年をまたいでしまったけれどようやく書き終わった。まとめといいつつ、紹介したもの以上にまだ紹介してないものについての文章が多い。去年と比べてもさらに長い。このままではどんどん年末の作業が増えていくばかりだ。
で、今年聴いたプレイリストをざっと見直してみたところ、重複等を考えずに単純に数えて約7000曲ほどにもなっていたのには、自分でもビックリした。バカじゃなかろうか。
どういう風に構成するのか迷ったのだけれど、とりあえず以下のようにジャンル分けしてみた。カテゴリの水準が個々に違っているけれど、そう言うものだと思って欲しい。
長すぎるので続きを読む、で。
邦楽
Zabadak
初リアルタイムザバダックの一枚。オープニングの迫力ある呪術的なロックから、名曲「旅の途中」のセルフカバー、長尺のインストまで、吉良ザバダックの好作。これだけにとどまらず、今年は「私は羊」以降のオリジナルアルバムをすべて揃えたので、かなりザバダック漬けの一年だった。プログレ色満載の「Ikon」は去年聴いたので除外すると、のれん分け以降としては「Signal」が好みかな。アイマスでカバーされた遠い音楽の「みんなのうた」的動画。ザバダックらしさが良く出ている動画だと思う。児童文学的世界観というか。
Life収録の名曲「この空であえるよう」のアルバム収録の北京語と日本語バージョン。はじめて聴いた時はビックリしたけど名曲ぶりにもビックリした。
平沢進
最新作を買う。実は平沢作品というのは嵌る曲は最高に嵌るのだけど、アルバム全体だとそこまでではないということが多くて、今作もそうだといえばそうなる。ただし、「王道楽土」は素晴らしい。他には奇怪なおもしろさの「聖馬蹄形惑星の大詐欺師」と暖かな名曲「Phonon Belt」が気に入っている。ちなみに、「王道楽土」はサイトにて無料配信されている。
TESLAKITE FREE MP3s
新居昭乃
前作はやや地味すぎたか、と思うところもあったけど、今作はかなり良い。冒頭の不思議なコーラスが印象的な「Haeakala」、「鏡の国」はじめ、「ターミナル」「Orient Line」民族音楽的な「Lhasa」、ポップな「Wings of Blue」などなど良い感じ。今年はアニメ「狼と香辛料」二期のOPをZabadakの吉良知彦(これについては後述 )に次いで担当していて、このシングルもかなり良い。エキセントリックに動き回るストリングスが面白い。基本的にシングルは買わないのだけど、新居昭乃のシングルはいつアルバムに入るのかわからないので、これは買ってしまった。いくつかまだアルバム化されていないシングルがあるんだよなあ。
Heatwave
山口洋率いるロックバンドで、山口はソウルフラワーユニオンでも歌われる「満月の夕」の共作者で、そのつながりで聴いてみたところ、これがかなり格好いいシンプルなロック。スリーピースの力強いサウンドで、シンガーソングライター的な詩のセンスは仲井戸麗市なんかとも似ている。ソウルフラワーつながりでドーナルラニープロデュースのアルバムもあり、個人的にはこれが一番好きだ。これは名曲。
プログレ
Marillion
Marillion - Marbles - Close To The WallMarillion - Anorak in the UK - Close To The Wall
ラケットレコード通販でマリリオン作品を買ってみる。DVDも含めて素晴らしい。
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今年の新作としてアコースティックアルバムが出たのだけれど、これも実にマリリオンらしい湿り気と暖かさが感じられるアルバムだ。HappinessツアーのライブCDがすでに出ているのだけど、DVDが欲しいですねえ。
Transatlantic
マリリオンのピート・トレワヴァスも参加しているトランスアトランティックがまさかの復活。主導格のニール・モーズが宗教上の理由でバンド活動を一時停止した時にニールの本家Spock's Beardともども脱退してしまって活動中止状態だったのが、ここにきての復活。ピート、ニールにくわえ、Flower Kingsのロイネ・ストルト、Dream Theaterのマイク・ポートノイと90年代以降のプログレシーンにおける最重要バンドのピート以外はバンドのリーダー格がそれぞれ参加するという驚異的なスーパーバンドで、ややニール色が強いものの、各人それぞれの個性的な演奏が楽しめるアルバム一曲プログレ大作。ただ、私はポートノイのドラムの音色があまり好きではない。あと、このアルバムにはいくつかのエディションがあるのだけど、ボーナスディスク収録の小曲(Spinningが特によい)やカバー(SantanaのSoul SacrificeやBeatles、AmericaのI Need You等)が非常に良いので、三枚組はいらなくとも、是非二枚組は聴いて欲しい。むしろ小曲集の方が私は好きだったりする。The Wishing Tree
