RPWL - World Through My Eyes

World Through My Eyes

World Through My Eyes

ドイツのバンドRPWLの、アウトテイク集を挾んだ四枚目。公式にはサードアルバムになるか。2005年リリース。

プログレとはいいながらも、秀逸なメロディセンスを生かした歌ものの充実度が高く、テクニカルな見せ場を披露するのではなく、浮遊感のあるキーボードや情感あふれるギターで雰囲気を作っていくのがメインのサウンドだ。

今作では以前にも増してインド風、中近東風な要素を大きく取り入れていて、一曲目とタイトル曲での導入は非常に効果的だ。

また、今作からは「Roses」がシングルカットされている。この曲、非常に売れ線な感じのキャッチーな曲で、ヴォーカルがなんと、ジェネシスの現時点でのラストアルバム「Calling All Stations」で脱退したフィル・コリンズの次に三代目ヴォーカリストとなったレイ・ウィルソンとなっている。本来のヴォーカルであるYogi Langの地味だが暖かみのある声も良いが、かすれた渋味のあるレイ・ウィルソンの声にはすっかりはまってしまった。

とにかく、メロディの良さが際立つRPWLの充実作。民族色を要所で取り入れつつ、現代的なセンスを生かして、フロイド的な空気感の演出も魅せる傑作。個人的に、RPWLの楽曲に外れはない。


1.Sleep (7:42)
のっけからインド風の音が出てくる。また、ゲストにIndian Choirとクレジットされていて、ほんとにインド人の混声コーラス隊を起用しているようだ。ミドルテンポの曲調で、Langの優しげな声が魅力。ギターが民族色あるリフを奏でたり、派手ではないが非常に印象的な歌。

2.Start the Fire (4:43)
シームレスに前曲とつながっていて、歌詞的にも繋がりがあり、併せてほぼ一曲と見ることもできる。前曲からこの曲につながる流れの良さは特筆ものだ。静かな前曲から、突如ハードなイントロに流れ込み、メロディアスなAメロ、そしてサンスクリット語を用いたサビが秀逸。「Om jai, deva」というフレーズがサビでは繰り返されるが、検索するとそればかり出てくるので分かるが、これはビートルズが「ACROSS THE UNIVERSE」で使ったのと似たフレーズだ。ディーヴァを称える、くらいの意味だろうか。
RPWL - Start the Fire

3.Everything Was not Enough (8:43)
一転、哀しげなバラードで非常に良い曲。ヤケに長いが、後半の大きく盛り上がるあたりで、前曲の「Om jai, deva」がリフレインしている。

4.Roses (6:36)
レイ・ウィルソンのヴォーカルによるシングル曲。これは格好いい。かすれた声が非常に良い。
RPWL - Roses (with Ray Wilson)

5.3 Lights (8:18)
アコースティックギターによるシンプルな導入から、後半はキーボードが鳴り響くハードなインストに展開する。ドラマチックな構成。

6.Sea-Nature (8:12)
ちょっとコミカルな曲調。「Stock」にもあったけれど、Swimmingが好きだな、このバンドは。キーボードワークもユーモラスで、面白い。

7.Day on My Pillow (4:18)
コーラスの綺麗なシンプルなバラード。なかなかの曲。

8.World Through My Eyes (10:10)
もっともプログレな一曲。サイケデリックなインド色の導入が面白い。これは格好いいぞ。
イントロでのインドチックな演奏(シタールか?)、ベースとギターの繰り出すどこかエスニックなフレーズなどなど。面白い音色のキーボードとギターソロもききどころ。

9.Wasted Land (4:44)
一転、アップテンポで爽快な曲。サビにもう一展開欲しいところだけど、メロ部分がとても良い。

10.Bound to Reach the End (6:56)
終わりにふさわしいしめやかで静かな曲。