Ray Davies - Working Man's Cafe

ワーキング・マンズ・カフェ

ワーキング・マンズ・カフェ

キンクスのフロントマン、レイ・デイヴィスのソロアルバム。ソロ作はいくつかあるが、純粋なスタジオオリジナルアルバムのソロとしては二枚目になる。2007年リリース。

ソロ1stもなかなかよかったけれど、今作は全体的なクオリティが高く、抜群の出来。キンクス本隊とはやはり音は違う部分があるけれど、充分タメを張れる充実したものとなっている。傑作と言っていいのではないかと思う。

ミドルテンポの曲調がメインのAOR的作品だけれど、とにかくメロディの良さが際立っていて、レイのアコギを効果的に使ったアレンジも秀逸。いや、良いアルバムです。レイ・デイヴィスのメロディセンスの卓抜さを示す出来。

惜しむらくは、ここにデイヴのギターがないことくらい。デイヴはデイヴでソロアルバムを最近出したんだけれど、私にはどうも面白くなくて困ってしまう。デイヴはソロ活動に意欲的みたいでキンクス復活には否定的みたいだけれど、是非ともキンクスとしての活動を期待したいなあ。正直、デイヴの声にはあんまり魅力を感じないことが多くて。いくつかの曲ではとてもいいんだけど、レイの曲はデイヴには苦しいのが、ソロライブなどを聴くとわかってしまう。

曲単位だと、特に好きなのは、1の「Vietnam Cowboys」。グローバリゼーション批判とともに、自国の文化がどんどん外国製品に取り替えられてしまう状況を皮肉っぽく描いた歌で、軽快な曲調が最高。これだけ何度も繰り返して聴いてしまった。

あと、3のタイトル曲は、こちらはやや情緒的に失われていくノスタルジーを歌っていて、とてもレイらしい曲。メロディのもの悲しさが光る。あと、特筆すべきは「In A Moment」「Imaginary Man」「One More Time」のバラード曲がすばらしいこと。どれも名曲。なんとなく、「One More Time」以降印象が薄い気がするが、それまででも充分良いアルバムなので気にしない。


しかし、「One More Time」の「Wish you were here to sing it with me one more time.」という歌詞は、私にはどうしてもデイヴへのメッセージに聞こえてならない。
Ray Davies - Working Man's Cafe

RAY DAVIES, ONE MORE TIME


いつのまにかDVD付きの限定版が出ている。こういうのは、先に出して欲しいんだけど、
いくつかボーナストラックついてるし、DVDは上記映像だろうか。さすがに買わないだろうけれど、この野郎、という感じだ。

Working Man's Cafe (Dig)

Working Man's Cafe (Dig)