こちらはマリリオンのギター、スティーヴ・ロザリーのサイドプロジェクトが1stアルバム以来13年ぶりのセカンドアルバムをリリース。幽玄な雰囲気をたたえた音で、マリリオンとも似たところがあるけれど、最大のアピールポイントはこの女性ヴォーカルか。ちなみにベースはピート・トレワヴァス。1stもかなり良かったけど、2ndも良作。
Steve Hackett
元Genesis、というか私はGenesisよりも断然にハケットソロが好きなので、去年のクラシックギターアルバムを挾んで、やっと彼のエレクトリック系ソロ作が出たと言うことで早速聴く。一般販売がつい先日のことだったのだけど、一回聴いてみただけでも良い手応えのある良作。Yesのクリス・スクワイアや元Genesisギタリスト同士のアンソニー・フィリップス、弟のフルート吹きジョン、元Kajagoogoo、Ionaのニック・ベッグス等を交え、長年共同作業をしてきたキーボードのロジャー・キングもいるけど、声の良いドラムの人の名前が見えないのはどうしてか。スクワイアのベースが唸る一曲目から雰囲気たっぷりのらしい曲でうれしくなる。バラエティに富んでいてどれも良いな。このアルバムについては後日独立した記事にする予定。Troy Donockley
今年音楽関係でショックだったのがIonaからのトロイの脱退。Ionaの魅力のひとつはデイヴのギターとトロイのパイプのユニゾンによる強力なリードにあると思っていたので、その鉄壁のコンビネーションが崩れるのは不安。新メンバーも既に決まっていて世界的なプレイヤーではあるらしいのだけれど。そんな彼がIona本隊の不活発さと対照的にリリースしたソロが今作。トラッド的でありながらも、クラシカルな要素も強く、映画音楽的な印象もあり、非常にシリアスかつ厳粛な雰囲気が漂う。アイオナメンバーはそろってソロでもハイセンスだ。Martin Orford
IQやJADISといったポンプロックと呼ばれるジェネシスの影響が強いバンドなどに在籍していたキーボーディストのソロ作。非常に評判が良かったので、気になっていた。ようやっと買って、つい昨日届いて今聴いているけれども、確かにこれはかなりの良作。ジョン・ウェットンがヴォーカルだったり、JADISのギターやスポックスビアードのリズム隊が参加するなど、多彩なゲストも参加している。オープニングの一曲目からかなり快調で、マーティン自身の声がウェットンに負けないのは驚きだ。IQやJADISは個人的にもうひとついまいちな感があったのだけど、これはとても良い。開放感のあるサウンドにポップなメロディ、演奏もしっかりしていてギターが各曲で魅力的だし、五分程度の歌ものから爽快なギターインスト、プログレ的に展開する十分近い大作まで充実した作品だ。これで活動停止とは残念。はてなブログ | 無料ブログを作成しよう
Hostsonaten
スプリングソング-ニュー・ミックス・ヴァージョン(直輸入盤・帯・ライナー付き)
Hostsonaten - Springsong - Close To The Wall
ゲーム音楽を思わせるトラッド風インストプログレ。四季をテーマにした四部作のひとつで現在三枚が出ている。そのなかではもっともメロディが印象的で雰囲気も良い。これ以外のものは個人的にはもうひとつの印象だけど、これは秀逸。
Magenta
Yesフォロワーといえばそうなんだけど、ベースとギターが確かにYesっぽい音でこれは非常に楽しめた。前述のトロイ・ドノックリーのパイプも聴けるし。大作揃いながらも飽きずに聴ける。以下からプロモ盤がフリーダウンロードできるので、まずはこれを聞いてみるのがオススメ。http://www.magenta-web.co.uk/promo.html
Sylvan
Sylvan - Artificial Paradise - Close To The WallSylvan - Presets - Close To The Wall
Sylvan - Leaving Backstage - Close To The Wall
プログレメタル要素も持つエモーショナルな情感が特徴的なバンドで、「One Step Beyond」は特に名曲。今年の新作も出ているけど、今のところはこっちのライブ盤が好きだな。「Artificial Paradise」と「One Step Beyond」が入っているので。
