The Who - Live at Leeds

ベック・ボガート&アピス、ピエール・ムーランズ・ゴングとリズムセクションが派手な連中つながりということで、The Whoの「Live at Leeds」。

ライヴ・アット・リーズ デラックス・エディション

ライヴ・アット・リーズ デラックス・エディション

ザ・フー、前にも書いた四大ロックバンドのなかで、イギリス本国での人気に比べて日本での知名度が低いことでも有名。まあ、キンクスよりは有名だけど。

私自身としてはこのバンド、あまり曲やメロディに魅力を感じるということがない。どうにも好みに合致しない。コンセプトアルバム(あるいは物語形式の「ロックオペラ」)の金字塔「Tommy」、最高傑作と名高い「Who's Next」などを聴いては来たけれど、あんまりぴんとこなくて、とりあえずベスト盤なども聴いてみて「Pinball Wizard」や「I Can See For Miles」はとても気に入ったけれど、他の曲はどうにも、といった感じだった。

でも、フーといえばライブという話も聞いていたので、中古でデラックスエディションがあったので聴いてみると、これが噂に違わず壮絶なパフォーマンスだった。

このデラックスエディションは、元々六曲入りレコードだったものを、当時のリーズ大学でのライブパフォーマンスのほぼすべてを収録した二枚組として2001年にリリースされたもので、一枚目がベスト的選曲、二枚目は「トミー」をだいたい再現したものが収録されている。「ライヴ・アット・リーズ」には以前に発売された25周年記念の一枚もののバージョンがあるが、それは、デラックスエディションの一枚目に、二枚目から「Amazing Journey」と「Sparks」を追加したもの。

とにかく、このライブはジョン・エントウィッスルのベースとキース・ムーンのドラムがいかれている。エントウィッスルはギターに負けない音量でとにかくベースを弾きまくり、手数王と呼ばれるキース・ムーンの血管ぶち切れそうな始終ハイテンションのドラムがすごい。エントウィッスルのベースは、音量もさることながら、ギター以上の音数を叩きだしていることも多く、まさにリードベース状態。存在としては完全にピート・タウンゼンドのギターを食ってしまっている印象(そもそもピートのギターはリードではなくリズムギターだという説が)。キースは叩きすぎだと感じてしまうほど手数が多く、そこに弾きすぎる大音量ベースが加わり、始終うるさいこのリズムセクションが、演奏面では完全にリードしている。

一曲目の「Heaven and Hell」の開幕から、完全にギター以上の音数でうねりまくるベースと、叩きまくるドラムが聞こえてくる。また、ピートのギターもリズムやコードだけではなく、「Young Man Blues」などではかなりいいソロも披露している。しかし、リフをベースとギターでユニゾンしたりすると、歪んで音がはっきりと聞き取れる大音量ベースのほうが目立ってしまうのが何とも。そこで開発したのが腕を振り回して大げさな身振りで演奏するウィンドミル奏法だという話がある。まあ、作曲面でのイニシアティブを握っているのはピートなので、作曲と演奏とでバランスがとれていたのかも知れない。

ライブバンドだというだけあって、スタジオ版とはがらりと印象が変わる異様なテンションのライブだ。どの曲もスタジオ版以上にやかましく、凶暴なサウンドになっている。その凶暴さはやはり、スタジオ版ではおとなしめにされていたリズムセクションの暴走具合によるところが大きいだろう。

四大ロックバンドと呼ばれるビートルズストーンズキンクスと並べてみたとき、演奏力では群を抜いているのではないかと思う。他のバンドはそもそもテクニックが重要なバンドではない感があるにしても。

しかし、78年にキース・ムーンが、2002年にジョン・エントウィッスルも亡くなり、ザ・フーロジャー・ダルトリーピート・タウンゼンドだけとなった。微妙ー。

ちなみに、エントウィッスルのソロアルバムに手を出してみたが、こちらの方がフーに比べハードで曲も良い。こっちの方が好きだな。

Smash Your Head Against The Wall

Smash Your Head Against The Wall

エントウィッスルの超絶ベースソロ。

この年になっても衰えを見せず。「ライヴ・アット・リーズ」の時より凄くなっている気が。ていうか、ベースでライトハンド奏法。