2018-01-01から1年間の記事一覧

2018年に見ていたアニメ

というわけで今年の見ていたアニメのなかから感想をまとめておく。去年よりも言及作品数を落とした。50作以下になったか。見ていたアニメ自体の数ならこれの倍くらいあるけど、良かったアニメを選んで47作。なおネタバレを気にせず最終話の感想も突っ込んで…

2018年に読んでいた本

今年は結構読めたので、ベストの10冊を選ぶのはなかなか難しかった。それぞれの本を扱った記事にリンクしてあるので詳しくはそっちで。 笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』河出書房新社 倉数茂『名もなき王国』ポプラ社 飛浩隆『零號琴』早川書房 伊藤計劃・円…

飛浩隆『零號琴』――物語としての生を描く物語としての

零號琴作者: 飛浩隆出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/10/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る雑誌連載が2010年にスタートして連載完結後もいっこうに出る気配のなかった長篇が、七年近い改稿期間を経てついに今年刊行された。名のみ…

読んだ本・「文学+」 トゥルニエ 飛浩隆 山尾悠子 正宗白鳥 J・G・バラード

「文学+」文学+ 1号 発売中A5サイズ/240ページ定価:1200円(送料・振り込み手数料別)現在は通信販売のみ。お取り扱い頂ける書店様随時募集しております。 pic.twitter.com/thQXxSlzl7— 文学+ (@bungakuplus) October 5, 2018 『文学+』01号 注文フォー…

石川博品『あたらしくうつくしいことば』

あたらしくうつくしいことば作者: 石川博品発売日: 2017/12/29メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る石川博品のネット公開された中篇をふたつ収録した同人作品集。いずれもウェブ版を既読で当時もTwitterに感想を書いたけれど、昨年本書が刊行されて…

津島佑子『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』

長篇の前に、同じタイトルを持つ短篇について。 「ジャッカ・ドフニ――夏の家」 群像短篇名作選 1970~1999 (講談社文芸文庫)作者: 三浦哲郎,吉村昭,富岡多惠子,林京子,藤枝静男,小島信夫,大江健三郎,後藤明生,群像編集部出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/…

『名もなき王国』「エヌ氏」『原色の想像力2』『妖精の墓標』『デュラスのいた風景』『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』

名もなき王国 作者: 倉数茂 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2018/08/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 倉数茂『名もなき王国』久しぶりに原稿とかと関係なくただ面白いだけで読める本を読んで、屋外でメチャクチャ体を動かした後にスポー…

イヴォ・アンドリッチ『宰相の象の物語』

宰相の象の物語 (“東欧の想像力”)作者: イヴォアンドリッチ,Ivo Andri´c,栗原成郎出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2018/12/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る松籟社〈東欧の想像力〉第十四弾、二年ぶりの新刊は、ユーゴスラヴィアの最初にして最…

2018年と2017年の文藝賞、日上秀之、山野辺太郎、若竹千佐子

日上秀之「はんぷくするもの」 はんぷくするもの 作者: 日上秀之 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/11/16 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 今年の文藝賞受賞作。東北震災後の仮設店舗で商店を営業しみなし仮設の家に住む男とその母…

細見和之『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』

ディアスポラを生きる詩人 金時鐘 作者: 細見和之 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/12/07 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (7件) を見る 時鐘は詩作を読んでなくてむしろ入門として読んだ。済州島の四・三事件から…

佐伯昭志『ストライク・ウィッチーズ Memorial Episode いっしょだよ』とプレアデス四話小説版

ストライクウィッチーズMemorial Episode いっしょだよ (角川スニーカー文庫) 作者: 佐伯昭志,島田フミカネ&Projekt Kagonish,島田フミカネ,竹嶋えく 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/07/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 2008年のTVア…

北原みのり編『日本のフェミニズム』、日比嘉高編『図書館情調』

北原みのり編『日本のフェミニズム』 日本のフェミニズム 作者: 北原みのり 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/12/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 百ページちょっとで、表題通り近代以降のフェミニズムの歴史を概説し、廃娼運動…

トーマス・ベルンハルト『原因』

原因―一つの示唆 作者: トーマスベルンハルト,Thomas Bernhard,今井敦 出版社/メーカー: 松籟社 発売日: 2017/12/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ベルンハルトの自伝五部作の第一作*1で、少年時代のギムナジウムや寮での生活を戦争・空襲の…

薄い本を読む

十月はおおむね薄い本を集めて読んでいたのでそれらについてツイッターに書いていた感想をまとめた。だいたい本文200ページ以内かその前後なので、さっと読めるだろう。 *1 爪と目作者: 藤野可織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/07/26メディア: ハード…

石川博品『夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落"』と『海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと』

夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ?Godspeed You! RAGNAROK the Midknights? 作者: 石川博品 発売日: 2018/08/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 同人誌として発表された長篇。いってみれば異世界チート主人公の帰還後からはじ…

笙野頼子 - ウラミズモ奴隷選挙

ウラミズモ奴隷選挙 作者: 笙野頼子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/10/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『だいにっほん』三部作の前日譚としての前作『ひょうすべの国』のずっと未来を描く最新作。笙野頼子の未来史シリーズの…

笙野頼子 - 猫道

猫道 単身転々小説集 (講談社文芸文庫) 作者: 笙野頼子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/03/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 作者の住居あるいは猫にまつわる小説を集めた文庫オリジナル作品集。部屋探しを通じてこの社会に居場…

はてなブログに移転

はてなダイアリーがサービス終了の予告が出たので、全記事を移転して、旧ブログから本ブログへのリダイレクトを行ないました。 http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall ブックマーク、は移さなくても自動でリダイレクトされるはずです。

図書新聞につかだま書房の後藤明生本の書評

バックナンバー 図書新聞2018年7月28日号四面、つかだま書房の後藤明生著作を扱った枠にて「後藤明生の再読のために」という3000字ほどの書評を寄せました。対談集、座談集、『引揚小説三部作』『壁の中』を手がかりにしつつ、後藤明生における朝鮮引揚げ体…

トーキングヘッズ叢書ケイト・ウィルヘルム追悼特集に『クルーイストン実験』のレビュー

秘めごとから覗く世界 (トーキングヘッズ叢書 No.75)作者: アトリエサード出版社/メーカー: 書苑新社発売日: 2018/07/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るアトリエサードのトーキングヘッズ叢書75号におけるケイト・ウィルヘルム追悼特集に…

四月に読んだある程度最近の海外SF

積み本消化強化月間、四月は海外SF。 グレッグ・イーガン『万物理論』 万物理論 (創元SF文庫)作者: グレッグ・イーガン,山岸真出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2004/10/28メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 167回この商品を含むブログ (269件) を見る…

最近読んだ最近の日本SF

かねてよりかかり切りだった案件を一区切りした(まあまったく終わってはいないけれども)ので、ここ数年ため込んでいたものを読むか、と。三月は最近の日本SF月間を設定してざざっと読んだ。感想をツイッターに随時書いていたものをまとめておく。日本SFは…

ゴンチャロフ - オブローモフ

オブローモフ〈上〉 (岩波文庫)作者: ゴンチャロフ,米川正夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1976/02/16メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 184回この商品を含むブログ (17件) を見る年始と言うことで十五年ほど積みっ放しにしてきた長篇を読むことにした…

季刊メタポゾン第11号に鶴田知也論を書きました

季刊メタポゾン第11号 特集大西巨人 (2017年冬号)作者: 大西巨人,その他,大西赤人出版社/メーカー: 寿郎社発売日: 2018/01/06メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るちょっと記事にするのを忘れてましたけれども、表記の雑誌に…