TEE
去年も紹介したTEEのファーストアルバム。ユーロロックの影響を受けたフルートフロントのプログレバンドで、世界の風景をイメージしたインスト曲が魅力。EPに比べると密度が薄まったか、とも思うけどCamel的なメロディのあるギターがよい。Camelに比べるとフルートがやたらとテクニカルなのが特徴的。もちろん冒頭の「青い鳥」は名曲だ。一応Amazonにリンクしたけれど、itunes等では900円とかで買えるので、そちらがオススメ。実物が欲しいならHMVで日本盤を買うのがいい。Earth Explorer : TEE | HMV&BOOKS online - PRF052
それと以下は最近の新曲。
そして非常に驚いたのがこのバンドのテクニカルフルート今井研二が同人サークルFragileOnlineの東方アレンジCD+DVDの「星蓮船バンド」に参加したことだ。元ジェラルド、人間椅子の後藤マスヒロも参加したすごい人選のバンドでの驚異的な吹きまくりには圧倒される。
こんなのも
ロック
Gary Moore
Gary Moore - Wild Frontier - Close To The Wall秀逸なハードロックにケルト色が加わって素晴らしい。コロシアム2ともどもギターが聴かせる。
ColosseumII - Strange New Flesh - Close To The Wall
Pat Travers
ヌーノ・ベッテンコートが影響を受けたギタリストと言うことで気になっていたパット・トラヴァースのベスト。最盛期の楽曲を詰め込んだ充実の内容で、最近のあまり評判の良くないブルース路線(ゲイリー・ムーアと似た受容だ)は入っていない。で、聴いてみると確かにヌーノが影響を受けたのがよく分かる、ファンキーなカッティングの格好良さ。特にこれが素晴らしい。これを聴いて気に入ったのでCDを買ったのだった。
ちなみに90年代のエイジアにも参加したことがあるパット・スロールとツインギター体制だったこともあり、オールマンで知られたブルースの名曲をカバーしたりしている。
これもカッティングすごい。そしてヌーノとポール・ギルバートによるカバー。
圧倒的格好良さ。
サザンロック
なぜか今年の夏はサザンロックにはまって、オールマンズはじめいろんなバンドを聴いていた。マルチギター編成がとても多く、浴びるほどにギターを聴きまくれるなかなかいかしたジャンルだ。ツインドラム編成も多くて、大所帯のダイナミックな音。ここに挙げた以外でもMolly hatchet、38Special、ZZ Top等いろいろある。
The Allman Brothers Band
伝説のギタリストデュアン・オールマンとともに、ロックのライブの名盤として知られるこの作品も、以前聴いた時はピンとこなかったのだけど、二枚組のデラックス盤を買って改めて聴いてみると、テンションの高さ、演奏の凄さに圧倒された。鋭いギターをおなかいっぱいになるまで存分に聴けるライブだ。Jessicaの南部らしい雰囲気がたまらない。こういうのも一種のアメリカントラッドだと思えばいいのかな。再結成期のものならこんなボックスも。個別に買うより安いので、いま三枚まで聴いたところだ。
Lynyrd Skynyrd
サザンロック、ということで有名なレイナード・スキナード、特にこの1stは非常に出来のいいアルバム。名曲「Free Bird」のアウトロでのトリプルギターバトルはホテル・カリフォルニアにも負けぬ高揚感を味わわせてくれる。他の楽曲もなかなか良いものが多くて、サザンロックのなかではハードでかっちりとした演奏をするバンドなので、メタルよりのリスナーに受ける印象だ。オールマンズがややジャズっぽさも感じさせるバンドなのに対し、レイナードはもっと泥臭くてアメリカ南部らしさが凝縮された感がある。ライブでは南軍旗が振られるなど、もっともサザンなバンドかも知れない。なお、「Free Bird」は事故死したデュアン・オールマンを悼む曲として書かれたのだけれど、バンドメンバーが飛行機事故に遭い、ヴォーカルはじめその多くを亡くした事件以降は、彼らを追悼する歌として演奏されるようになったという数奇な運命を持つ曲だったりする。名曲。映像は途中で切れるけど。
The Marshall Tucker Band
