- アーティスト: ピエール・ムーランズ・ゴング
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: CD
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初っぱなのタイトル曲は17分を超える大作。ヴィブラフォンが奏でる残響豊かな反復フレーズがリードする幻想的な導入に、ギターやサックス等のソロが踊る。十分ほどヴァイブとソロが続いた後、二人のゲストコンガプレイヤーが、ヴァイブの反復フレーズに絡んでくるのが面白い。ヴァイブが高速フレーズで盛り上がった後、演奏はコンガだけになり、そこへムーランのドラムソロが始まり、フェードアウト。
大作ではあるが基本はヴァイブのきらびやかなミニマムミュージック風フュージョンで、曲調が二転三転したりはしない。曲のアイデアがたくさんあるわけではないので途中で単調になりそうだが、ヴァイブを駆使したパーカッシブなサウンドは心地よく退屈せずに聴き通せるところが驚異。
次曲はタイトル曲のメロディを借用して短くまとめたコーダのようなもの。
B面一曲目はギターを前面に出したフュージョンでまあ、普通。
四曲目はベースのハンスフォード・ロウ作曲の、ゴリゴリのベースが前面に出た一曲。ここにもコンガが参加し、アフリカンパーカッションを交えたリズム隊が活躍する。中盤からはサックスも参加。B面では一番面白い曲だと思う。
五曲目ではクロスカレンツを思わせるリズムパターンがリードする、これまたロウ作曲のやはりゴリゴリのベースが聴き物。
ラストはムーラン一人で全楽器を多重録音した静かな曲。ヴァイブ、ドラム、キーボードを重ね、おそらくムーランの子供であろう赤ちゃんの声が聞こえてくる。
A面を占めるヴァイブを核とした二曲が特にすばらしい。鍵盤打楽器によるミニマムミュージックともいえるこれらの曲はただ聴いているだけでうっとりしてしまうような美しさがある。コンガの導入などやはりMike Oldfieldを連想するところもある。とにかく、A面は必聴。
反面、B面ではヴァイブやマリンバをほとんど使用せず、フランソワ・コースによるコンガやロウのベースが活躍するフュージョン風になっている。個人的にはもっとヴァイブの活躍が聴きたいのだけれど、今作ではミレイユ・バウアーやベノワ・ムーランらがいないせいか、ヴァイブの活躍はほぼA面だけになっている。それが少し残念だが、今作もムーランズ・ゴング好きならお勧め。
アリスタ時代の作品は今作までで、これ以降のムーランズ・ゴング作品はどれも入手が非常に困難のようだ。