第十九回文学フリマ終わりました。

2014年11月24日に行われた文学フリマ、無事終了しました。ブースは730と過去最高の参加サークルとなったようです。

結果報告・通販受付


今回の『幻視社第八号』は計27部が出ました。いや、これは結構驚きました。前回の半分以下というか、ここ数年これだけ出なかったのは覚えがない、というレベルでした。100円売価を上げただけでこれほど減るとは思われず、特集がフリマ客層とそれだけ合わなかったということなんでしょうか、それとも来場者数が減ったりしたのか、これはちょっとわかりません。買って頂いたみなさま、本当にありがとうございました。

というわけで売るほど余っていますので通販を行います。
inthewall「あっと」king-postman.com

「あっと」を@に変えて送信して下さい。代金は送料不要で600円を銀行口座に振り込んで頂く形になります。手数料は各自ご負担願います。注文時には、宛先御住所と、希望の号(八号しかないですけれど)、欲しい冊数を明記してください。それだけお知らせ下されば、御住所等の確認のためのメールの行き来をせずにすぐ発送準備ができます。

なお、過去バックナンバーのPDF電書版の販売を準備しております。第四号から第七号までは、おそらく早い段階でスタートできるのではないかと思います。

当日のこと

配置図とカタログをそれほど確認していなかったので、左隣が去年も近くで出展されていた「黒死館附属幻稚園」の方で驚きました。途中には「科学魔界」や「SFファンジン」の立花さんと会い、また去年設営を手伝ってもらったアトリエサードの方などが自身のブースで出展していて、なんだか見知った顔ばかりになりつつある感じでした。

岡和田さんが参上し『北の想像力』その他の自著を並べ始める。『北の想像力』はこれは絶対売れないでしょう、と話していたのだけれど、後に一冊売れて驚くなど。

渡邊さんは今回は「悦楽共犯社」という独自サークルを作って同性愛テーマの小説集を出していました。開場前に渡邊さんと挨拶して、新刊と残部少ない旧刊を直接購入。新書判の同人誌は、これは印刷費割高なんじゃないかなと思ったらやっぱり結構高いらしい。久々に渡邊さんと会えたのは良かった。しかし、慈安寺ウネさんは一際浮いてる感のある素敵なオーラを出していてすごい。柊さんにもお久しぶりに会う。

右の方では垂野さんが遅刻してこられてすでに列を作っているお客さんがいるなかでのブース設営をされていました。近刊市販本を原書の挿絵付きでとか、レオ・ペルッツの短篇などを販売していたのですけれど、自分が回り始めた頃には売り切れていて残念。

当日もいろいろな人が来てくれまして、面白かったのは長塚さんという91年生まれの院生の人で、研究領域がセファルディム、ラディーノ文学、というのか、ユダヤスペイン語文学、だったか、という非常にマイナーというかまったく未知かつイメージも湧きづらいものを研究しているという人。

あと、来て下さったのがさすらいさんプログレブログとしての当ブログを知っている方は私が時々参照していた人として覚えているかも知れません。プログレかつゲーム、アニメサントラ等での情報にも詳しい人です。Asturias、Frost*、KiLAといった非常にはまったバンドを氏の紹介で知ったので、たいへん恩のある人なわけです。それでいて、読書メーターでの異様なまでの読書量(一日平均12冊)には遅読の身には崩れ落ちそうになる嫉妬を覚えるのでした。私が紹介した伊福部昭の「リトミカ・オスティナータ」は非常にヒットしたらしく、絶対アレはプログレリスナー受けする、と思っていたのでそうでしょ、となった。話をしていると私もCDレビューブログとしても活動したい、とは思いつつも、やはり金がないとな、と。Asturiasの新作が出るのはさすがにこれは見逃せないので買うつもり。

『北の想像力』関係では今年は執筆者となった倉数茂さんや忍澤勉さんが顔を出してくれました。倉数さんは、コートをしまおうとしたら、ポケットの中に娘さんがいたずらで入れたドングリを撒き散らしてしまう羽目になるなど楽しかったですね。