サザンロックのうちで特に気に入っているのがこのバンド。サザンロックによくあるマルチギターやツインドラムというような重量級のサウンドなわけではなく、なぜかサックス・フルート奏者がいるというバンドで、カントリー、ジャズ色があってライブでの即興演奏が続く点などでオールマンズとも似た部分のあるバンドだ。私はフルートでのトラッド、カントリー色(あるいはB級プログレ色)が特に気に入っていて、歌のメロディの面では一番好みに合うバンドだ。上掲のボックスは初期の三枚のアルバム、「The Marshall Tucker Band」「Searchin' for a Rainbow」「Carolina Dreams」のカップリングで、ベストを買うよりは良かったと思う。なお、缶のケースに入っているヘンなパッケージでややかさばるのがちょっと難だ。
ちなみにこのバンドはライブが凄まじくて、カントリーで牧歌的な印象のある曲が、ちょっと待て、と言いたくなるほどにスピードアップされて演奏されることになる。ライブ盤ベストと言えるのが以下のアルバムで、オリジナルをある程度楽しんでからこれを聴くとそのテンションの高さに圧倒される。サザンロックのなかでは特にオススメのバンドだけれど、最近CD入手が難しくなってきてるのが難。
The Outlaws
トリプルギターを擁したバンドでなおかつコーラスワークを活用している点で、Eaglesを思い起こさせるところがあり、曲も泥臭さはそんなに感じられないと思っていたらこのアルバムのプロデューサーはEaglesも担当していたビル・シムジク。サザンロックというイメージとは結構異なった印象のバンドだ。特にアルバムタイトルにもなっている「Hurry Sundown」が名曲。
こういうAメロがものすごい好みで、後半のギターワークもかなり良い。もうひとつ「Song In Breeze」ってのも名曲だ。あと、彼らの代表曲「Green Grass and High Tides」というのがあってこれはスタジオ盤だと10分弱なんだけどライブだと二倍近い長尺インプロバージョンになる凄まじいヤツがある。
サントラ
Falcom Sound Team jdk - ZWEI ! ! Original Soundtrack - Close To The Wall
Falcom Sound Team jdk - Zwei!! Super Arrange Version - Close To The Wall
ガストサウンドチーム - イリスのアトリエ グランファンタズム オリジナルサウンドトラック - Close To The Wall
と、ゲームミュージックではファルコム、ガストがやっぱり今年は印象深かった。同時にアニメサントラも結構聴いた。
吉野裕司
そのひとつは吉野裕司の「狼と香辛料」のサントラ二枚。KBBの壷井彰久、Era、ボンデージフルーツの鬼怒無月といった面々も参加している民族音楽、古楽風サウンドトラックで、中世の商人を主人公としたアニメの曲だ。特に注目なのが一枚目で、OPをZabadakの吉良知彦が作曲、小峰公子が作詞担当となっている。で、これが非常に名曲。OP版だと後半の一番盛り上がるところがないのと、イントロがなくて静かに入ってくる感じになっていて結構印象が違うけれど、Zabadak楽曲としてもトップに入るほど好きな一曲で今年一番聴いた曲の一つ。やはりバックから渋い吉良ヴォイスが聞こえてくるのが良いな。サントラの方もほのぼのした民族音楽風のものから、弦楽のキリキリした緊張感を煽る現代音楽風のものまであり、RPG系のゲームミュージック好きにアピールするんではないかと思われる。全編生演奏のクオリティも高く、かなり格好いい。壷井彰久のソロも結構あります。二期では吉良知彦がOP担当ではなくなったのがとても残念だった。新居昭乃が悪いわけでは決してないのだけど、マッチング具合では吉良曲が凄かったので。
で、これが大変気に入ったのでアニメも一期をざっと見たのだけれど、なかなかよくできた作品だった。一期の全12話で原作小説の二巻分を消化したようで、丁度真ん中で別の話になっていて、二時間ドラマを二本立てで見たような感じ。とりあえずサントラをBGMに原作本でも読もうか。
菅野よう子
これを皮切りに菅野よう子も十枚近く聴いた。どれもアニメの方はみていないのだけれど、サントラの秀逸さとヴォーカル曲の出来の良さはなかなかすごい。特に良かったのは「Wolf's Rain」と「攻殻機動隊 S.A.C」。特に素晴らしいのがスティーブ・コンテによるヴォーカル曲。アコギ一本を多彩に弾きまくって一曲を飽きずに聴かせる「Could You Bite the Hand?」の格好良さは異常。今年一番聴いた曲の一つ。
