものにもかかわらず必ずしもみんなで一緒が最高だ、という価値観ではなく、ソロでキャンプするのもみんなでするのもそれぞれに良いところがある、という感覚を大事にしている。そこでお互いを繋ぐのがLINEなどのスマホSNSあるいはウェブカメラといった遠隔コミュニケーションで、それぞれのキャンプの模様を写真やメッセージでレポートしながら、この空が繋がっているということを描く。印象的なのは三話、夜から日の出にかけてラジオ、BGMの演出もいいし、ラストのリンからの名前呼びはなでしこがそもそも名前で呼んでるから、それにちょっと応じるという自然さで驚くほど良い。名前のシーン原作一巻にはなかった。アニメの追加描写かな。三話で二人の関係の変化がここですとんと落ち着くポイントになっている。五話は、同日違う場所で別々にキャンプをしながら、またとない夜景を共有する独特の距離感覚が絵的に収められて良かった。七話は、リンとなでしこのデートみたいな二人のソロキャンプで、もしかしたら会ってなかったかもの時の絶妙な表情もいいけど、リンが自分のテントにもぐり込んでたのに気づいたなでしこのちょっとムッとした感じからの体当たりとかが良かった。二人入れるのにわざわざ別にテント張って、ボートに一人で乗って、という距離があるから、それを越えたり手を振ったりが意味を持つようになってる距離感の演出、隣のキャンパーとの交流も含めてやはり上手い。意外なほどヒットして二期や劇場版も決まっていて私もかなり面白い作品だと思ったけど、パースをつけたレイアウトで広域を一画面に収めるパノラマなどの原作が得意とする絵的な演出がほとんどオミットされているのが惜しい。まあそれはいいとして、え、となったのが最終話。お互いの趣味をお互いが尊重して共有する、という展開の帰結としてなでしこのソロキャンプが描かれるんだけれど、このオリジナル展開良いなーと思ってたら最終的にリンとなでしこが合流してしまうのでびっくりした。いや、なでしこにソロキャンプさせないのかよって。原作の展開を先取りしてしまうことを避けたんだろうか。いやしかしなあ。

スロウスタート
こちらはきらら系四コマ漫画原作。中学生で受験に失敗して高校に一年遅れで入学した主人公がそのことを隠して、その疎外感に悩んでいるという、表向きはキャッキャしながらそこに小さな距離を感じてしまう、こちらも繊細な心情を描いている。中学浪人を黙って友人に嘘をついている罪悪感のために何のこともない会話が主人公を突き刺すわけで、何でもない日常がつねに針のむしろの状況になる設定が生々しい。外から見ると普通のきらら系日常ものなのに、主人公だけは裏切りの罪悪感を抱えてる。誕生日に「同い年」と言われて泣いてしまう主人公の切なさ。それでいながら栄依子と清瀬という教師生徒の百合描写をかなり濃密に描く作品でもある。その七話、泊まった朝の描写が印象的で、気がつけば曲もコミカルな場面だけ、コーヒーをいれる音だけが聞こえてて、朝の光の陰影、手の仕草の数々や、うろたえたときに映される足とかとか。ぐいぐい攻めてたはずが、意図せざる先生の行動にぼろくそに攻め落とされてる栄依子さん。前話でたまてと夜の台所で秘密の話をしたのに対し昼の丘の上、不安でたまらないことと、栄依子のうれしくてたまらないことの対比がある。暗い話じゃない、と言ったときに髪を触るのがその時のことを思い出している感出してる。小さな秘密を共有する、っていう作品全体のテーマにかかわる六話と七話。また作画がやたら細かく動かしてくるのも面白い。

刀使ノ巫女
スタジオ五組によるオリジナルアニメ。荒魂と呼ばれる異形の存在に対抗しうる御刀を操る少女達が戦う美少女バトルもの。大味な叫びとかではなく剣戟の小気味よい戦闘で通したのは大きな美点で、そういう地味に見えて着実な積み上げが全体の作風を規定していたような作品。2クールでのオリジナルということで、かなりの練り込みがあっただろうと思われる骨格の強さがある。個人的にはややハマりきらない部分もあったんだけれども、終盤にはグサっと来る話もあったりで大きなインパクトを残していった。個人的に好きなのは15話、薫の多彩な表情や髪型が見られて素晴らしい回だった。れんげと夏海を混ぜたような良いキャラだ。薫は学長とも現地のメガネ隊員とも良いコンビしていて、荒魂と共生する真面目と不真面目の薫の二面性を生かしたコメディとシリアスの同居する回だ。だいたい薫が好きで見ていたようなアニメなので、この回は気に入っている。で、一番のインパクトを残したのが22話。皐月夜見。腰巾着を続けて誰からも見向きもされなくなった雪那をただ一人学長として遇する夜見の、最後の会話が効きまくって短いなかに本筋を凌駕するインパクトを残した。2クールをかけて、キャラ立ちしまくった道化としてそのあられもない姿で人気を得てきた雪那と、口数も少なくなかば謎めいた人物として作品の翳りのような印象のあった夜見とが、最終盤でこんなひとつの環を描いて閉じられる。ごく短く回想される風景、御刀に選ばれなかった夜見を見いだして力を与えたのはただ単に駒としてだっただろうけれども、選ばれなかった夜見にとってはかけがえのない救いで、自己愛的な従属を続けて最後に誰からも見捨てられた雪那を救うことが出来るのはその夜見だけだった。二人して不器用すぎる。夜見は刀使としての「務め」を果たし、学長に仕えることこそが最大の使命で、雪那もまたそれに相応しい言葉を与えることが出来ることが重要で、個人的な感情はあるかもしれないしないかもしれないけど、刀使と学長という公的な役割を演じきることに核心がある。夜見はそうして内心を語らず、すべてを公的な役目を演じることによって生きたんだろう。これ、パターンとしては滅亡した国の王女に仕える騎士みたいなものの裏返しだろうか。恩も愛もあるけど一介の僕としての振る舞いにすべてを押し隠すみたいな。けど、悲しいかな雪那には上に立つ者としての人格や高潔さが一切ない。だからこそ22話はより効果的だった。雪那のキャラ故に、夜見の服従が不可思議に見えるけど裏があるのではなくそのまま文字通りのものだったというトリックとして機能していた。そして最後のやりとりで雪那はむしろ夜見によって上に立つ者に押し上げられている。元学長でもなお学長と呼ばれ、応答することで、雪那ははじめて学長としての内実を得たんじゃないか。そして最終話、車いすの雪那が夜見の刀を拠り所にしてるのが象徴的だった。全体として、結芽、夜見、美奈都、篝、いなくなった人のことを拠り所としながらも前に進む話というか。主人公二人がきちんと母と別れられるまでを描くとともに、二人も雪那も刀を受け継いでるという構図。親から刀を受け継いだ主人公たちと、部下の夜見から刀を受け継いだ雪那、この二組、似たモチーフを担いつつ、いろんな部分が対比的に配置されている。どうでもいいけど、22話のこの感想をツイッターで書いたら、シリーズ構成脚本の髙橋龍也にいいねされてびびった。雫、痕、to heartあたりでエロゲの洗礼を受けた私にはなかなかワーオって思った事態だ。改めて考えるとメインキャラが女子中学生で公務員で敵性存在と戦う危険な任務に従事しているのやばすぎる感じもするんだけど、中学生っていう年齢なのは親との別れを描くには高校生だとちょっと大人びすぎてしまうからかな、と。

伊藤潤二『コレクション』
ホラー漫画の有名どころ伊藤潤二、読んだことがなかったんだけど、これはかなり面白かった。一話を見た時はえぐさ気持ち悪さとかでちょっとどうかなって思ったんだけど、絵面のおかしさやらどことなくトンチキな感じとか、ホラーながらホラーの関節外しともいえる妙な面白みがあって非常に良い。このアニメ、怖いとおかしいと笑いが奇妙にブレンドされた圧倒的絵面力がある。発想が即物的すぎると面白くなっちゃう。六話の緩やかな別れとかの情緒的な話も良かったし、11話の超自然が現実を侵食しはじめる異様さが生ける水死体のホラーへ、唐突なイースター島のシュールへ転換して能力バトルへというジャンル変わってるじゃねえかっていう話の転がし方がそうとう面白かった。いい話もちゃんと怖い話もあるけど、なにしろ圧倒的に「変」なので、その手の人(どの手の?)にはかなりお勧めできる。声優も面白い。JYOCHOのEDが本篇の作風にも似たある種のずらしや変化球的な音になってて非常に良い。

citrus
コミック百合姫連載百合漫画のアニメ化。ギャル系と委員長系の相性の悪い二人がじつは義理の姉妹になって、という作品で、広い家でいきなり同じ部屋に棲むことになったりとか、三年娘があったことのない父親と再婚した母親とか、わりとラフな設定を細かいツッコミをなぎ倒す軽率さで場面を演出していく楽しさがある。淫行教師が退場する早さは笑った。主役のギャル系キャラの竹達彩奈の声が絵になんともコミカルな印象を持ち込んでて雰囲気を作っている。また、髪型のバリエーションがすごくて、家に帰るたびに変わってるのかってくらい、一話のうちに三種の髪型があったりするところに細かいこだわりがある。髪型と服装にこだわるアニメは良いアニメ。

