Ritual- Live

Live

Live

トラッドプログレハードロックバンド、リチュアルのライブアルバム。2006リリース。二枚組のボリュームで、二時間近い収録時間がある。

まあ、ライブで特に目立った変化があるわけではないが、たとえば冒頭の「What Are You Waiting For」なんかはかっちりしていたスタジオ版に比べリズムに溜めがあって、そういったライブならではのおもしろみはある。

また、二枚目のアコースティックメドレーはその名の通りの曲だが、トラッド楽器の檜舞台といった感じのインストパートが素晴らしい。一番のハイライト。

そして最後の最後、「Seasong For The Moominpapa」。十分近いこのアレンジでは、エキセントリックな趣向を最大限に押し出していて、このバンドの特徴が一発で分かるような素晴らしい出来。最初は穏やかに優しいメロディを歌い、リコーダーなどを加えた明るいポップなメロディに展開。ハードなリズム隊も加わって、一挙に騒々しくなる。かと思うと、変なコーラスを幾度も交えて、曲はそのままユーモラスな調子はずれの演奏を繰り返し、かなりカオスな展開に。変なかけ声の後、野太い男たちによるトラッドな歌のリフレイン。「come sail to the sea,go fiching with me」を延々繰り返す。歌がおわるとキーボードによる瞑想的なバッキングでフェードアウト。変な曲だ!

演奏面ではこのバンド、ベースがかなり核にあるんではないかと思う。イエスにおけるクリス・スクワイアの位置を、リチュアルのベースも占めているような気がする。ライブでは特にベースのばりばりの音色が目立つ。このベースは結構良い感じだ。

ベーシストがマンドリンやリコーダーをも演奏するマルチプレイヤーなのは以前の記事でも触れたが、今作ではドラマーがニッケルハルパを演奏している。スウェーデンの民族楽器で、鍵盤付きバイオリンのようなものか。どこで使われているのかいまいち判別できないのが残念。まあ、これに限らず、キーボードがやっているのか、不思議な音色が結構出てきて、どれがどの楽器だかわかりにくいんだけれども。

トラッド色豊かなハードロックバンドで、ハードロックならではのライブを楽しめる好盤。ファンはまあ聴いているでしょう。ただ、スタジオ盤よりアコースティックな面は薄めなので、これから入る人は注意。