Falcom Sound Team jdk - ZWEI ! ! Original Soundtrack

オリジナル・サウンドトラック Zwei!!

オリジナル・サウンドトラック Zwei!!

民族音楽ゲーム音楽篇その二。音楽には定評のある日本ファルコムアクションRPGサウンドトラック。

結論から言えば、私の聴いた民族音楽系サントラのなかでトップクラスのひとつ。驚くほどどの曲もレベルが高く、トータルな統一感があり全体としての完成度も高い。民族音楽ゲーム音楽が好きな人には確実に訴えるものがあるはずだと思う。

さて、ファルコムサウンドといえば、私はフェルガナ、イース関連くらいしかちゃんと聴いてはいないのだけれど、ややダサイくらいの格好良さとメロディ重視の音作りに定評がある。FM音源時代から変わらない音作りで、最近のゲーム音楽は進化した映像とのかねあいでメロディ重視の曲が似合わなくなり、その手の曲が退潮傾向にあると思うのだけれど、ここはいつまでも昔ながらのゲーム音楽っぽさを維持している、感じ。

そんなファルコムイース等でベースとなっているロック調を排し、民族音楽にチャレンジしたのが本作。こういう方向性はファルコムとしては初らしいのだけれど、そんなことを感じさせないハイレベルの出来だ。民族音楽系ということで、アコースティックで民族っぽい音色とゆったりとしたテンポを中心とした音になっている。

OP曲「永劫の夢、大空の記憶」が素晴らしい。情景描写的な曲調で、アコースティックギターや笛の音色が広大な景色を思わせる。

曲の試聴はここから。
http://listen.jp/game/dl_album_nw101024801.htm
http://listen.jp/game/dl_album_nw101024802.htm
一曲目「浮遊大陸アルジェス」はマリンバをベースにゆったりと流れていく今作の雰囲気を象徴する曲。町の音楽「プック村」街の音楽も良い感じでずっと聴いていても飽きない。
笛とアコースティックギターを中心に、マリンバ、ヴァイオリンを交えた穏やかなメインテーマ版「浮遊大陸アルジェス」、神秘的な雰囲気で、アコギやハープの音が聞こえ、やはり静かな笛のメロディが秀逸な「パーヴェル庭園」。やや前曲と似た神秘的な雰囲気の曲だけれど、メロディがもうちょっと派手で、森の音らしいアレンジの「カヤパの森」。

パーカッションのリズムが軽快で、中盤のピアノが印象的な「ケノーピ火山」、シタール風の音色が妖しい「ダプネ砂漠」はちょっとクロノトリガーっぽい。アコギと笛の物悲しいメロディ「ヒポリタの丘」、「トリポカ湖」。寂しい雰囲気いっぱいの「プシュケの屋敷」、アコギとマリンバ、そして笛の静かなメロディ「妖精たちの村」。

シタールの音色とリズミカルなビート、サビのメロディが良い「スピリ古代迷宮」と甲高い笛の音によるコロコロとしたかわいいメロディが秀逸な「竜の眠る道」は一押し。きっちりとメロディを聴かせる「エスピナ暗黒神殿」は曲名に比べて穏やかな雰囲気だ。

そして「幻の大地セルペンティナ」は今作を代表する名曲で、少しずつ盛り上がっていく展開と、笛と撥弦楽器シタール風ともちょっと違うか)の奏でるサビメロが素晴らしい。浮遊感と神秘的な雰囲気が良くでている。間奏部分も良い。初聴きの時は良い曲だけれどもうひとつ盛り上がりが足りないなとか思っていたけれど、聴くほどに沁みてくる。ゲームをやったことがないため、浮遊大陸を舞台にしたゲームの幻の大地と聞いてどうにもラピュタが浮かび、そのイメージで聴いている。名曲です。

ラスボス戦と思われる「最後の戦い 魔王ヴェスパー」、これも名曲。穏やかな導入から段々とリズムが入ってきて、ヴァイオリンの切ないメロディが切り込む。サビの部分ではバグパイプが哀しくも明るい調子の非常に印象的なメロディで盛り上げていく。リズムは切迫しているのに、旋律は哀しく、すこし明るい絶妙なセンスが炸裂するボス戦曲とは思われない雰囲気を持つ曲だ。ラスボスであってもやはり民族音楽調を失わず、電子楽器を使わないあたりのトータリティは流石だ。

おまけ曲にも面白いのがあるけれどそれは省略。

アコースティックギターマリンバ、笛、フルート、パイプやシタール、民族風パーカッション等々の音を効果的に用いて、非常に雰囲気の良い楽曲になっている。ファルコムらしいノリの良さを控えめに、ゆったりとした落ち着いた雰囲気の曲の質の高さが特に目立つ。静かな曲でもメロディはちゃんと聴かせる作りになっていて、つまらない曲がほとんどない。サントラというと、特に気に入ったものと気がつかずに聞き流してしまう曲とに分かれてしまうものだけれど、本作についてはどれもが印象的で埋もれる曲がない。

ゲームサントラの名盤の一つと思う。最近もっともゲームそのものをやりたくなったサントラだ。


というわけで体験版。セーブが出来ず、強制フルスクリーンなので30分程度しかやってはいない。ゲームをやりたくなるサントラだったけれど、8年前のこれをいま買って遊ぶ気はないなあ。
Zwei!!−ツヴァイ−(日本ファルコム)
そういえば、PSP版に移植されたときにアレンジが加えられたらしいのだけれど、そちらがどうなっているかは未聴。以前格安でサントラだけがオークションにでていたけど、入手しておくべきだったか。