三ツ星カラーズ
上野の商店街を舞台に、女子小学生三人がカラーズと名乗って、この街を私たちが守る、といいながら好き放題していく漫画原作コメディ。玄田哲章おもちゃ屋のオヤジとかパン屋の子だとか、街の人たちとの関係と自由な子供達の地味にいい作品だった。しかし、交番と警官が延々と攻撃襲撃揶揄されてるの、昭和の漫画みたいですごい。ほら、昭和のギャグ漫画って警官が銃乱射するじゃん。クソガキたるもの大人や法を茶化さずにどうする、と。いやそこまでアナーキーじゃないけど。あんだけ暴れ回ってるけど、女の子だから/なのに、みたいなこと言われる場面が記憶にない。これも女の子だって暴れたいアニメなんだろうか。その意味では、大人なのに小学生と同じ立ち位置で喋ってるあの警官はある意味ですげえヤツだ。子供と目線を同じにできる。最終話、公園の真ん中で布団持ってきて寝てるようなむちゃくちゃやっててもどこか愛嬌があって、それを見守っている大人がいる、という構図が最後に提示されて終わるのが良かった。最後だからひとまずお休みってことだ。EDがとりわけ好きで、曲もだけど特にあのイラストが良い。めばちというひとはこれ以外にもレヴュースタァライトでもEDやってる。めばち、毎回服装が違っているこのアニメの衣装デザインでもある。

ラーメン大好き小泉さん
ラーメン狂いの高校生小泉さんと、彼女をストーキングするやばいやつ悠をメインとするラーメン漫画原作アニメ。着丼とか完飲とか言ってるラーメンで頭がおかしくなった女と、その女で頭がおかしくなった女の話のうえに頭のおかしいラーメンがたくさんでてきて、大概頭おかしいのがいいところ。ミドリムシラーメンとか、パイン入りとか、一蘭の妙なシステムとか。ラーメンアニメと思わせて悠を通じてストーカーの発想を描写していくサイコホラーになっていく感じもあるんだけど、最終話、最後に小泉さんの悠をも越えうる異常性を描写してくるのがよかった。常軌を逸している愛という点でこの二人は似たもの同士だけどそれゆえに交わらない。ラーメンに興味がないのに自分に近づいてきた悠に対しては冷たいのに、その友達と偶然ラーメンに関して話が繋がって仲良くなっている関係が面白い。あと、汁物なので食事時に髪型が変わるのとかがポイント。OPのフレデリックが提供した曲も面白いけど、EDがラーメンのTVCMをモノクロ時代のものから歴史的にパロディでたどりなおしつつ、それを映す枠がブラウン管、液晶、スマホへと変わっていくのも良かった。

サンリオ男子
男の趣味と思われたものを女子がやっていく趣味アニメがあるかと思えば、こちらはサンリオキャラを愛好する男子高校生を描く青春アニメ。ぬいぐるみを女みたいな趣味となじられてポムポムプリンと祖母をないがしろにしたまま亡くしてしまった悔恨から、自分の趣味を肯定していく。このアニメずっとサンリオキャラを通してその人の幼い部分をすくい上げてそのなかから幼稚さを組み立て直して優しさに変える、ってことをやってる気がする。かわいい物好きを抑圧される話の次に、意に反して、かわいいやら女装させたいやら言われる系男子の話、嫌だって言っているのにそれも含めてかわいい扱いし、相手を幼稚なままに押し込めようとする母親たちの、暴力としてのかわいい、に切り込んでて面白い。サンリオ趣味を、子供っぽいと否定する回のほか、「男のらしさ」への憧れからサンリオ趣味の否定につながる話と、男子高生のサンリオ好きへの違和を取りあげつつそれを肯定していく作品。

ミイラの飼い方
comico連載漫画を、ゆゆ式のかおり監督がアニメ化した作品。ミイラ、という小さいマスコットみたいな不思議な存在と出会い、新しい家族として飼うなかで、知り合い連中もそれぞれに変な存在を飼い始めて、というほのぼの日常作品。細かな仕草に気を配ったゆゆ式かおり監督の佳作で、ED、曲の終盤で突如真顔で切れのあるダンスを繰り出すアニメーションが面白すぎるので一見の価値がある。

メルヘン・メドヘン
2016年に亡くなった故・松智洋原案のアニメオリジナル企画。シンデレラやかぐや姫、あるいはイワンの馬鹿などの物語の力を使って戦う能力バトルもの。それぞれの物語は原書と呼ばれ、契約したものは特殊能力を使える、という。前半はシンデレラをベースにしており、既存の物語に囚われるのではなく己の物語を語ることへの転換を語り、王子様に興味がない!っつって同性に好きでした、と告白するシンデレラの鋳直し、というテーマはかなり悪くない。王子様を待つ女子のイメージを百合で書き換えるっていう。最終回までまだ公開されていないという問題があるけれども。

りゅうおうのおしごと!
のうりんの原作者による将棋ラノベ原作。高校生棋士のもとに突如やってきた小学生女子の二人を中心にする将棋アニメで、漫画版を読んでるけど、小学生女子が押しかけ妻やるっていうロリコンネタをフックにしながら、将棋ものとしてはかなり読ませる作品でもある。姉弟子桂香の年下に追い越された人間の将棋をめぐる逡巡とかかなり面白いんだけれど、ロリコンネタと作品がじつは微妙に分離してる感じもあって、ロウきゅーぶの作者ほど少女に真剣でないというか、それでいながらアニメでは絵的に映えるロリコンネタを強調している感じがあるな。

2018年春(4~6月)

ウマ娘 プリティーダービー
サイゲームスによるアプリゲームとのメディアミックス企画としてスタートしたアニメのはずなんだけれどいまだにゲームが出る目処が立っておらず、オリジナルアニメでいいよね。さまざまな擬人化美少女化コンテンツがある現代、競走馬を擬人化するという企画で、聞いた時は調教とか繁殖とか人にするとやべー概念がたくさんあるぞと思ってたら、かなりいいスポーツアニメだった。人より速い馬に乗る競技を擬人化したら徒競走になるのは180度ずつ二回転させたら360度って感。スペシャルウィークサイレンススズカをメインとしつつ、ゴールドシップダイワスカーレットトウカイテイオーウオッカメジロマックイーンのチームを中心にしている。競走馬の擬人化ではあるけど競馬ではないので、レースは徒競走という単純かつシンプルでそれでいてウマ娘たちがバカスカ飯を喰う場面が頻繁に差し挾まれるあたり、身体性のシンプルな魅力があった。走る、ただそれだけの力強さ。ほとんどライブもやらないし風呂を映したりもせず直接的なエロさを控えていながら、身体を前景化してくる。エルコンドルパサー等日本競馬の歴史を踏まえつつ、現実では悲劇に終わったサイレンススズカの物語をスペシャルウィークと併走させて別の歴史を描くあたりのくだりは非常に良かった。多くの人はリアルスズカのことを知ってるから、アニメのスズカの一挙手一投足が激しくエモーショナルに印象づけられることになる。ウマ娘のメディアミックスとしては速いほうのサイコミのハルウララ漫画見てると厩務員とか牧場主とか調教師がいて、この時点では単に競走馬を擬人化しただけになってて、この設定でアニメ化したらまずかっただろうなという感じ。家畜化された人間だもの。

●TO BE HEROINE
中国オリジナルアニメで、前作があるらしいんだけど私は見てないしいくらか前作キャラもいるんだけれど、非常に面白い。はじめは中国語に字幕となってて、アニメを字幕は厳しいなと思ったら、異世界では日本語になる面白い設定だった。現実世界でのリアルな闇と子供たちの戦いと、異世界での脱いだ服が人の姿をとって敵と戦うバトルが並行展開するアニメで、中華アニメらしいトンチキさと作画のキレがあいまってかなり面白い。日本語の異世界パートは「二次元世界」で中国語の元世界が「三次元世界」という設定になっている。敵の散り際の台詞が「ベストはやはりコットン一〇〇%が最高」とかだったり、それギャグなのかってネタがガンガン出てくる。そういう中国アニメらしいギャグがあるかと思えば、現実世界の話はストライキでの抗争で友人の親が死ぬ展開から、親子二代にわたる愛憎劇と企業城下町の闇が絡まってものすごく重い話になる。そして、社会悪に立ち向かう子供達の苦闘が描かれる。少年光は名前の通り正しさ、正義の化身でもあるから、その光は相手に見えない。一話もかなりのものだったけど、最終話の一斉召喚でのアクション作画の見所オンパレードの場面はすごく感動的。全七話の中篇アニメともいうべき尺で、ちょっと長めの映画のような感覚。古いヤングアダルト向けっぽい。こんな真っ正面の「正義」の話をいま見るとはという驚き。見ている人が相当少ない気がするけど、社会派ジュブナイルともいうべきアニメで、もうちょっと知られて欲しい作品。

