- アーティスト: ピエール・ムーランズ・ゴング
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: CD
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シンプルなジャケットの今作は、フュージョンっぽさが薄くなり、アンビエントというか瞑想的な雰囲気をまとった独特の作風で、ディスコグラフィのなかでもちょっと異色の作品だと思われる。
Oldfield経由なのか、一曲目からマリンバ、ヴィブラフォンを駆使したミニマムミュージック的反復をメインとした楽曲が据えられている。エレクトラヴァイブやアフリカンパーカッションも聞こえてくる。この曲にはダリル・ウェイが参加。
二曲目では前曲の変奏のように、ゆるやかでミニマムなアンビエント風。どの音も、独特の雰囲気をまとっていて、残響音すらスリリング。
ここまで非常に静かな緊張感のある曲が続いたと思ったらマリンバのリードに導かれて、突如「Supermarket」なる曲が始まる。ユーモラスなヴァイブのフレーズはいかにもでスーパーを舞台にしたBGM的。しかし、それにはちょっとテクニカルな演奏ではある。
次曲は前曲ほどふざけた感じではないが、多少ユーモラスなヴァイブがリードしていく、穏やかな曲。曲が展開して行くにつれてギターなど少しずつ楽器が増えていく。
A面最後はマリンバがメインのメロディを弾く間にギターが変なソロを弾いたりして淡々と続いていく。
七曲目はギターが前面に出てきて、A面に比べメロディのはっきりとした曲調に変化。次曲もフュージョン風に戻った感じ。続く九曲目はリズムギターが二人いて変則リズム隊を形成している。最後あたりはドラムが活躍。この曲のシンセソロはムーランによるもの。
以降三曲にはアラン・ホールズワースが参加。十曲目はいきなりオリエンタルなメロディになったかと思えば、アラン・ホールズワースの変なギターソロに展開し、ソロが終わったかと思うとまたオリエンタルなメロディが顔を出す。ラスト近くになるとドラムが暴れ出すのはもはや定番か。
続くEsnuria Part2はキーボードが前面に出た曲。しかし、中間部の変なソロはこれ、ホールズワースのギターなのか? ギターとは思えない音色だがキーボードの演奏にもちょっと聞こえない。後半部ではマリンバのソロ。木を強く意識させるマリンバはムーランの演奏。
ラストタイトル曲。ピーター・レマー(カンタベリーのえらい人らしい)のキーボードが始終リードを取る緩やかな曲。独特の音色はYAMAHA CS80とクレジットされている楽器によるものか。
ハードな曲調やダイナミックな展開を抑え、ゆるやかな反復をメインとした異色作。鍵盤打楽器群の音色と演奏の特色を活用したミニマムミュージックは独特の緊張感があり、パッと聴きではBGM的に聞こえても、落ち着いて聴くと案外侮れない演奏になっている。A面B面ともにメドレー形式で曲をつないでいくかたちで、曲間は途切れない。前作ほどバラエティ豊かではなく地味ではあるが、いろいろ面白い作品。最初の二曲の独特の雰囲気が好きだな。
Pierre Moerlen’s Gong - Downwind
Pierre Moerlen’s Gong - Live