Kino - Picture

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八十年代にプログレとポップの融合を図ったものの短命に終わった伝説のバンドIt Bitesのジョン・ベック、MarillionやTransatlanticでも活躍したピート・トレワヴァス、最近も新作をリリースしたばかりのPorcupine Treeの元ドラムのクリス・マイトランド、Arenaのギター、ジョン・ミッチェルらによって結成されたKinoのファーストアルバム。2005年作。

九十年代以降のネオプログレ界隈でのちょっとしたスーパーグループということだけれど、曲は至ってポップな歌物を中心としていて、最初の曲をのぞき、プログレっぽさは薄い。音は非常に現代的で、プログレらしい古めかしいキーボードを駆使したりしていない。ここらへんは、2006年に結成数ヶ月で解散してしまうものの非常に高い評価を得たFrost*とも共通の方法論のようだ(メンバーが一部かぶっているし)。

ミドルテンポのものが多く一曲目のようなハードな曲が少ないのがとてももったいないが、その分歌が前面に出たアルバム。皆熟練のプレイヤーたちなので楽曲も非常に充実した物になっている。プログレなど聴かない人にも充分勧められる作品だと思う。

今作の聞き所はやはり一曲目「Loser's Day Parade」。九分に及ぶも大作だが開幕からの疾走感あふれるハードなパートは最高だ。中間部でラジオを意識したエフェクトをかけたユーモラスなパートや再度ハードなパートに戻るダイナミックな展開が繰り広げられる。ただ、終結部が静かに終わっていくのがちょっと寂しいので、ラストにもう一盛り上がり欲しいところ。しかし名曲。

二曲目はしっとりとしたバラードで、サビ前のメロディが綺麗だ。これも名曲。

出鼻の二曲が突出した感じがあるが、次曲以降も出来の悪い曲はなく、後は好み次第な水準以上の良曲で埋められている。かなりクオリティの高いアルバムだ。

これ以降、デモやライブ音源を集めた編集盤が出ている程度で、ジョン・ミッチェルがFrost*に参加した以外、活動しているかどうか知らないのだけれどこうした現代的な音作りとポップなプログレを融合した一曲目のような曲をまたぜひとも作って欲しいところ。

「Loser's Day Parade」がフルで試聴できる。
KINO discography, MP3 and reviews
さすらいさんのレビュー。
http://d.hatena.ne.jp/camelletgo/20060726/p1