ヒナまつり
インテリヤクザ新田のもとに現われた女の子ヒナが未来からやってきた超能力者で、その力でヤクザを翻弄して衣食住を確保しつつ生活していくギャグ漫画が原作。人の良いヤクザと超能力者でリアリティレベルを全部どうにかできるのが便利だ。無気力だけどやりたい放題のヒナと同じく未来からやってきた超能力者のアンズが真面目な性格でハートフルなエピソードの対比とかもあるけど、とにかくギャグとして面白いアニメになっている。超能力者にしろ一般人のはずの瞳にしろ、子供がガンガンろくでもないことをしながら大人を翻弄していく。とつぜん落ちてきた子供をなんの関係もないのに拾って育てて大事なものをぶっ壊された挙句の勘当をしたかなり聖人の新田を、罵倒して塩撒いて追い返した詩子こそ小学生をバーテンダーにして働かせて何もしないで金入ってこないかなとか言ってる鬼畜邪道の者なのがすごかった。この手の作品は、見ている時はとにかく楽しいんだけど、改めて感想を書こうとすると特に出てこなくなるものの、非常に楽しい作品だった。今期ウマ娘もあるのにこちらも及川啓監督なのが驚異的。こちらではは全話の絵コンテを担当してる。

こみっくがーるず
きらら系四コマ原作作品。漫画家あるいは志望者が暮らす寮で高校生の少女四人を描く。女子高生に萌える欲望を隠さないオタクにしてメチャクチャ自虐的な性格をしていながら、漫画を描くことは諦めない強かさも持つ、かおす先生こと萌田薫子が面白い。すごい打たれ弱いように見えて、その実ものすごいタフでもある。このかおすと同部屋の小夢や、すでに漫画家として活躍している琉姫と翼がいて、最初はまあまあくらいに思っていたら三話くらいから特に面白く感じられるようになってきて、特に四話、児童書なんかを書きたいのにティーンズラブ漫画(女性向けエロ漫画)として活躍してしまっていることに悩んでいる琉姫の話数は非常に印象的だった。望まない仕事をしていると思っているんだけど、そこには作品を楽しみにしているファンがいて、イベントで現実の読者の姿を目の当たりにすることで、自分自身を肯定できるようになるという。この、自分自身と向き合うことの不安を鏡の前で髪型を幾度も変えて逡巡する様子を細かな髪の流れの描写とともに長回しする心理描写は今年随一の場面だ。第一の読者としての寮母さんの言葉と彼女による化粧で人前に出る自信をつけさせるくだりも良い。この四話と並ぶ印象度では八話の、寮母さんや薫子の編集者、そして四人の高校での教師がともに自分たちが漫画家になろうとしていた高校生だったころのことを交えて大人として彼女たちを見守る回も、描き続けることがいかに大変か、を今全員が描いてない大人組から照射するのが効いていてとても良かった。ワンクールかけて読み切り掲載が決まるという、あまりにも遅い前進だけども、何度へこたれても決して諦めないタフさが印象的で、この一人でやるしかない創作、のまわりにどんなにたくさんの人がいるか、ということが描かれてた最終回もあわせて、いい作品だった。作り手の新人への共感と応援みたいな部分が強く感じられて、これで初主演だという主人公役の赤尾ひかるは、感慨もひとしおだろうな、と思った。

Caligula-カリギュラ-
ゲーム原作でライターは初期ペルソナのライターらしい。今いるこの世界が作り物の仮想世界ではないかという話から、この理想の自分になれる世界で暮らすことと現実に帰るべきだとする勢力の対決がメインストーリーとなっていく。自分の痛みと向き合うことに真摯な話で、同時にメビウスにしか自分を肯定する場所がない、理由が深刻な敵役を描写したがために、残りたい人の意思が反故にされることへの懸念が残るか。メビウスでしか自己を肯定できない人は。それもあわせて佳作だったと思う。上田麗奈は今作も含めて、ロボやAIやら神やらの非人間的存在性を担うことが多いなあという感触を再確認した今年。


ラストピリオド -終わりなき螺旋の物語-
スマホゲーム原作アニメ。監督キャラデザスタジオがツインエンジェルBREAKと同じで、街の名前がホープレスだとか、ガメツ村の語尾がゼニのモカルさんとかいうネーミングやちょこちょこ小ネタがテンポ良く挾まれててガチャゲーを自らネタにしていくノリの良さがある軽快なコメディだと思っていたら徐々に本性を現わしていくパロ・ネタアニメで、三話でひぐらしのなく頃にの登場人物がマジで出てきたのはスマホゲームと言えばコラボってことなのか、別作品だから攻撃できないっていうメタネタを、どうもその作品中最凶のキャラでひっくり返すあたり、ひぐらし未見の私でも鉈女ぶりは知っていたから笑ってしまった。アニメでここまで他作品のキャラをコラボで出してきたのって他にあったっけ。けものフレンズ騒動をネタにしたり弾けた回もあれば良いギャグ回もあり、ネタ作品としてはかなりインパクトがあった。九話の爆発したギャラクシーのスマホネタを扱った回や、十話のメタスマホゲームアニメがスマホゲームに取り込まれるという怪談回など、また終盤は米朝核戦争ネタで落としてくる。真面目なファンタジーアニメが見たかったらメルクストーリアを見ましょう。

魔法少女 俺
魔法少女に変身するとマッチョ男になるというギャグ漫画原作。メインの片方が主人公を熱烈に愛する百合っぽさが変身するとBLの絵面になるという二段構え。少女漫画系ギャグという感触があって、なかなか面白い。全二巻の漫画を原作にしていることもあってか、多少テンポの悪さを感じるんだけど、シンゴジラをアニメ制作でパロった回とかもありつつ、バカバカしくて良い。さらっと女性アイドルに集る性犯罪者が描かれていたのがインパクト大。

ルパン三世 PART5
第五期とのことだけどルパンのテレビシリーズ通して見たのたぶん初めて。ネット時代一千万の監視の目のなかでの怪盗、というアプローチが提示されて、デジタルネイティブな少女アミを主要人物として展開していく、現代の怪盗物語。同時にルパンと次元の男二人で楽しくやってる感もすごくて、この楽しいBLというかホモソーシャル感は作品の魅力だろうなとも思う。不二子、銭形などのキャラの話も掘り下げられててルパン三世がどういう作品なのか、このPART5だけでも理解できるように作ってあったと思う。しかし六話は、作画も話も昭和で過去作のパスティーシュみたいなすさまじいギャグ回だった。IQじゃない、脳力(のうぢから)。盗みにきたのに正面から入っていくし、脳力を下げる話の脚本とかキャラの知能が徹底して頭悪いのすごい。「おりこう酸」て。ルパン頑張れの挿入歌もありバカ回として記憶に残る。

Cutie Honey Universe
言わずと知れた永井豪原作漫画だけど、漫画は知らないのでどれくらい原作準拠でアニメ化されたのかはわからない。なんか変なアニメだなって感じがしていて、ん?そうなる?みたいな演出がよくあって、逆に画面に釘付けにされるところがある。六話で学校が襲撃されて教師も生徒も皆殺しってそうかこれが永井豪か、と。冒頭でギャグっぽく描写されてたマッチョ番長や愛を誓う校長夫人たちの死に方とか、ある種の雑さ、軽さがそのまま残虐さに接続されるのは自覚的な俗悪さという感じ。かと思えば、敵ボスはハニーを追い詰めるためだけに味方も、ハニーの親友も殺していき、相手のすべてを奪って自分だけを見てほしいという激越な百合アニメでもある。レズビアニズム。そうした残虐さとともに、10話で敵幹部が私より強いジルさまにお前が勝てる点を言って見ろ、とプレゼン大会がはじまるコント感は中国アニメのそれのようでもある。でも一番面白かったのは最終話、ピンチのハニー、そこに現われたのはハニーの格好をした仲間たち(男)! 誰が本当のハニーだ、証拠を見せて見ろ! 流れるオープニング。この腰つきを見よとハニーの格好をしたオヤジと息子たちがキレのあるダンス! その後の展開も含めて、ああこのアニメ見てて良かったなって思った。すげえ笑った。どれくらい原作に忠実なのか知りたいと思ったけどまだ読んでないな。

