- アーティスト: Roine Stolt
- 出版社/メーカー: Inside Out U.S.
- 発売日: 2001/07/24
- メディア: CD
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元70年代に活躍したスウェーデンのプログレバンド、カイパのギタリストが立ち上げたソロプロジェクトだったのが、手応えを感じたらしくパーマネントなバンドとして以降続けていくことになる。ここでは、フラワー・キングスのサウンドのもう一つの核を担うキーボードのトマス・ボーディンが不参加な点が以降との大きな違いか。その分ギターが大きくフィーチャーされていて、ギタープログレとして非常に楽しめる作風になっている。
ただ、歌ものの完成度がいま一つな感じはある。1曲目は別格として、他の曲の歌があまり印象に残らない。「FlowerPower」ディスク2あたりになると歌ものの充実度は段違いに高水準なのと比べると流石に見劣りする感じだ。ただ、ギターでの演奏には琴線に触れる良質なメロディが随所にちりばめられていて、不満を感じるというわけではない。
ギタープレイそのものはは叙情的なブルージーな印象がある。
ロイネ・ストルトは90年代プログレのキーパーソンでもあり、シンフォニックプログレ復興の旗印となったこの作品は非常に重要な意味を持っているようだ。しかし、そういうのを考えずとも良作。フラワー・キングスを聴こうという人は、これか、次作の「Back in the World of Adventures」、またはその次の「Retropolis」から入るのがいいだろうと思う。ただ、インストが多いので、歌ものが多い方がいいという人は今作はあとにした方がいいかも。まあ、私もまだキャリアの半分までしか聴いていない(「Space Revolver」まで)ので、注意。
1.The Flower King (10:32)
フラキンを象徴する名曲。やさしげなメロディ、コーラス、ハードすぎない演奏。後にベスト盤で再レコーディングされるのだけれど、それと聞き比べるとこちらはシンプル。こちらのバージョンでの、サビメロディにギターがユニゾンで被さってくるところが気に入っているのだけれど、再録版ではそれが消えている。かわりに再録版ではパーカッションやキーボードがかなりにぎやかにかぶせられていて、全体的な印象が結構違う。両方とも違う魅力があり面白い。
2.Dissonata (10:02)
ややハードな印象を持つ曲。切迫感のある曲調は前曲との大きなコントラストがある。その中でも中間部での伸びやかなメロディのギターソロは非常に印象的に響く。
3.The Magic Circus Of Zeb (7:06)
ギターが弾きまくりのインスト。キーボードもソロを取るが、だいたいギター弾きっぱなし。開放感のある伸びやかな演奏。
4.Close Your Eyes (3:12)
夜を思わせるしっとりした静かなバラード。幕間の感じ。
5.The Pilgrims Inn (9:20)
サックスも加えてジャジーな雰囲気もあるインスト曲。ミドルテンポの曲調で、前曲に続き夜を感じさせる。良曲。
6.The Sounds Of Violence (5:41)
ハードな曲調のこれまたインスト。終盤アコースティックな曲調に展開。
7.Humanizzimo (20:53)
終盤のハイライトとなる20分超の大曲。ブルージーなイントロから、突然リズミカルになったり、そこからかなり良いメロディのバラードが始まったり。ただちょっと緊張感が途切れる。
8.Scanning The Greenhouse (3:45)
ベスト盤のタイトルにもなっていた曲、だがそのベスト盤には収録されていなかった曲。締めの一曲で、終盤から突如1曲目のサビがリプライズしてくるのが秀逸な趣向。
名作は名作なんだけれど、後のアルバムと比べるとちょっと構成に甘さがある気がする。曲単位でもアルバム単位でも。