Asturias - Brilliant Streams

Brilliant Streams

Brilliant Streams

さて、昨日の津田治彦が在籍していた大山曜のプロジェクト、アストゥーリアスの2ndアルバム、1990年リリース。

2004年くらいに再発されてはいたけれど、知ったときにはすでに品切れ状態で聴けていなかった。が、Amazonに海外レーベルSpalaxから再発されたものが入手可能になっているのに気づいて、早速入手した。しかし、日本のCDの海外再発輸入盤で買うというのもアレな話だ。1stもつい先日まで買えたはずだけれど、今見たらもう品切れで入手不可になっている。上掲の盤もいつ買えなくなるか。

で、このアルバムだけれど、全体のドラマティックさやこの一曲!、という突出した点では1stにゆずるし、バラエティ性に関しては3rdに負けるけれど、メロディの良さの点では傑出したアルバムだと思う。情感あふれるたおやかなメロディが、タイトル通りせせらぎのようにゆるやかに流れていく。名盤。いちいち書かないけれど、どれも名曲。

1.Highland
ピアノのイントロに導かれてシンセが入ってくる。笛のようなシンセサウンドが奏でるメロディが非常に印象的。後半の鋭いギターソロも聴き所。ハイランド地方を飛んでいるイメージで作ったらしく、開放感ある音で自然の広がりをイメージさせる楽曲になっている。
2.Nostalgia
ピアノをメインに据えた物悲しい曲調。低い管楽器の音はファゴットだろう。重厚で、Zabadak上野洋子のコーラスも印象に残る。
3.Rogus
アコアスでもリメイクされた「獣神ローガス」のテーマ曲。エレクトリックギターがリードするアグレッシブな曲で、中盤以降の展開もドラマティックで素晴らしい。
4.Brilliant Streams
ローガスを引き継いで、きらきらしたシンセに笛系のリードが旋律を奏で、アコギが快活な音を鳴らす。パーカッションが入り、やはり豊かな自然をイメージさせる音が広がる。ポジティブで明朗なオープニング。四分台で聴けるメロディはほんとに素晴らしい。このテーマはゲーム「ダークレイス」のエンディングらしい。上野洋子の声を挾んで、ファゴットの登場。そして七分半のあたりからMike Guitarと呼ばれるエレクトリックギターのソロパート。鮮烈なメロディのあと、ミネルバトンサーガのフィールド曲が出現する。どこか民族調で明朗なイメージがあり、ポップな雰囲気だ。そこから上野洋子の声を挾んで、「ダークレイス」の曲が挿入される。ここではミステリアスで緩やかな雰囲気だ。冒頭でのテーマの変奏も含んでいて、このダークレイスの曲で序盤中盤終盤を結んでいる感じがする。そしてまた上野洋子の声がダークレイスのテーマをハミング。ここでの上野洋子の声は初期Zabadak風とは違って、低めの声を使っている。そして、一気に視界が開けるように明朗な「ダークレイス」のテーマがリプライズしてくる。明るいながらもどこかとても悲しい雰囲気があるこのメロディはほんとに良い。大山曜のこの手のメロディセンスは素晴らしいと思う。大山氏自身はここを含めたラストのパートの出来に不満があるらしいけれど、この終盤の展開は私は凄く気に入っている。

複数のゲーム音楽がじっさいに引用されているのもあるけれど、このアルバムには良い意味でゲーム音楽的な要素が多くて、ゲーム音楽好きに強く勧めたい。そうでなくとも、美メロの豊富に詰まった自然を感じさせるニューエイジサウンドとしても、叙情派プログレとしても面白いので、是非とも多くの人に聴いてもらいたいアルバムだ。

ミネルバトンサーガ

大山曜による解説

ぬんぬっき Asturias 『Brilliant Streams』 / Progressive Rock

Asturias - Circle in the Forest - Close to the Wall
Asturias - Cryptogam Illusion - Close to the Wall
Acoustic Asturias「Bird Eyes View」 - Close to the Wall
Acoustic Asturias「Marching Grass On The Hill」 - Close to the Wall