3D彼女 リアルガール
少女漫画原作。オタク男子が遊んでそうな女子を敵視してるんだけどその子から告白されて付き合ううちにその内実を知っていく、という感じで、話を聞かない思い込みで動く主人公が偏見なく相手を受容するヒロインとの関係で成長していく。自己肯定感の低さが認識を歪ませてしまう主人公が悪手を選び続けるなかなか難儀な話で、このシリアスな自己否定性の克服というテーマ、魔法使いの嫁もそういう作品だった。自己肯定感の低さと、それを抉りにくる現実という地獄めぐりを経て自分を肯定していく。オタク男子とギャル女子の話を作るとして、少年漫画とかだとこういう話にはならない気がする。女性がいかに現実で自己肯定感を削られているのか、という背景を読みとってしまう。

甘い懲罰〜私は看守専用ペット
エロアニメに最適化された設定と展開の速度、局部を隠す白手袋、半端ない攻撃力で僧侶枠として知られるコミックフェスタアニメとしてもかなりトップスピードで笑いしかない。更正省、快楽刑のネタ力高いワードセンス。匍匐前進カットの面白さは公式自身が何度もCMでネタにする破壊力で、一見の価値がある。かなり面白い。

異世界居酒屋「のぶ」
小説家になろうで発表されてた小説が原作。10分アニメをyoutubeなどで公開していく配信先行作品で、実写の料理コーナーや食べ歩きコーナーなどが後についてたり、本篇にやたらとテロップが付いてたりしてバラエティ番組のような編集がなされていて、これが不評ではあったけど、なかなか見ない作風だった。久野美咲が出てくるので良いアニメ。わりと良い作品だと思うけど、尺の関係などもあり漫画版がことに良い。

●プリティーシリーズの新作キラッとプリチャンアイカツシリーズの新作アイカツフレンズもスタートした。プリチャンは監督が替わってアキバズトリップなどの博史池畠監督でスタートしていて、動画配信をすることをメインにして、Youtuber時代に対応したコンセプトになっている。以前までのカオスキッズアニメ色がやや薄れているのが惜しい。アイカツフレンズはスターズとはまたちょっと違って、フレンズと言うとおり今度はあまりヒエラルキー構造を感じさせない設定になっている。フレンズ、という通り二人でコンビを組むことが中心になってて、フレンズ同士の関係の深化がテーマなので、かなり百合っぽいというか、フレンズといいつつ結婚の象徴を埋め込む演出なんかもあって驚く。

2018年夏(7~9月)

●音楽少女
この夏クール、予想外の場所から現われて私的今期ベストアニメの地位を奪っていった作品。結構前に元になるOVAやCDリリースがあったらしい、オリジナルアイドルアニメ。九人のアイドルグループ「音楽少女」に出会った山田木はなこが、アイドルとは何かも実際には知らなかった状態から、その活動の手伝いをしながらメンバーそれぞれのアイドルとの向き合い方をまのあたりにし、アイドルとは何かを知っていく。音楽家の家に生まれながらダンスの才能はあっても音痴だったという脱力感あふれる一話の導入には、同時に迷子だったはなこが出会ったのが「音楽少女」だった、という意味があり、自分のやりたいことがなにかがわからない主人公山田木はなこの夢を見いだすまでの過程としてこの作品があったことを示している。一話の脱力感あふれるさまざまな展開や小ネタを見てわかるとおり、ある種のトンチキさや予算のそれほどかかってないだろうチープさが作風にとって不可欠の要素となっていることが重要な意味を持つ作品でもある。一話段階では、なんかキッズアニメ的面白みのある作品だと思っていたんだけれど、三話の出来のよさや四話の化粧が得意なアイドルが完全に別人みたいなすっぴん顔を出してくるチャレンジ精神なんかも面白く、作曲、衣装、化粧、といったアイドルに必須なもののできていく過程そのものを通してアイドルを見つめていく面白さがあると思っていたら六話が傑作。偉い作詞家の先生のスランプの理由として、自分のなかの少女が死んでしまったから書けないんだという話に対して、メンバーの書いてきた詩を読んで彼女のダンスを一緒に踊ることで、自らのなかの十七歳の少女を生き返らせる、というロジックは通っているんだけれど、実現された絵面がおじさんとアイドルのシンクロダンス、という笑うしかないものになっているところに、真面目な滑稽さを自覚して作っていることが明確に現われていた。そしてこの回によって、OP曲が小倉唯の歌う「永遠少年」だったことに筋が通るわけだ。女性が自分のなかの永遠少年という「胸の奥にいつまでも消えない希望」を歌う意味がここにある。このOPの不在と最後のピースはキミだったと歌うED曲が長く掛かる十話での楽曲演出は白眉のもの。そして最終話、ステージに立ったはなこの音痴で笑いになり、メンバー同士の喧嘩でツイッターが湧くありさまへの、アイドルなめんな、お前らは何を見に来たんだと啖呵を切る様子には、とうてい金の掛けられた作品ではないことがうかがえる音楽少女というアニメーション自身とそのネットでの反応がすでに埋め込まれている。演出やギャグを読めずに作画崩壊だとさわぐ連中への闘争心と自分たちの作るものへの誠実さを込めたようにも見える最終話は、夢を持っていなかったはなこの夢を見いだすまでの過程でもあり、アイドルとなり最後のピースとなったはなこがさらにまたこちらにむけてキミへと呼びかけるED曲が重なる。キッズアニメのようなトンチキさだったり荒唐無稽だったりする、一見して萌え系でチープで安っぽい変なアニメと思わせて、見ていくとそこには真摯なアイドルアニメとしての芯があり、この両方をきちんと意識した作風に感動的なものがある。私はトンチキだったり荒唐無稽だったりすること、そういうことがアニメには欲しいと思っているので。当時の感想についてはまとめたので以下参照。
音楽少女感想まとめ

はるかなレシーブ
きらら系でもフォワード作品ということで四コマではない原作。ビーチバレーを二人でしかできない団体競技で、だからこそかけがえのない一人を選ぶ競技だと定義する、百合ビーチバレーアニメ。沖縄を舞台にしてさわやかな昼光輝く浜辺でビーチバレーをしてる、健康的エロスに満ちたアニメで、このロケーションとラスマス・フェイバーの音楽がかなりいい。枚数をリッチに使った感じでもなく試合場面を適切な緊張感で進展させてるのが不思議とうまいアニメでもあって、健康的な感じと快活さが作風の爽やかさを生み出している。初心者の目を通してスポーツの基礎的なことを説明して、かなたへの追いつきたいというモチベーションに繋げてて、ちゃんとそれが楽しそうに描いてるのが良い。すごい良かったけど書くことがあまりないな。このクールで気になったのはこの明るさと対比的に暗さが印象的なはねバドで、はねバドには私は結局好印象を持てなかった。変にストレスフルな展開にしたりして重い圧を加えれば面白くなるかのような感触がその動かしまくる作画コストと相俟って、やたらと重苦しい作品になっていながら原作由来と思われる軽いサービスシーンなんかをそのまま入れてくるようなつくりは、序盤はコミカルだったらしい作風が途中からシリアスに転換したという原作由来のものもあるだろうけれど、どうにも。作画や演出はすごいんだけど。この対照あってこそのはるかなレシーブの明るく爽やかで楽しいスポーツアニメの良さが浮き彫りになってる感はある。去年のつうかあと並ぶ競技性と百合色を密接に連携させた百合スポーツアニメだろう。

ヤマノススメ サードシーズン
登山アニメもすでに第三期になり、今シーズンでは登山というよりもあおいとひなたの二人の関係性を中心に描いたものになった。友達のいなかったあおいと社交力のあるひなたのとりあわせで、ひなたの計らいであおいに友人関係を広げさせていこうとするんだけど、その広がった関係のなかであおいが自分から離れて行ってしまうことに嫉妬していく自縄自縛のひなたを印象的な演出で丁寧に描いていく。四話はそんなひなたたちがあおいをカラオケに誘って一緒に友人になる、というあるいは山に登る以上に高いハードルを越える話。一人ではダメだったかもというひなたへの腹立ちまぎれの感謝があって、一人では登れないものも二人なら、という流れからこの二人のEDデュエットがやってくる。松本憲生ひとり作監原画で、アクションがあるわけではなく重要な話数の日常芝居に名のあるアニメーターを使う回だった。中盤以降二人のちょっとしたすれ違いが徐々に広まっていくなかで、特に10話は作画演出がかなりハマっていて印象的な回だった。コメディタッチの前半から夕暮れとともに翳ってゆく感情の流れを演出していき、夕暮れの光差す日向には「止まれ」の文字。この話数であおいとひなたはたぶん一度も正面から目を合わせてない。この外した目線、返されないLINE、直接会うことができない後ろ姿、風呂に沈んだ時に髪と泡しか描かず顔を映さないという間接性のなかで、すれちがう二人を正面から見据える友人二人がいて、あおいに一度忘れられていた友人が今度は忘れないでね、と言う瞬間にバーッと光が差してくる。あおいにとってようやく人物が明確になる。構図、フィルター、光源、フレーム、細かい仕草までほんとうに劇場版みたいな演出回だ。そこから山を登ることで仲直りをしていく終盤になっていくけれども、形のあるなしを含めていろいろなものを渡し渡される関係として二人を描いていくのが良かった。