事前は編集にいそがしく、終わってからいろいろな本が出ていたことを知りました。ラファティトリビュートなんてあったのか、とか、酉島伝法『皆勤の徒』を読みながら会場に向かっていて、これは傑作だなあと思いながらも、酉ビュートは既に無い。

というわけで当日買った本。

隣のブースにおいていた「戦前『科学画報』小説傑作選 1」という、題名だけで非常に興味をそそられるものがあって、開いてみたらこれが見事に知らない名前だらけで凄かった。一名、あれどこかで、思ったのが中河与一という新感覚派の一人として知られている人で、よし、面白そうだなと買う。

OBLIVION」は軍艦島写真集。飽きるほど行ったと著者の方が言っていて羨ましい限り。自分も松尾団地とか神岡鉱山とかには行ったんだけれども、という話をした。神岡鉱山の廃墟探索記は幻視社のサイトで一番ヒット数が多いページです。
岐阜 神岡鉱山栃洞鉱
松尾団地の写真も多数しまったままなので、どっかで公開するかな。綺麗な写真集でカメラの腕がある人は凄いな、と思うのだけれど、ミニチュア風に見える効果を入れたり、周りをぼかしてしまうエフェクトが使われているのは不満というか、どうしてなんだろう。写真の見方が全然違っていて、私はもっとただそこに何があるのか、を記録しておく的な撮り方、見方を求めているんだろう。ただそれは写真集にはならない。

ヴェルヌ研究会の「Excelsior!5」、これは『海底二万里』特集号。フリマの度にエクセルシオール買ってる気がする今日この頃、しかしヴェルヌはまだ全然読めていない。最新号を近隣のブース全員が買っていて浸透度に驚くなど。

磯崎愛さんの『素描』と、写真ではその下に埋もれている『百年冷蔵庫』。磯崎さんは時折ブログ記事を見てくれているのを知っていたのだけれど、一名お客さんが磯崎さんから言われて来ました、と買っていってくれる人がいて、来ているのかと思ってお礼がてらに買いに行った。そしたらその前に買いに来ていた人だったので、これはこれは、と、vol1と記載のあった号と冷蔵庫発明百年をコンセプトにした面白い合同本を買った。

三宅誰男『亜人』とその下の黒い大きい本『BeLzeBL』(タイトル通りのBL本)は「悦楽共犯社」の慈安寺ウネさんに頂く。ありがとうございます。

そして伊藤鳥子さんの絶対移動中に買いに行くと、本人は挨拶回りに出ていて、帰ってくると本を持ってきてくれていた。いやいや、著者でもないから買わないとね、と。本が綺麗で、遊び紙がある、と感動する。

終わった後はメンバーその他の方と打ち上げへ。いろいろ話してこれはとても楽しかった。倉数さんと排外主義というか歴史修正主義の話をしたりする。ネットでは貧困層ネトウヨが、という話が多いけれど、貧困層がいちいちそれに興味を持つか、という点の疑問と同時に、身近な経験からすると、排外主義的な話題は主に中高年の収入的に余裕のある人が多い印象しかない。まあこれは印象論として。

しかし、長塚さんが非常に話が通じる、というかだいたいの固有名詞が通じるのはすごかった。四人囃子の「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」はYesの「危機」のイントロをリフレインしてるだろ、みたいな話が通じたのでびっくり。というか、プログレブログ当時のこのブログにコメントしていた、というのを聞いて驚いた。帰りの電車では倉数さんをはさんで、女性作家の作品はジェンダー攪乱のネタがごく普通にでてくる、という話をしている時に、「月刊少女野崎くん」や「繰繰れ!コックリさん」の話が通じるのでやりやすい。プリパラの最近の女装男子の話は女装という「異常」を強調しない脚本とか、「ぼく」人称女子の反撃を描いていてよかったよ、とか。倉数さんがそういうのは娘が見ていた、という話をしていて、いや、そういうキッズものはたいがい親向けのネタを含んでいるもので、と長塚さんが「妖怪ウォッチ」も結構そうだ、という話を出してきて盛りあがるなど。いろいろ。

今年はありがとうございました。さて、通販で印刷費が捻出できるかどうか。