Pierre Moerlen's Gong - Live

ライヴ(紙ジャケット仕様)

ライヴ(紙ジャケット仕様)

http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall/20070517/p1 続き
79年に行われたダウンウィンドツアーでのライブを収録したライブアルバム。1980年発表。選曲はGong名義だがピエール・ムーランが主導権を握った、「Shamal」「Gazeuze!」「Expresso 2」およびムーランズ・ゴング「Downwind」からそれぞれ収録されていて、これまでのムーランズ・ゴングのベスト版的アルバム

冒頭からDownwindのタイトル曲。この曲はスタジオ版に比べて約半分に短縮されたライブバージョンになっていて、ミニマムフレーズの反復やドラムソロは聴けないけれど、かわりによりテンポの速い演奏になっていて、スタジオ版とはまた違った印象がある。これにはMike Oldfieldが客演、というかこの曲にだけマイク参加。

二曲目はヴァイブ(以下ヴァイブかマリンバか聞き間違えてるところが多々あるかと)の響きを生かした緩やかなメロディが印象的なスローテンポの曲。しかし後半マリンバのソロにヴァイブが絡む展開は聴き応えあり。しかし、フュージョンサウンドに木琴鉄琴の音色が乗るってのは何度聞いても新鮮だ。ジャズヴァイブってのは結構あるみたいだけど、みんなこんななのか?

緩やかに終わったかと思ったら次曲Golden Dilemmaでは冒頭から爆音の凶暴なアンサンブルが炸裂し、テンション高めのままヴァイブのソロへなだれ込む。このアルバム一番のインパクトポイント。始終テンションが高いまま、ギターリフをバックにしたベースソロ、そこにマリンバが絡んだりしたかと思えば、パーカッションと、ヴァイブ、ギターなどが自在に絡み合うアドリブを挾んでまたもやハイスピードのバッキングのなかをヴァイブとギターが駆け回る。強烈なバンドアンサンブルが炸裂する攻撃的なインスト作品(まあ、このアルバム全部インストだけど)。名曲。

レコードではB面にあたる四曲目Soliは、ギターが活躍するフュージョン。しかし、キーボードとかではなく、ヴァイブやマリンバが絡むだけでがらっと印象が変わる。

一曲丸ごとドラムソロが演奏され、続くEnsuriaではギターとベースのユニゾンリフにヴァイブが絡むムーランズ・ゴング得意のパターン。ヴァイブとマリンバの、硬質でリバーブがかかるシリアスな音色と、マリンバの少しユーモラスで柔らかい音色の使い分けが印象的。

ラストは「Downwind」から、あのリズムパターンにヴァイブのイントロが印象的なCrosscurrents。後半は、ライナーにあるとおり、スタジオ版ではロックウッドのヴァイオリンソロだったのが、ヴィブラフォンの、その名の通りのヴィブラートを駆使したミステリアスなソロになっていて非常によいのだけれど、なんとソロが続いているというのにフェイドアウト。おいおい、スタジオ版でもフェイドアウトだったのに、ここでもかよ、とつっこみを入れざるを得ない編集が残念。

シングルアルバムでのライブ盤のため、短い収録時間が残念だけれども、ムーランズ・ゴングの魅力は十分に詰まっているといえるアルバム。一枚だけ聴いてみたいというひとはこれが良いんではないかと思う。とはいっても私は「Downwind」以前の三作を聴いていないのだけれど。

ムーランズ・ゴングのディスコグラフィについては以下が見やすい。
http://www.asahi-net.or.jp/~XG6Y-WTNB/gong2.html
Gong全般については以下詳細なレビュー
http://enjoy.pial.jp/~chipmunk/Gong.html