●悪偶 ‐天才人形‐
スタジオディーン×中国、の霊剣山を思わせる組み合わせから放たれる中国漫画原作アニメーション。人を小さなゾンビにして体に埋め込み、即席に才能を得る悪偶という邪悪な存在にまつわる怪奇譚を導入に、能力バトルアニメを展開していく。親友に裏切られ全身火傷を負い愛への殺意に目覚めた町と、町を絶対救うと決意する愛のすれ違いの愛憎劇を主軸にする重い百合アニメという感触もある。そのなかでラフという少年が力を過信し、救済者として悪を倒す役目を勘違いし、怪しいヤツを根拠なく攻撃していくメチャクチャな展開をたどって、このラフが途中でメインから外れるんだけれど、こいつ最後まで再登場しなかったので、ただのやばいやつでしかなかったのは本当に笑ってしまう。OPでの活躍は一体。代わりに老師ラショウと、少年メンとその母親がメインを張り出すようになるんだけど、この年齢構成で話を回していくのが面白くて、しかも敵味方の構図がなんども入れかわる無茶な展開力と、メンの父親がバスケユニフォームで現われスポーツやってるから戦える、という変な絵面を生み出したばかりか、「フィボナッチ数列を使った暗算攻撃」とやらが出てくるのが最高に面白い。暗算で相手の思考力を奪うっていう話と、先を取られて結果的に暗算力勝負になってる展開、なにが勝ち負けになるのかよくわからないところはある。しかしこの無茶なハッタリの面白さ。急転に急転につぐなかでの最終回、意外な人物の意外な真実がぼこすか出て来て一ヵ月後集まりましょうと期限切ったのに、その一ヵ月後はお前にはこねえ!と言わんばかりの「ご視聴ありがとうございました」で終わってしまってこれは笑う。最後の数分でとってつけたような最終回感を匂わせる暴力的な結末、なにもかもが-天才アニメーション- だった。一言で言うと中国のジョジョって感じ。本当か? 中国アニメらしいギャグと予想のつかない(整合性を気にしないとも言う)展開の連続で、まあ楽しい楽しいエンターテイメントだ。ED曲が良い。

●プラネット・ウィズ
水上悟志がネームを書いたというオリジナルアニメ。クラーク『幼年期の終わり』にヒーローものの要素を加えた、というか。力をめぐるパターナリズムと自己決定の対立に異星人の子供という他人事のはずの主人公が斜線を入れる。少年時代から始まり、徐々に成長していく主人公の姿を全三部構成のなかで描き、ワンクールによくもこれだけ詰め込んだなというほどに内容を詰め込んだスピード感で走り抜ける。六話で一部、四話で二部、二話で三部を語るという加速度的な構成もあいまって、なんとも完成度が高かった。きっちり語りきった熱い作品だけに、これもまた書くことがないな。田中公平の劇伴も印象的。

ちおちゃんの通学路
通学路、をテーマにした漫画を鬼才稲垣隆行が監督した作品。FPSゲーマーの主人公ちおがパルクールばりに通学路をハックしていく、みたいなところから始まって、親友真奈菜とのゲスい友人関係を中心に話を回していくんだけど、大空直美小見川千明のメイン二人の声がかなり存在感があって面白い。ことごとく話がひどいっていうか汚いっていうか。最終話も尺あまりと宣言して嘘予告からのNG集って展開で凄かった。SEつきOPから始まって、最終回自由だったな。原作に見合ったアナーキーなアニメだった。

あそびあそばせ
こちらも漫画原作の岸誠二監督アニメで、ギャグに定評のある監督二人が女子中学生メインのギャグアニメで併走していたクールだった。こちらはメイン三人が、部活と称していろんな遊びをしていくんだけど、ちおちゃんとも通じるゲスい友人関係を、より女子の生っぽい感覚のなかに描く印象がある。漫画を拡大したものを台本にしてプレスコで収録しているらしく、圧倒的にテンポが良い。美少女が顔を崩せばギャグになるってのはどうかと思わないでもないし、変顔が妙に気持ち悪い絵になっていることもあるけど、オリヴィアの髪型を頻繁に変えていくあたりの細かいこだわりも悪くない。木野日菜の喉を壊しそうな演技のテンションとまくしたてるテンポの圧で笑わされてる感があるけど尻からビームが出る話を押しまくられると笑うしかなかった。前多というおじさん一体何なのか。一人でリアリティラインをぶち壊していく。学校内が中心のこれとちおちゃんの通学路、場所は違えど女子中学生が中の下というか陰キャだとかいって、同じ下位カーストに相手を引き込もうとするこじらせた友情のゲス百合?アニメな点は同じ……かも。

少女☆歌劇 レヴュースタァライト
キネマシトラス制作、現実の舞台でのミュージカルが先行するメディアミックス型企画。一話の突然な幾原邦彦アニメのようなバンクシーンから、ミュージカルっぽく戦う展開はなかなか鮮烈で面白いし、芝居のアニメならどんだけ芝居がかってもいいというつくりは発想の勝利だなと。音楽学園で跳んだり回ったり歌ったり殺陣したりしてたから、地下で名乗り上げて決闘しても違和感がない。ウテナっぽいと言われるけど、幾原的演出を棘なくわかりやすくした感があり、バンクの生産シーン、ピンドラぽいけどあれは逆接でこれは順接って印象。九人の歌劇少女がオーディションと呼ばれるこの戦いに身を投じていくっていう展開で、各キャラのそれぞれの舞台への物語を描いていく話で、個々の回は面白いしキャラそれぞれの関係も嫌いじゃないし、レヴューと楽曲によるアニメーションは面白いんだけど、この人達が結局何をしているのか今以てよくわからない、という感覚が強く残った。この地下のオーディションは望みを叶える代わりに何かを奪う、というまどマギ的な邪悪な契約のテーマでそれを乗り越える話でもあるけど。なんでみんな地下オーディションに参加しているのかいまいちわからなかった。各人同士の感情のぶつかり合いの百合に対する真剣さほどには歌劇要素がいまいちピンとこないところがある。あとやっぱり露崎まひるが体の良い当て馬として用意される感じがして、もうちょっと活躍して欲しかったというか。これ現実の舞台版はまた違うような気はするのでアニメだけ見てると作品を捉えきれない感じはするな。

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
異世界召喚ものラノベのアニメ化作品で、小説家になろう原作ではないやつ。キャリアのあるラノベ作家が異世界チートハーレムを書いてみる、という作品のよう。プレイしていたゲームの世界にに召喚された主人公が、人付き合いが致命的に苦手なことから魔王のロールプレイをすることでその異世界に適応していく、というコミカルな設定を主軸に据えた話になっている。奴隷魔術と言うからどうなのと思っていたら、そもそもヒロイン側が主人公を奴隷にしようと思っていた魔術が反射してそうなった、となっていて、奴隷設定も魔王設定もひねりが入っていて、ここから手際良くコメディが展開されていて面白い。召喚世界の謎とか奴隷魔術とか主人公の設定とか、エロとギャグをぶっ放すための状況の「言い訳」をつくるのがうまい感じがある。言い訳ってわりと大事。それでいてハーレムものとしてエロ要素もがんがん入ってくるんだけれど、なんかあまり下品にならない感じがある。魔王や奴隷や世界設定その他、異世界ものでも元からラノベだったためか、設定がなかなか面白く機能していて、異世界チートハーレムをうまく転がしている。

●ガルパピコ
森井ケンシロウ監督が総監督の地位に変わっているけどノラと皇女と野良猫ハートのスタッフともかぶる制作陣による、バンドリショートアニメ。バンドリはアニメ版しか知らないので、ポッピンパーティ以外のバンド連中はよう知らんけれど、毎回なかなか尖ったネタでだいたい面白い。特に九話、コロネが好きすぎてコロネになってしまう牛込りみ、くだらないネタのはずなんだけどカフカ伊藤潤二コレクションかという無茶な絵面でバカみたいに笑ってしまってくやしい。

中間管理録トネガワ
カイジのスピンオフ漫画原作で、私はカイジも序盤しか知らないしそのアニメも見ていなくて、川平慈英のナレーションがこれはちょっとあまりにもアレじゃないかとは思ったものの、なんだかんだわりと面白かった。ブラック企業ゆえのブラックな面が結構ありつつ、ハンチョウが出てきて絡んだりして後半はまた毛色が違ってたりした。ざわボイスで遊んでるの最終話のは一発で誰か分かるやつで笑った。

2018年秋(10~12月)

