第十五回文学フリマで「幻視社 第六号」を出します

2012年11月18日「第十五回文学フリマ」に幻視社で参加します。
今回は『液体/体液』号ということで、創作三本を掲載。メインの特集は早川書房の〈想像力の文学〉シリーズです。全作レビューと担当編集様へのインタビューを敢行しております。また、前号でわりに好評だという噂の〈東欧の想像力〉追補篇と、向井豊昭未発表作品の掲載も続けています。計108ページで、小説と評論が半々の配分になっています。「液体/体液」テーマが小説以外にあまり関わらない感じになってしまいました。

参加者には岡和田晃渡邊利道とSF評論賞受賞者が二人もいますよ!

幻視社第6号 表紙 by ゾウノセ on pixiv

以下目次

    小 説    
液体循環装置のゲロ 佐伯 僚
臨海電車      渡邊 利道
アレルギーテスト  エンドケイプ


   特 集   
〈想像力の文学〉を読む

巻頭言 スリップ・ストリーム・ルネッサンスへ向けて 岡和田 晃
〈想像力の文学〉担当編集へのインタビュー
〈想像力の文学〉全作レビュー
ミサキラヂオ        猿駅/初恋
ネル            全世界のデボラ
下りの船          バレエ・メカニック
ポジティヴシンキングの末裔 後藤さんのこと
ぼくらのひみつ       埋葬
岡和田晃 ガザミ 東條慎生 渡邊利道


「〈東欧の想像力〉を読む」追補
イェジー・コシンスキ 『ペインティッド・バード』「後記」
           『庭師 ただそこにいるだけの人』
サムコ・ターレ    『墓地の書』
ボフミル・フラバル  『厳重に監視された列車』
クラスナホルカイ・ラースロー『北は山、南は湖、西は道、東は川』
W・P・ブラッティ  『ディミター』
クラウディオ・マグリス『ドナウ』
岡和田晃 東條慎生


特別掲載 向井豊昭未発表作品
なのだのアート
自分稼豊昭のガードマン
向井恵子 詩二篇
山 姉ちゃの見合い
詩というコミューンを築くために  岡和田 晃


表紙イラスト・デザイン 狩野 若芽
参加者一覧 エンドケイプ 岡和田晃 ガザミ 佐伯僚 東條慎生 渡邊利道

ブースは「D-30」です。一階の中央奥側でしょうか。
文学フリマ | 小説・評論・詩歌 etc.の同人/商業作品展示即売イベント
http://bunfree.net/?%C2%E8%BD%BD%B8%DE%B2%F3%A5%B5%A1%BC%A5%AF%A5%EB%B0%EC%CD%F7%A1%CAD%A1%CB

第十五回文学フリマ
開催日 2012年11月18日(日)
開催時間 11:00〜17:00に延長決定!
会場 東京流通センター 第二展示場(E・Fホール)
アクセス 東京モノレール流通センター駅」徒歩1分
※詳細は会場アクセスをご覧下さい

今回は幻視社前回参加の会場とは異なり、東京流通センター第二展示場になっています。新会場での参加は私は初めてです。会場自体には以前、同人音楽イベントのM3で行ったことがあります。

想像力の文学

今回の特集は岡和田さん提案の企画で、早川書房の叢書を特集しました。岡和田さんによる巻頭言、四人で各々二三作を分担して全作レビュー、担当編集塩澤様と吉田様へのインタビューで構成しています。今回は私の出ずっぱりではなく、バランス良く配分されていて、各人のレビューの視点の違いがずいぶん如実に出ているものになったと思います。私は津原泰水『バレエ・メカニック』と瀬川深『ミサキラヂオ』を担当しました。津原のは特に難しく、瀬川のも簡単ではありませんでした。苦闘の跡を読んでもらえれば。

この叢書はすばらしいコンセプトで、既に知っている作家の作品も傑作でしたけれど、それまで知らなかった、読んだことのなかった作家の作品も面白いものばかりでした。個人的に傑作だと思うのは『バレエ・メカニック』『下りの船』『埋葬』の三作、個人的に好きなのは『猿駅/初恋』『ミサキラヂオ』ですね。特に瀬川深は発見でした。あと横田創は他の作品も読みたくなりました。

装丁が非常に良いので、全てハードカバーで揃えたかったけれど。

「〈東欧の想像力〉を読む」追補

前号以降に出た作品と、叢書発刊以前の一作、そして東欧を扱った本などを紹介する補足篇です。コシンスキの松籟社版に新たに付された後記と、既訳『庭師』、サムコ・ターレの『墓地の書』。フラバル・コレクション第一巻の『厳重に監視された列車』です。コシンスキはもう一作『異境』こと「Steps」という作品が訳されているのですけれど、入手困難で今回は読めませんでした。

また〈東欧の想像力〉発刊の一年前に出ていたハンガリーの作家の作品も取り上げました。クラスナホルカイ・ラースローはタル・ベーラ監督作品の多くで原作・脚本を担当しているなどで知っている人もいるかも知れません。この長いタイトルの作品はクラスナホルカイが日本に滞在した時の研究を題材にして、「源氏の孫君」が現代京都である「庭」を探すという話で、非常に独特の作品です。

岡和田さんには、『エクソシスト』の作者でもあるW・P・ブラッティのアルバニアを舞台にした『ディミター』と、エステルハージ・ペーテルの作品で重要な下敷きにもなっていたクラウディオ・マグリス『ドナウ』の書評を担当してもらいました。

向井豊昭未発表作品

今回は既にウェブで公開しているものの、重要な作品なので活字化しておくべきという話を受けての「なのだのアート」と、方言を活用していてルビが多すぎ、テキストでのウェブ公開には不向きな「自分稼豊昭のガードマン」の二作を掲載します。二作とも五十枚程度の短篇でかなり読み応えがあると思います。また、妻恵子さんの詩二篇も同時掲載します。さらに、岡和田さんが最近の向井豊昭をめぐる状況と、作品解説を寄せています。

参加者

第五号の参加者プラス、今回の新メンバーにガザミさんがいます。ブログで笙野頼子佐藤亜紀への粘り強い読み込みを続けている方です。告知では柿崎憲さんが参加予定でしたが、見送りです。

ガザミさん
猟奇カニ人間地下道に出現

エンドケイプさん
旧ブログby Ameba
エンドケイプの室外機マニア - コラム | Rooftop
Twitter. It's what's happening.
岡和田晃さん
Flying to Wake Island 岡和田晃公式サイト
Analog Game Studies
岡和田晃_新しい評論単著が出ました (@orionaveugle) | Twitter
佐伯僚さん
小説や雑学などの書籍が無料で読める|読書の時間
渡邊利道さん
EXPLORE MONOGAMY
渡邊利道 (@wtnbt) | Twitter
狩野若芽さん
「若芽」のプロフィール [pixiv]

12/11/08
11/14色合いのおかしかった画像を差し替え