音楽篇のほうがまだ半分くらいしかできていないのでとりあえずこっちの方から。
ちなみに、今年出た本ではまったくなく、今年読んだ本のリスト。とりあえず十冊挙げてみると、こうなったというところで。
イスマイル・カダレ - 誰がドルンチナを連れ戻したか - Close to the Wall

- 作者: イスマイルカダレ,Ismail Kadare,平岡敦
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1994/01
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
なお、塩川伸明民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)で、クロアチア、セルビアの民族間対立に触れ、第二次大戦期のファシスト・イタリア保護下のアルバニアに併合されたコソヴォについて「アルバニア人の多くはドイツ・イタリアと協力してセルビア人虐殺に加わった。このような大規模な民族間の相互殺戮は、戦後長らく「忘れられるべき汚点」とされ、語ること自体が抑圧されてきたが、それが数十年後に噴出することになる」と述べている。想起すること、記憶を掘り起こすことを主軸に据えた「将軍」は、この「忘れられるべき汚点」を同時に掘り起こすものとして書かれ、読まれたのだろうかと考えた。これが世界的に出世作となった理由とも関係するのだろうか。
古井由吉 - 白暗淵 - Close to the Wall

- 作者: 古井由吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
笙野頼子 - おはよう、水晶−おやすみ、水晶 - Close to the Wall

- 作者: 笙野頼子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/12
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
青木淳悟 - このあいだ東京でね - Close to the Wall

- 作者: 青木淳悟
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 40回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
小島信夫 - 月光・暮坂

- 作者: 小島信夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/11
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
伊藤計劃 - ハーモニー - Close to the Wall

- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/12
- メディア: 単行本
- 購入: 50人 クリック: 931回
- この商品を含むブログ (329件) を見る
円城塔 - Self-Reference ENGINE - Close to the Wall

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 11人 クリック: 362回
- この商品を含むブログ (260件) を見る
下條信輔 - サブリミナル・マインド - Close to the Wall

- 作者: 下條信輔
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/10/25
- メディア: 新書
- 購入: 29人 クリック: 110回
- この商品を含むブログ (78件) を見る
オリヴァー・サックス - 妻を帽子とまちがえた男 - Close to the Wall

- 作者: オリヴァーサックス,Oliver Sacks,高見幸郎,金沢泰子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/05
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 104回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
向井豊昭 - DOVADOVA

- 作者: 向井豊昭
- 出版社/メーカー: 四谷ラウンド
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
向井豊昭唯一の長篇作品。「怪道を行く」は去年の記事があるので、今年はこちらを。
去年なくなった老齢の作家向井豊昭の作品を今年はたくさん読んだ。三冊の全単行本を再読しつつ、雑誌、アンソロジー掲載ものから岡和田さんから借りた自費出版ものまで。その読んだ作品のことを幻視社第四号の原稿に書いたわけだけれど、向井豊昭は貴重な作家だったのだな、という思いを強くした。アイヌでないものがアイヌ問題について語ると言うことの悩みは、和人たる私からすると重要なテーマだ。思うのだけれど、アイヌ問題を差別問題と捉えるなら、その最大の当事者はしかし差別者側の和人に他ならないともいえるはずで、その意味では向井豊昭はアイヌ問題についての当事者でもあったのだろう。
もちろん、向井豊昭を「アイヌ」だけでくくることは出来ない。言語へのこだわり、権力への抵抗、笑い、排泄へのヘンなこだわり等々、興味深い点は数多く、雑誌掲載作等未だ読めてない作品も数多い。幻視社では向井豊昭を応援します。
岡和田晃
知人であり幻視社同人につき番外篇的に挙げるけれど、今年は岡和田晃の年だった。文芸評論、RPG論、翻訳その他で活躍する新進の批評家であり、幻視社同人としても活躍しているわれらが岡和田晃は今年だけでも単著

ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)
- 作者: 岡和田晃,アークライト,狩岡源
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2009/05/29
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
SFWJ:hyoron005
この評論は以前彼のSF乱学講座での講演でも予告されていたものだった。その講演の様子は私もレポートしているので乞う参照。
SF乱学講座 岡和田晃 - 「「ナラトロジー」×「ルドロジー」――新たな角度からSFを考える」 - Close to the Wall