KBB - Proof of Concept


ヴァイオリニスト壷井彰久率いるKBBのサードアルバム(ライブ入れると四枚目)。2007リリース。

これは傑作。ヴァイオリン・ロックということで興味があって、ちょうど新作がディスクユニオンでライブ音源CDR付きで売っていたので聴いてみたらこれが素晴らしい。

(エレキorアコ)ヴァイオリン、キーボード、ベース、ドラムという編成で、フュージョンよりなプログレで、攻撃的な激しいプレイから、ヴァイオリンらしいつややかな音色を生かしたアコースティックタッチな綺麗な曲までこなすなかなか幅の広い音楽性がある。

また、キーボードがかなり変な音色を出していることがあり、音楽性ともどもヤン・ハマーと一緒にやってたころのジェフ・ベックぽい感じもする。「ライブ・ワイヤー」ではヴァイオリンも使われていたが、あんな感じが近いと言えば近い。

ハードでアグレッシブなロックヴァイオリンが縦横に弾きまくるだけではなく、どの曲もドラマティックでメロディが美しく、ハードさとクラシカルなタッチを行き来するヴァイオリンがやはり素晴らしい。かといってヴァイオリニストのワンマンバンドという感じではなく、キーボーディストもかなり活躍している。

叙情的なものからハードなロックテイストまでこなす壷井彰久のヴァイオリンが存分に聴ける傑作。壷井氏は他にもいろいろな参加したりユニットを組んだりしているみたいなので、順次そちらも聴いてみたい。

1.Inner Flames (10:25)
激しいドラムからスタートするハードな曲。冒頭からリードを取っているエレキギターそっくりの音色は、おそらくキーボード。たぶん。しかし、エフェクタで何とかなるのかも知れないが、こんな音がキーボードとは最初わからず、クレジットを見てもギタリストがいないし使用楽器にギターもないので凄く不思議だった。中盤まではこのギター風キーボードが活躍するが、中盤で曲調がかわり、ヴァイオリンがやっと前面に出てくる。ここで演奏されるメロディが非常に秀逸なのだけれど二回しか出てこないのがもったいない。でも、勿体つけた挙げ句このメロディが出てくる展開はかなり良い。

2.WEIGH ANCHOR! (4:26)
爽やかな朝を思わせるピアノとヴァイオリンデュオから始まり、ドラムベースが加わり、少しずつアップテンポになっていく。後半にはディストーションのかかったヴァイオリンも出てくるが、基本はクラシカルな美しさのあるメロディアスな小曲。

3.Stratosphere (9:09)
前半はちょっと暗めの曲調で、雰囲気重視のおだやかだがミステリアスなメロディ。中盤から軽快なドラムが入り、ヴァイオリンのスピーディなソロパートへ。ここらへんはたぶんヴァイオリンを多重録音している。後半はギターっぽいキーボードやらが入り乱れてかなりハードになる。

4.INTERMEZZO (4:49)
これもヴァイオリンの音色を生かした落ち着いた雰囲気の曲だが、後半でやはりドラマティックに盛り上がりを見せるところが聴き所。ハードな曲の合間に挾まれるこの種の小曲の水準が高いところがアルバム全体の流れに貢献していて好感度高い。

5.Rice Planting Son (5:42)
軽快でユーモラスな曲調の幕間。

6.Lagoon Nebula (7:30)
ドラマティックなメロディと高速リフレインパートが交互に現れたり展開がかなりころころ変わる目まぐるしい曲。

7.40 degrees (4:17)
割と落ち着いた綺麗なメロディ中心で、キーボードソロやベースソロを挾んでいる。

8.Order from Chaos (9:20)
ラストの大曲。メロディアスな冒頭部から、ハードなヴァイオリンソロへ移行し、インプロっぽいパートを挾み、またもやメロディアスなパート。綺麗なメロディの部分でのヴァイオリンの伸びやかな音色はやはり素晴らしい。そこからキーボードソロへ。ラストではやはり中間部でのメロディがリプライズしてきて、渾身の盛り上がり。


以下はディスクユニオン特典のCDR。2004年のライブからアルバムに収録しなかったアウトテイクらしい。アウトテイクといいながらもなかなか良い。以前のアルバムの曲も聴けてお得感あり。

1.Backside Edge (10:40)
ヴァイオリンのリフレインからキーボードソロへ。ベースの重い音色が印象的な中間部を挾み、ヴァイオリンのソロパートへ。そしてまた冒頭のリフレインへ戻る。

2.40 degrees (4:44)
今作に収録された曲のライブバージョン。

3.I am not here (9:43)
ダークで陰鬱な曲調が印象的な一曲。

KBB|壷井彰久率いるヴァイオリン・ロック・バンド