●あかねさす少女
アプリゲームと同時展開していたけれど、概ねオリジナル作品といっていいだろうアニメ。ラジオを使った儀式によって並行世界へ行けるという都市伝説を実行してみたら、実際に行けてしまい、そこでは黄昏、という世界を侵食する現象が起こっていて、という導入なんだけれど、変身バトルやらなんやらがありつつも、主軸にあるのは高校生の少女五人たちがそれぞれに抱える思春期の悩みを、並行世界の別の可能性の自分の経験を通して見直していく、というきわめてまっとうなジュブナイル作品の趣がある。それでいながら、各並行世界の突拍子のなさや展開のトンチキさは、バカバカしく愛嬌があり、テーマへの真摯さと荒唐無稽なおかしさを両立させて、個人的には非常に好感度が高い。二話、三話のなな回での、石の意思とかチョコバナナがどうこうとか、駄洒落が話の本筋に重要だったりするくだらなさ、四話五話でのかわいいもののほうが好きでしょと言われてきた、ヒーローになりたかった少女の話が、エセウェスタンを舞台にはちゃめちゃなコントかましながら自分のなかのヒーローを見つけ出す話のバランス感とか、六話七話の、みんなといることに慣れてしまったら僕は独りでいることを怖れるようになるんじゃないか、という不安のモノローグから出発する仲間と自分の繊細な悩みとか、良い感じ。で、この思春期のちょっとした、でも本人にとっては大きな悩み、みたいな日常性から、終盤の優そして明日架の問題になってくるとかなりシリアスになる。とりわけ12話最終回、いなくなった双子の弟今日平にかんする明日架の問題は、明日架自身が弟がいなくなった時、悲しさよりも自分のせいだと思われないように泣いていた、という小学生らしい生々しい自己中心的な理由なんだけど、その、弟の消失を悲しめなかった、自分自身を許せないという思いから、どこまでも自分は今日平の代わりに生きなければならない、という枷になり、弟の夢を叶えようとしていたということが、別の自分との対話のなかで解きほぐされていく。一話の四時四十四分の儀式、から最終話Cパートで目覚めたときの時計は同じ数字を指している。夕方と早朝で十二時間先に進んだ。儀式の、すべての始まりだった黄昏迫る茜差す夕方の時間を、明日架の新しい目覚めとこれからの未来を指し示す朝焼けへと転換させ、変身アイテムを最後の最後の場面で手に入れる、というカットが素晴らしい。明日が今日になる、夜明けのその瞬間。子供から大人へのその間、を黄昏と朝焼けのあかねさす時間という中間領域として捉え、また金沢の街を山と海に挾まれた場所として取りあげ、浜辺を自由と未来のこれからの船出に擬する舞台設定も見事。ワンクールを通じて、変身アイテムを手に入れるまでの過程を描き、主人公自身は一度も変身しなかった、というところが鮮やかだった。また、あらゆる可能性の象徴としてのフラグメントと、そのどこにもいない可能性の絶無としての今日平とで、可能性に満ちた生きることと死ぬこととのあまりに残酷な対比がされていて、今日平がラスボスでもなんでもないところに真の誠実さがあった。生きている者にとって、その喪失に囚われるのではなく、罰から逃れて自由になるなかで、その喪失を真に受けとめられるようになるまで。「今日ちゃんのことを思う人がいなくなっちゃう」「忘れるわけじゃないよ、時々思い出して、思い切り泣くの」。放課後のプレアデスのリリカルさやSF性があったところにトンチキさをぶちこんでくるような作品で、桑島法子の使い方も似ているんだけれど、放課後のプレアデスは出会う話だとすると、あかねさす少女は別れる話。桑島法子と出会う話と桑島法子と別れる話。伊藤賢治桂正和、EDの壊れかけのRadioの徳永英明とかちょっと四〇前後くらいの人が琴線に触れるようなスタッフを集めながらかなりまっとうなジュブナイルなテーマを描いてたの、微妙にこのテーマを伝えたい人には届かなさそうな座組な感じがしないでもない。こういうテーマってむしろいい年の大人がやりたがるんだろうなと。なんにしろ、秋クールベストのアニメとして私はこれを挙げる。

●となりの吸血鬼さん
コミックキューン連載の四コマ系原作を、スタジオ五組がアニメ化した作品。現代に生きる吸血鬼ソフィー・トワイライトと出会った人形狂いの天野灯が、ソフィーの家におしかけ居候して、その現代的オタクの吸血鬼の人間とはまた違った生活や考え方をコメディとして描いている。吸血鬼百合漫画はかなりたくさんあると思うんだけど、今作の特徴的なところは血を吸うこと、吸血鬼になるかならないか、という問題を中心にしていないことだと思う。人間と吸血鬼という別の種族で、夜起きて朝寝る吸血鬼と人間の生活サイクルのズレや考え方のズレを、相互に知って理解しながら一緒に暮らしていく日常をどこまでも日常的にその日常の尊さを淡々と描いている。天野灯の人形狂いとソフィーに対する変態的な欲情ぶりに対して、ソフィーは落ち着きがあって大人なんだけどいろんなところで人間の現実については結構抜けててっていう温度感。富田美憂のハスキーな声が非常に良く、絵も安定しており、原作で知っているのにアニメで改めて演出されると意外なほど良くて、なんともいえず素晴らしい。原作に忠実ながらその再構成がうまくて、時期の違う話数を組み合わせて流れを作るのが特に良かったのが七話、灯が軽率にソフィーを炎天下に連れ出す原作初期の鬼かよっていうエピソードと、外でうっかり寝てしまい木陰に避難していたソフィーを迎えに来る短いエピソードを組み合わせて、一人では危ないことも二人でなら大丈夫という形に落とし込んだのが原作を改変せずに再構成する手腕で感心する。朝顔と花火と花柄の浴衣と押し花のしおりと最後にひまわり、と花モチーフの連繋があり、花がそもそも太陽という光と密接な関係を持ちつつ、主要人物名がいずれも光と縁ある名前なのとあいまってよりいっそう印象的なモチーフともなっている。このCパートでは、「私とって来る」「いやいい、ここにいてくれ」が原作15話にないセリフで、かつ作品全体にも掛かってくる。そして花火を見たように二人で夕暮れを見る。このラストカットの風景、四コマゆえに風景描写がしづらい原作を補完して非常にエモーショナルになっている。最終回12話も、友達だから血を吸いたくない・食事として見たくないという、これ最終回に持ってくるんじゃないかというエピソードをきっちり持ってきて二人の関係をまとめなおしたあと、夜の散歩でこれまでの登場人物達を再登場させて築き上げた人間関係の広さを再確認しつつ、最後の最後に出会いの場面を自分たちで演じ直して、これからも一緒に歩いて行こうと伝える、素晴らしい締めだった。この話数でも飛ぶソフィーに引っ張られるのを描いており、また一話の場面と対比して一緒に地面を二人でゆっくり歩くことを強く印象づける。この場面にかかるEDの歌詞。OPとEDがともにすごく良かった。アニメでは親しみやすい感触が強いけど、原作のカラーイラストとかではソフィーのアンリアルな存在感が強くて、お人形さんみたい、と言われる理由がわかる、感じ。人をお人形さんみたいと形容するのはあるけど、実際に血が通っていない肌が冷たい人外をその理由で溺愛する人形愛好者が主人公の作品、改めて考えると結構なエッジ感がある。人形愛者にとって現世ではあり得ない意思のある人形と出会うという奇跡の話。

