- アーティスト: Kebnekajse
- 出版社/メーカー: Silence Recordings
- 発売日: 2006/11/07
- メディア: CD
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70年代のサイケ・プログレ系の音で超土着的なフォークミュージックを演奏するというようなスタイルのバンドで、たとえば同郷で後にThe Flower Kingsを結成することになるロイネ・ストルトが在籍したKaipaなどに比べても、ずっとフォークに傾いた音楽性を持っている。
特徴的なのは二点。ヴァイオリンが重要なフロントとして活躍していることで、フォークミュージックらしさを存分に発揮していることと、コンガなどのアフリカンパーカッションが導入され、ドラムと合わせて独特のリズムセクションを形作っていることが挙げられる。フォークミュージックの旋律などを活かしつつ、ロック的な要素とワールドミュージック的な要素を取り混ぜたアプローチを試みている点がプログレなところだろうか。
冒頭二曲はヴァイオリンを中心とした叙情的なメロディを押し出したいかにもエレクトリックフォークといった風の楽曲が続き、三曲目ではヴァイオリンとエレクトリックギターのユニゾンが印象的なややアグレッシブな曲調となっている。
四曲目の「St. John」。これは特に好きな曲で、バンドの煽るようなスピードに乗って、愉快で楽しげな演奏が続いていくアッパーでノリの良い一曲。ヴァイオリンやギターのソロ以外にもコンガも活躍し、テンションが上がる曲だ。ケルト音楽のジグやリールにも通じると思う。
次曲からはややおとなしくなるけれど、いかにも田舎臭いヴォーカルが入ったりしてきてほほえましい曲調。
後半の13分の大曲はいかにもプログレな雰囲気たっぷりのイントロから始まる。ギター主軸の構成でフォークっぽさは薄い。むしろややフュージョンっぽい。テンションが上がったあと、流れるように終曲のアコースティックギターとパーカッションの演奏と素朴な雰囲気の歌に続く。
CD化で付け加えられたシークレットボーナストラックは軽快なフォーク調の、ヴァイオリンとギターのユニゾンが中心になっているとてもらしい曲になっている。
笑ってしまうほどの土着的なメロディラインは、叙情的で親しみやすいが、ややもすると演歌のように聞こえ、ダサいと思われてしまうかも知れない。トラッドもののプログレのなかでも、洗練とは逆の方向を向いている感があり、好みは分かれるだろうけれど非常に面白い音ではある。
このアルバムからの演奏は見あたらないのだけれど近年再結成してライブもしているらしく、新しめの映像がいくつもYoutubeに上がっているので参考に。Progarchiveでは五、六曲フルで試聴できるので、そちらも是非。
KEBNEKAJSE Kebnekaise III reviews