The Flower Kings - Unfold The Future

Unfold the Future

Unfold the Future

フラワー・キングス通算八作目の2002年作。久しぶりの二枚組大作は、ヴォーカルにPain of Salvationのダニエル・ギルデンロウをくわえ、メンバー的にも拡充を図り、音楽性もさらなる広がりを見せている。

最初と最後に三十分クラスの大曲をそれぞれ配し、あいだにヴォーカル曲、フュージョン風インストなどが連なる。プログレらしいプログレからジャズ風のものまで、多彩な曲調。最初と最後の大曲の出来は出色で、どちらもフラキンの代表作といえる曲だろう。初期の作風からは、テクニカルでインプロが拡大され、ジャズ、フュージョン風のものが増えて取っつきにくくなっている感はあるが、スペース・リヴォルヴァー以降の作風を集大成した力作。

トラックリスト

1.The Truth Will Set You Free (31:01)
2.Monkey Business (4:23)
3.Black And White (7:39)
4.Christianopel (8:16)
5.Silent Inferno (14:21)
6.The Navigator (3:39)
7.Vox Humana (4:44)


8.Genie In A Bottle (8:09)
9.Fast Lane (6:33)
10.Grand Old World (5:26)
11.Soul Vortex (4:38)
12.Rollin' The Dice (5:00)
13.The Devil's Danceschool (5:08)
14.Man Overboard (3:45)
15.Solitary Shell (2:50)
16.Devil's Playground (25:26)
17.Too Late For Tomatos (Bonus Track) (10:24)

1はライブでも定番らしい代表曲。ポップなさびのメロディの親しみやすさはかなりよく、演奏も良いが、さすがに30分は長すぎる。でもやはり聴いていて気持ちの良い曲ではあるので、ライブとかでの短縮版というのを聴いてみたい曲だ。2はアップテンポなロックソング、3はボーディンのキーボードワークが冴えるフラキンらしい暖かさのあるヴォーカル曲、4はジャズ調というか、インプロっぽいインスト曲で、どうも退屈で良くとばしてしまう。5はハードなアンサンブルからスタートするプログレソングで、なかなかの聴き所だ。6、7は優しげなヴォーカル曲ふたつがならび、どちらもかなり良曲。
8はちょっとハードめなヴォーカル曲で、9はアップテンポでハードなロック、続く10はサックスとピアノがムーディにリードするジャズ調のヴォーカル曲で、これもなかなかの歌を聴かせてくれる。11のインストを挾んで、12は荒々しく粘り着くようなヴォーカルが印象的な曲、13はベースがうねりまくり、トランペットが鳴り渡るフュージョンインスト。14は序盤おとなしいが後半が盛り上がるヴォーカル曲、続く15がやはりとても優しい印象のロイネのヴォーカルを生かした短いヴォーカル。最後のボートラはここでもフュージョンインストなのだけれど、ロイネのギターがかなりアグレッシブなプレイをしていて、結構聴き応えがあり、なかなか良い。

で、今作ではなにはなくともラストの名曲「Devil's Playground」が傑出している。この曲のメロディラインの美しさはフラキンソング随一だと思うし、これほどはまった曲も他にないと言うくらい素晴らしい。とにかく、この曲一曲のためにこのアルバムがあったといってもいいくらいだ。この一年、というだけでなく、ここ数年の、プログレ以外も含めての傑出した歌だと思う。ハードなアンサンブルで迫ったかと思えばピアノの美しいヴォーカルパートが現れたり、ロイネとハッセのツインヴォーカルを生かしたラストの盛り上がりなどなど、最高だ。ただ、さすがに25分は長すぎる。インストがつまらないとは言わないが、歌を聴きたいときに、インストの長さがアレなので、ヴォーカルパートをメインに抜粋して11分に編集したMP3をつくってそれを聴いたりしている。クリムゾンで言うところの「abridged」ヴァージョンだ。

Youtubeにはこの曲のラストのパートだけを抜き出して、FFの画像とあわせたイメージ映像がアップされていた。前半のヴォーカルあってのラストだけれど、ここだけでも十分に良い。最初からずっとロイネのヴォーカルなのだけれど、最後のサビだけ、それまでコーラスだけをやっていたハッセ・フレベリがここぞとばかりの絶唱を聴かせる展開はたまらない。優れたヴォーカリストというのは、それだけで曲のレベルを一段も二段を引き上げてしまうことが如実に分かる。そして、歌を引き継いで始まるロイネの長いギターソロの感動的なこと。ただ、惜しむらくは私にはこの曲の歌詞の意味が情けなくもよくわからないことだった。

Final Fantasy Tribute - The Flower Kings