ゾンビランドサガ
MAPPA、エイベックス、サイゲームスの企画によるオリジナルアニメ。一度死んだものがゾンビとして蘇り、佐賀を救うためのアイドルとして活動していく、というトンチキにすぎるアイデアMAPPA制作としてはアイドル事変以来の変化球アイドルものだな。一話、これゾン思い出す開幕トラックが主人公をはね飛ばし鮮やかにオープニング繋ぎで笑って、吉野裕行出て来たのもだいぶ面白かったけどそっから宮野真守がテンションで無理押ししてくるのでかなり笑ってしまった。ゾンビ、アイドル、佐賀の無理目な三題噺が何かの間違いで成立してしまったギャグアニメって感じのスタート。しかし、ゾンビアイドルって、人生がすでに終わって生きるためのなにもかもが必要なく、アイドルへの夢以外何もない、まさにアイドルについてのゾンビ。二話のラップ展開が木村昴も引き込んでの盛り上がりを見せてたのも良かったけど、三話で死者の喪失感と不死者の解放感を入り交じらせながら観光地を歩くっていうの、逆少女終末旅行って感じがあった。世界が死ぬか自分らが死ぬか。で、特に良いと思ったのが、五話、最初から最後までギャグに振り切っててゾンビネタも生かしつつギミックもあわせてかなり良かった。ドライブイン鳥社長本人から佐賀県広報広聴課の人まで動員してローカルに徹するのがいい。巽の前話の反復の顎クイからの今話内での土ネタ反復の小技も。六話七話、昭和アイドルと平成アイドルを死者という同一平面におくことで、時代性の異なる二人のトップアイドルのアイドル観の違いを照射したこの話が、落雷という致命傷を負ってもゾンビだから大丈夫の精神で最大のトラウマを乗り越えていくクライマックスとともに、帯電してるから手からビーム出すって言うギャグ方面にも振っているのがよかった。そして時代錯誤もキャラとして包摂しうるというのがグループアイドルの現代性として決着させる。で、八話、泣かせの話と強烈なギャグを織り交ぜつつ、大人にならないゾンビアイドルの意味性を掘り下げる。第二次性徴でかわいいままではいられなくなるショックから死んだリリィが、ゾンビになることで時間を止めて永遠の女装少年としての見た目を手に入れられる、という可能性と、それとともに唯一の家族とも永遠に別れなければならないという隔絶を描いて、もっとも感動的な話数になっていた。ラストの歌詞、いつか夢でまた会えたらって、アイドルは夢を与え夢のなかにいてステージの映し出す夢のなかでなら会える、というアイドル性。大人にならない、変わらないということはゾンビと同じで、死者はその不変性によって偶像化が加速していく存在ならば、ゾンビこそ完全なアイドルになりうる。最終回まで見るとむろん非常に良いんだけど、それだけに終盤でもっと期待を超えていって欲しかったという物足りなさがある。災害逆境ライブ二度やる既視感はこれまでの再演って面もあるとはいえ、全体に既に語ったことの再確認っていう感じがしてしまった。既視感というよりさくらが引っ張ってきたフランシュシュの蓄積を経験してきたメンバーがさくらを引っ張り上げるっていう返答だから不可欠でもあって、よくまとまっていると思うんだけどさ。いや、ゾンビだろ、うまくまとめてどうするって思っちゃう。キャラと設定のポテンシャルはもっと高いって感じがする。リリィ回はゾンビでしか描けない話なのもだけど、死んでこそ夢を叶えられる存在として本作に不可欠なものを提示していたと思う。死んでも死なない不屈の前進を運命づけられたアイドルっていうのはなかなか面白いし楽曲もまたそうした熱を持っている。そしてこの不屈の前進という希望の話が、佐賀という特定の土地に基づいて描かれるのに意味があって、ゾンビランドという言葉には地方の窮状が掛かっていると思うんだけど、この作品の話題が佐賀の広報にもなるというところに作品の内外のリンクもある。

●SSSS.GRIDMAN
特撮として90年代に放送されていた電光超人グリッドマン、これ私も見てたやつで、内容はかなり忘れていたけれど、それが二十年を経てオリジナル?アニメ作品として作られた。ネット社会の到来間近のころの原作は、コンピューターウィルスとかネットワークでの電脳世界のあれこれのトラブルを、グリッドマンが電脳世界のなかで戦い解決する、というもので、主人公たちがパソコンを使ってグリッドマンに強化パーツを送ったりしていた特撮作品だったけれど、今作では怪獣が現実に現われ、グリッドマンもそこで戦い、現実の街が破壊されることになる。しかし、一日経つと街は修復され、そのなかで死んだ人は最初からいなかったことになって、日常が戻ってくるという奇妙な現象が起きている。街には巨大な怪獣がそびえ立っており、なぜか人はそれを気にしていない。特撮を原作とするアニメらしく、エヴァンゲリオン的な特撮的構図のアニメーションになっていて、あえてはりぼて感を出したり、着ぐるみ感やロボットの玩具についてるパーツを再現したりと、さらにまたエヴァ勇者シリーズやら特撮やらの細かなパロディの詰め込みがなされていて、先行作品のパスティーシュの様相を呈してもいる。この、オタクが好きなものを好きなように詰め込んだ絵作りはそのまま作品のテーマ性とも関連しており、なかほどで敵役とも言える新条アカネがこの世界を丸ごとつくった神だということが明かされるけれども、しかし、自分の好きなように作ったはずの世界がまるで自分の思い通りにならない、ということがじわじわアカネを追い詰めていくことになる。自分で作った虚構世界で、主人公裕太が現実のアカネに似ている六花を好きになってグリッドマンになり、アカネ自身に似た六花がアカネに強く寄り添い、アカネは自分で作り出した失敗作アンチ君に助けられる、という展開を経てアカネが目覚める、というのはどこかエヴァの劇場版を思い出させるけれどもここではむしろ虚構が生に必須のものとして捉え返されている点がかなり異なるように思う。自分にきわめて都合の良いように作ったはずの創作が、自律性を獲得しながら作者の思いもしなかったようなところへ連れて行く、というのはままあることで。書くということもまたつねに自分の想定していなかったことが生まれ出てくるプロセスでもある。そしてまた、特撮をアニメ化した作品が実写になるということは、特撮にこのアニメを送り返すことでもあり、ここでの実写には現実と虚構の両義性が働いていることは見逃せない。単純に現実に帰還した、というわけではない。先行作品の数多のパスティーシュによって本作が作られていることと、この虚構論は連繋しているわけで、フィクションを読むこと、そしてそこからまた物語ること作ること・創作が生を回復させる、その往還がここにある。親子関係がキーになっていたエヴァと女性同士の百合的な関係がキーになる今作での時代の変化を感じないでもない。目覚めたアカネ、あのパスケースがなぜあるのか覚えてないくらいの塩梅が良いかもしれない。

●うちのメイドがウザすぎる!
ロシア系小学生女子を気に入った自衛官上がりのロリコン女性が、超有能なメイドとして家にやってきた、っていうおねロリドタバタ百合漫画原作アニメ。kindle二巻が成人指定されてることで私のなかで有名。基本的にアビューズみのあるおねロリギャグではあるんだけど、ファッションやロシア系少女が自分の見た目の他人との違いに敏感だったりするくだりなどへの繊細な対処が光る。動画工房は今期アニマエールもあるけれど、こちらはハイコストなキャラデザと、それをがりがり動かしまくる作画回があったり、作画アニメっぽさが見所。六話は作画も内容も変態性を極めていてすげえ回だった。画角や動きにこだわった作画すごいし話のひどさも今まででいちばんかも知れなかった。ロシア系少女と日本人男性の親子、という関係は再婚の連れ子だったことがわかり、この親子の微妙な関係もありつつ、母を亡くしたミーシャと、父を亡くした鴨居つばめのテーマが描かれる最終回は、母のことを思い出さなくなってきた自分自身への許せなさ、という掘り下げ方をしていて、不在の人の部屋を片付ける、というあかねさす少女との共鳴を見せてきて驚いてしまった。ロリコンとドMの変態二人が迫りくるドタバタギャグアニメなんだけど、死別した親を持つ子供の複雑な親子関係をベースに据えて思いの外しっかりしている。ただ、五話、ゆいの「きっしょ、ブロックブロック」のくだり原作でとりわけ好きなところなんだけど、それはゆいが一切怯えも見せずにローアングルおじさんを切って捨ててる強かさだったので、アニメの追加描写は好きじゃないな。こいつそんなヤワじゃないでしょって。EDアニメーションがとてもよい。余談だけど、宇宙よりも遠い場所刀使ノ巫女、あかねさす少女、これ、それぞれ(死)別から年単位で時間を経た後に、改めてその喪失を受けとめるまでの物語を語るアニメがとりあえず今年はこう四つ浮かぶ。

●アニマエール!
きらら系四コマ漫画原作のアニメ。動画工房二つ目。チアリーディングを目にした、人助けが好きな主人公こはねがチアに目覚め、まわりを巻きこんでチア部をつくり、いろんな依頼に応えて応援に繰り出すチア題材のアニメ。ウザメイドに比べこちらはそこまで絵を動かさずしかし終始安定した画面づくりが維持されていて、チアでのアクションもグリグリ動かすと言うよりは要所を押さえてそれでいて躍動感がある動きだったように思う。元いたチア部でトラブルがあって消沈していたひづめを応援するこはねからはじまり、こはねが性的に好きすぎる宇希やひづめを同じく好きすぎる花和など、百合要素もギャグにしつつ、部員が揃ってくる中盤以降は特に安定した面白さがあった。チアという題材故にほかのいろんな人とも関係がつながっていく面白さがあり、女性同士の恋愛をフラットに後押しした回は百合アニメにはっきり恋愛と規定された女性同士が入って来てなかなか。特に八話は、部員同士だった花和の存在を覚えていなかったことそれ自体がひづめの過去を反省し、今の一見低レベルの部活のやりかたを肯定して、それが花和の問いの答にもなりひづめだけを見ていたことの反省にもなる噛み合い方がとても綺麗だった。自分のことしか見えてなかった自分の過去を省みて、今のレベルは低くてもメンバーときちんと意思疎通をしたチア、へと繋がり、応援することと支えることを重ね、最終回の自分を励ましたこはねへのエールへと収束していく綺麗な展開。

