第十五回文学フリマ終了

第十五回文学フリマ開催! - 旧・文学フリマ事務局通信(はてなブログへ移行しました)

というわけで、第十五回文学フリマ参加してきました。前回から一年半ぶり、幻視社としては七回目の参加となるでしょうか。

二度ほど出展した蒲田を離れ、今回は東京流通センターに場所を移しての出展でした。場を移るごとに出展料が千円ずつアップしていて今回は椅子をあわせて五千五百円となっているのはけっこう厳しく、交通費もまた結構なものになってしまうのでいろいろ大変です。まあ、それは事務局さんが言う通り、落選者を出さない会場を借りるためで、今回は過去最大の628サークル参加とのこと。これ、同人イベントとしては結構でかいのかな。

売り上げおよび通販


来場者総数はまだどこにも出ていないようですけれど、今回『幻視社第六号』は総計64部が売れており、過去最大の部数でした。前号の第五号もさらに11部が売れており、だいたい同数売れている勘定になります。買って頂いた皆様、まことにありがとうございました。これで次回の印刷費が捻出できます!
で、ページ数が増えたため今回印刷部数を少々絞ったところ、予想以上に在庫が残らず、著者、協力された方に送るための必要な分をとったら通販分に少数しか残せておりません。なので、おそらく次回文学フリマ参加時には『第六号』を持っていくことができないと思われます。今回来られなかった方で、欲しいという人は急ぎご連絡下さい。

inthewall「あっと」king-postman.com

「あっと」を@に変えて送信して下さい。代金は送料不要で500円です。ただ、銀行口座に振り込んで頂くので、その手数料は各自負担ということになります。『第五号』はもうちょっとあります。

2013/02 追記・第六号は完売しました。

しずおかの文化新書9 しずおかSF 異次元への扉〜SF作品に見る魅惑の静岡県〜

しずおかの文化新書9 しずおかSF 異次元への扉〜SF作品に見る魅惑の静岡県〜

今回は岡和田さんが『しずおかSF』を同時頒布していて、こちらも持ち込み分を売り切って、赤字を出さずに済んだようでした。商業出版もので一冊五百円の廉価、東京ではほぼここでしか手に取れないなかなか貴重な本です。Amazonで買えます。

当日のこと

今回は〈想像力の文学〉特集ということで、前回よりはわりとアピールするところがあったのか、部数増ということになりました。さらに岡和田、渡邊というSF評論賞チームが二名もいたため、それを目当てに来て下さった方もいたようでした。東京創元社早川書房の編集さんなどもお二人と話しに来ていたり、おお、こちらがあの人か、と仰ぎ見ていました。

本当は参加する感じだったid:Lobotomyさんもうちにやってきて、メールに返事して無くてすいませんと言いながら新刊を買っていったり。彼は今回は他のサークルでかなり長い小説を書いていて、まあ確かに忙しそうでした。参加した本が三百ページ越えで五百円という常軌を逸した代物だったのには驚きました。完売したんでしょうか。

そんななかで、買って頂いた男性と話していたところ、どういう流れでそうなったのかはまるで覚えてないのですけれど、後藤明生の話になって、その方は幻戯書房の編集の方で後藤明生の未完の遺稿『この人を見よ』を担当した編集者だというではないですか。

この人を見よ

この人を見よ

で、なんと、そのきっかけになったのは、私が公開している「後藤明生レビュー」のページを見ていて、未刊行の雑誌連載長篇が残されていることを知ったから、と話してくれまして。最初は聞き間違いかとも思ったのですけれど、もう一度聞いてもやはり私のページがきっかけで、『この人を見よ』を出したいと思ったそうなのでした。これはちょっと感動的に驚きました。いや、そういうこともあるんだなあと。

元々後藤明生好きだったそうなので、私のページがなくともそのうちこの連載にはたどり着いただろうとも思うのですけれど、『この人を見よ』刊行に至るこの偶然の連鎖の一角に役だったのであれば非常に嬉しいことです。

私もこの作は雑誌掲載版を二回くらいまでしか読んでいなかったので、今年の刊行は一つの事件でした。フリマが終わったら読もうと思っていましたので、近々読んで感想を上げたいと思っています。

また、叢書で取り上げた『ネル』の作者遠藤徹さんの教え子、同志社大学の学生さんが買いに来られていたのがびっくりしました。遠藤さんは経歴を調べてみるといろいろ面白くて、そもそもは英語、文化史を教えている学者さんで、『プラスチックの文化史』とかそういう本を出している人がホラー大賞でデビューして、メタファンタジーの『ネル』を書くという。これからも実験的な小説を書きたいと言っていた、と教え子の方は言っていました。

反応といえば、サークル絶対移動中の伊藤鳥子さんが、『幻視社第五号』のリアクション小説というものを書かれていて、一冊頂きました。伊藤さんは以前から、というか幻視社の準備号(幻視社のサークル初参加の第ゼロ号)から読んでもらっていたらしく、あれは確か二十部くらいしか出ていない代物だったはずなので、かなり貴重な読者さんです。
文学フリマで会いましょう♪ - 適当に遠くまで来た渡り鳥
買った本に対してこういうリアクションを、しかもそれを本にするというのは凄いですね。こういうものはやはり反応があるのが一番嬉しいモノですから、同人の場にきちんと還元していこうというのは貴重です。私も最初はいろんなサークルをチェックして、買った本の感想をきちんと書いていこうと思っていたのですけれど、最近はぜんぜんできていません。今回などはほぼブースから離れませんでしたし、ほかにどんなサークルがあるのかもほとんどチェックしていなかったですから。

で、渡邊さんと一緒に伊藤さんご本人に会ったら、何度も会ってはいるはずなんでしょうけれど、直接挨拶するのは初めてか、私をもっと怖い感じの人だと思っていたらしく、「優男」チックな実物とのギャップを感じたとのこと。まあよく論争してたからなあ、という話になって渡邊さんもブログでの論争の話などを。そこでブログの論争はどうやるか、みたいな話をしてたらやっぱり恐ろしい、と言われ。

あとは恒例のエディションプヒプヒさんid:puhipuhiレオ・ペルッツの短篇二冊と、ティークの翻訳を買う。レムのエフ氏を買い損ねる。

id:murekujiraさんのところにも挨拶にいったら、なんだか妙な芸を身につけていてちょっと面白い。

サークルまわったのはこれぐらいで、しかも四時過ぎてからだったので、メアリ・シェリーの短篇等はすでに売り切れていた。

他にもいろいろな人が買いにいらっしゃったりして、祭の喧騒は五時で終了。今回は開催時間がやや長くなって、これも部数が増えた要因だったようにも思います。

その後には打ち上げ、というか残っていた私、岡和田、渡邊で献本の相談と雑談をしながら、渡邊さんが調子が悪くなるまで話すという。渡邊さんは来た時からけっこう顔色が悪い様子でしたけれど、本当に調子が悪くなってきたのにはたいへん申し訳ない思いでした。普通にかなりの重病なんですけど、時々それを忘れてしまうのは問題ですねえ。

反面、岡和田さんは非常にバイタリティがあり、今も仕事を多数抱えているようで凄まじい。締め切りも立てこんでいた今月の頭は、さらに風邪とPCの故障でほとんどデスマーチ状態だったようで、幻視社の原稿も実は入稿当日に最後のものが届くという極道ぶりでしたけれど、まあそれもしょうがない。自分にも他人にも厳しい人で、働き過ぎで危ないんじゃないか、という話などをしていたり。

いろいろ、今回も楽しかったです。まあもうちょっと次は他のサークルのことも見て行けよ、とは思いました。