向井豊昭アーカイブ更新2024.09

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向井豊昭アーカイブに掌篇「キツコーが いました」を追加しました。分かち書きの童話です。向井らしく「つめくそ」「みみくそ」など下品な言葉が使われたりしつつもなんとも切ない話になっています。

一般財団法人青森県教育厚生会 文芸誌「三潮」
山本隆悦氏は「方言へのこだわり」(「三潮」46号、2022年12月)において「幻視社」掲載作や向井豊昭アーカイブ所収の「津軽と南部ァ親戚」も含めて向井豊昭の下北弁が出てくる作品を分析し、「〈下北方言〉と〈下北人のこころ〉を一体化させた当代切っての作家」と評しています。また、下北の母校大湊高校校長への向井の私信から「マイナスを逆にプラスに転化する道を選びました。下北にこだわる。下北弁にこだわる。マイナスであることにこだわる。マイナスという低い目線から、この世を見つめる。」という一節を引いているのが目にとまります。

「南部弁・下北弁の小説家たち」(「三潮」第47号、2023年12月)、では向井豊昭に続いて木村友祐の作品を題材に、二人の方言表記方法を分析し比較検討を行ない、そこに「反骨」ではなく「気骨」を指摘し、マイノリティと自分を重ね「その現実から逃れようとする自分と文学と関わることで戦っているのだ。外側ではなく内側との戦いは正に下北の持つ特徴と重なる」と論じています。

山本氏はまた、「東奥日報」昭和31年2月21日から、読者投稿として向井豊昭の詩「眸は傷つけられていても」を発見しています。