●CONCEPTION
今年一番の頭がおかしいアニメだったと思う。原作ゲームは「CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!」というもので、世界を救うために女性キャラを攻略すると星の子、というものを生んでもらい、その子供たちを組織して戦う、というゲームらしくて、このアニメでも突如召喚された異世界から日本に帰るには、なんか敵的なやつを倒してもらわないと、という話で十数人いる女性キャラを各回で攻略してベッドイン(半裸で抱き合う以上の何かをしているのか不明)に持ち込むんだけど、始終下ネタをかましまくるマスコットキャラや、その攻略の仕方も叙情的なものから意味がまるで分からないものまで幅広く、バチェラージャパンという婚活リアリティショーをパロディにしたらしい回ではそれを示唆するためかとにかくバッテラというワードを出しまくるとか、昭和趣味のヒロインが出てきて、セーラー服と機関銃の主題歌を突然EDで流したり九〇年代(平成だ)の懐かしドラマのパロが出てきたり、視聴者層をまるで意に介さないパロディセンスが尖りすぎている。六話とか、ヒロインを監禁してストックホルム症候群で攻略だ、っつうヤバすぎる回なんだけど、監禁されてるはずのヒロインと主人公の前を平気で横切る他のキャラがいて、全部を茶番にしてしまう演出に笑ってしまう。特にいかれていたのが七話で、下ネタ連発のひどさが霞むボケっぱなしの展開が洪水のごとく押し寄せてくるし、ちくわソーセージパンだけならひどい下ネタだけど、ちくわとソーセージの着ぐるみで抱き合うまで行くともはや比喩の位相がわけわからない狂気としか。かまこたちの昼(というかまいたちの夜ネタがあった)パートで配達特訓を積んだから二人で配達すれば早いぞ、という展開をすんなりと理解させるのうまいことやってんじゃねえって思うけどそもそもかまこたちの昼パートが無理くり挿入されてるから何もうまくはないの脚本の暴力がすごい。この回、一人でツッコミしつづけてるリリスがいたけど、あれはもしかして今話のボケに対するツッコミって意味だったりするのか? ボケとツッコミを完全に分離して配置してたのか? しかも一人ツッコミがそもそもボケだからボケのフリしてツッコミを入れてる。もしかして男も攻略するのか、と思わせて違ったり、でもメスのタヌキは攻略したり、最後には13重婚をかましてくる見事なハーレム作品ではあった。男もけものも重婚してしまえば良かったんじゃないかと思うけど、これは原作の攻略可能キャラとの兼ね合いだろうか。EDアニメーションが最高に面白かった。沼倉愛美の格好いい曲にすごい映像がつけられている。

●抱かれたい男1位に脅され​ています。
BL漫画原作。意外な面白さに驚かされたBLアニメ。俳優として人気の主人公が新進気鋭の男に抱かれたい男ランキングで抜かれてライバル視してたら、そいつがじつは主人公を狙っていて、という話で、ドラマ撮影の模様とリアルな人間関係を絡めて描写するあたりとかとりわけ面白かった。男に教われまくる主人公の受けっぽさ。天使呼ばわりされてる准太がとにかく性欲の塊でガンガン主人公を攻めていくことで話を回していく。

●メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-
スマホゲーム原作。同じゲーム会社のラストピリオドで警戒していた心を溶かす良質のファンタジーアニメというか。水瀬いのり瓶詰妖精メルクや小動物トトの魅力と、各エピソードのいい話感がとても良い。特に六、七話の夢の話。求めるものがまだ分からない母を亡くした少女と妻を失った父親、そして求めるものを探しているカボチャ、夢の世界で夢を探して夢を見るメルヘンチック世界が非常に良い。まぼろし、目標、架空の世界の三つの「夢」とはつまり「絵本」のことで、母を亡くした親子の話を本と夢をモチーフにして語る、泣かせる話だ。「あなたのお話はわたしの夢だった」、「君がいないと夢を見る方法も忘れてしまった」、「だったら一緒に夢を見るの」でその子自身が二人の夢だと帰結する運び。歌姫のエピソードの日笠陽子三役はなかなかすごかった。

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
ラノベ原作。思春期症候群という、発症するとSF的な怪奇現象に見舞われるという設定で、原作では巻ごとにヒロインの思春期的な問題を解決していくことになる、化物語っぽい構成でちょいSF風味の物語。しかし、主人公がこんな女子相手にもセクハラめいていてその実核心をつくこと言えちゃうんだぜ感あふれる気持ち悪さがなければ、作品自体にもっと好感が持てるんだけどなって思う作品でもあって、なんというか作品にどうも好きになれない部分が結構ある。いや、絵も良いし、各エピソードもなかなか面白かったりするし、ツンデレ義理姉妹百合かよっていう麻衣とのどかの話とか良いと思うし、妹回のも泣ける話ではあるんだけど。妹回で思い出すkey作品っぽさ、これがちょっとな、と思うところもある。テレビ版では終わらずに話は劇場版に持ち越される。

●俺が好きなのは妹だけど妹じゃない
妹ものラノベ作家ラノベ原作、ということでは俺妹、エロマンガ先生、妹さえいればいい、の流れ?にあるアニメだけど、妹の涼花は兄の祐が好きすぎてラノベを書いて賞を取るし、兄は兄でラノベ作家志望なのに、妹が自分が書いたことを公表したくないためにそのペンネーム永遠野誓の替え玉を演じて種々のトラブルに巻きこまれるさんざんな役目を負って立つラブコメ?作品で、何の言い訳もエクスキューズもない妹萌えを全力投球する作風覚悟が決まりすぎている。祐の同級生女子が人気ラノベ作家で涼花の書いたラノベに惚れ込んでその永遠野を演じる祐を延々ストーキングしてくるし、編集もアレだし新人女性声優はその作品の主役は私が絶対に演じますとか言い出してくるし、ハーレムもの、主人公の人権がもっとも毀損され、そのなかで人徳が無限に上昇する構造を生きる彼に涙を禁じ得ない。設定まわりのある種のジャンクさは随一って感じでさらに作画の不安定さもあるけど、それら全部ひっくるめてこれが深夜アニメだって魂を感じて決して嫌いになれない質感を持っていた。それでいて、演技と虚構と現実との境界線を絡めてわりと侮れない展開を見せることも多く、終盤涼花の妄想する理想の兄を演じるという外面性のみならず自分の書きたいものを書くことで内発的にも祐が他人から永遠野誓として評価される点、ここに限りなく理想とフィクションと現実が重なりつつあるのはなかなか面白かった。個人的に、アニメはやっぱりどこかくだらなくてばかばかしてく、でも、という感触があると嬉しいというところがあるので、あかねさす少女や音楽少女への好感度がことのほか高いのは、そういうわけでもある。今作も。

アニソン10選?

印象的な10作の楽曲ということで、10曲ではなく10作から。

宇宙よりも遠い場所ED 「ここから、ここから」
ヤマノススメサードシーズンED 「色違いの翼」
伊藤潤二コレクションED 「互いの宇宙」
ラストピリオドED 「ワイズマンのテーマ」
メルヘン・メドヘンED 「sleepland」
SAOガンゲイルオンラインED 「to see the future」
音楽少女OP・ED 「永遠少年」「シャイニング・ピース」
ゾンビランドサガOP 「徒花ネクロマンシー」
となりの吸血鬼さんOP・ED「†吸tie Ladies†」「HAPPY!! ストレンジフレンズ」
悪偶ED「ツギハギ」

あと叛逆性ミリオンアーサーのED、グリッドマンED、ISLANDのED、あそびあそばせのOP、レヴュースタァライトのOP、カリギュラのOP、ポプテピピックのOPもわりと良かったかな。メルヘンメドヘンのEDはCDの三曲どれも良かったから上田麗奈のアルバムを聴くべきなのかも知れない。

話数単位での10選

宇宙よりも遠い場所三話
今作は5.6.11.12話もいいけど、四人が揃ったこの回の幸福さを挙げておきたい。夢のような現実。

伊藤潤二『コレクション』六話
「緩やかな別れ」、死後の残像が残り続ける、死の受容の話。

スロウスタート七話
清瀬、栄依子の場面の演出もだけど、この秘密を花名とだけ共有するという秘密のテーマ。

こみっくがーるず四話
ファンと向き合う、その前の鏡に映した自分の逡巡を長回しで映した場面は今年のアニメの名場面の一つだろう。八話とも迷ったけど。ファン=鏡を見ることで自分が見える。

刀使ノ巫女22話
皐月夜見。

TO BE HEROINE最終話
アクション作画と話の悲しさ。

音楽少女六話
トンチキさと真面目さの交錯するおじさんとアイドルのダンスの絵に本作の魅力がある。

ゾンビランドサガ五話
八話と迷うけど、土着ネタ、ギャグ回として素晴らしい。

ヤマノススメ サードシーズン10話
陰影のある回を描く演出が鮮やか。

CONCEPTION七話
気が狂っている。

以上です。今年もお疲れ様でした。