edは坂本真綾「Gravity」。坂本の「Cloud 9」はここではじめて聴いてこんな曲を聞き逃していたのかと驚いた。シングルコレクションには入ってなかった曲だったので。Raj Ramayyaの「strangers」もしっとりした名曲で、サウンドは元よりヴォーカル曲の充実ぶりでも良いアルバムだ。スティーブ・コンテのソロアルバム。アメリカンなロックで菅野楽曲とはかなり違うけれども。他のコンテソロも聴きたいところ。
で、もうひとつはこれ。
攻殻機動隊のサントラ第二弾で、2ndGigのOP「Rise」はこれに入っている。ロシア人シンガーOrigaを起用してロシア語と英語混じりの歌詞に打ち込みな曲調は菅野としては珍しい編曲。一曲目のGabriela Robin「サイバーバード」から独特の雰囲気を出しまくっていて面白いし、3曲目ではらしいアッパーなジャズ調、その他ヴォーカル曲、インスト含めて聴き所多し。三枚目の「トルキア」等もかなり良い。個人的にはでもこの二枚目が一番オススメだろうか。
攻殻OP一覧
あまりにもビョークだったりする。Origaは日本でずいぶん前から活動していてアルバムもいくつか出ている。このベストでは「ポーリュシカ・ポーレ」が特に良かった。
光田康典
Ionaのジョアンヌ・ホッグによる主題歌がやはり良いサントラと、アレンジ盤。アレンジ盤は現地のアイリッシュミュージシャンや上野洋子らを起用し、全編生演奏によるアレンジという豪華極まりない一作となった。けれどもヴォーカルがジョアンヌではないのがとても残念で、「飛翔」のヴォーカル版はやや微妙なところもあり、二作あわせて好きなところをつまんで聴くととても良い。ゼノギアスでのシナリオ担当と組んで絵本と音楽CDセットというパッケージでリリースされたオリジナルアルバム。吉良知彦や壷井彰久といった面々も参加した豪華な演奏が快いなかなかの作品で、最近亡くなった河井英里のヴォーカルもある。ただ、光田曲の日本語の歌ものってちょっと微妙。「雪の咆哮」の最後にはMike Oldfieldのフレーズを差し込んでたりするのにはピクッとなった。
谷岡久美
クリスタルクロニクル本編のサントラは民族楽器を多用した生演奏によるもので、地味ではあったけれどなかなかのものだったのに対し、今作はかなりゲームミュージックらしい打ち込み音源になって、デフォルメの利いたメロディ主体の曲調となっている。公式サイトで聴けるメインテーマが非常に良かった。笛の音を多用したところも良い。個人作品ではないけどこれもなかなか良かった。
トラッド
Solas
Solas - The Words That Remain - Close To The Wallアメリカのアイリッシュ系アメリカンによるNYのバンドで、ポップさとトラッド要素の洗練された融合が面白い。もう一つ聴いたこれでは「Scarecrow's Dream」が名曲。だと思ったらこれもカバーで、Dan Fogelbergという人の曲が元らしい。原曲しか動画がないのでこちらを。
Solasはこういうもののカバーが上手いなーと思う。
The Chieftains
The Chieftains - An Irish Evening - Close To The WallThe Chieftains - The Essential Chieftains - Close To The Wall
ブログではライブ盤とベスト盤を紹介したけれど、オリジナルアルバムではこれがとても面白い。ガリシア地方を題材に、カルロス・ヌニェスをゲストに迎え異文化混淆の試みのケルトミュージック。ストリングスを交えたクラシカルな壮大さとトラッドの素朴さを融合した長尺の「Galician Overture」が圧巻。どっかのパブか何かで録音されたとおぼしいアットホームな最終曲など、多彩なアプローチが聴ける好盤だ。
The Finlay MacDonald Band
The Finlay MacDonald Band - Pressed For Time - Close To The Wallロック的な音楽性をベースに、リーダーフィンレイ・マクドナルドの疾走するパイプが乗るアグレッシブなケルトミュージック。格好良し。
フォルクローレ
アンデス、南米の笛ことケーナ吹きのベックマン - Close To The Wallニコニコ動画でケーナを吹いているベックマンさんのことは前に記事にしたのだけれど、この人の影響でフォルクローレを聴いてみようと思って買ってみたのがこれ。「コンドルは飛んでいく」や「花祭り」が確かに良い曲だ。そして「コンドルカンキ」がかなり格好良い。
クラシック・アコースティック
トラッドと一緒にしてもいい気がしたけど、ちょっと別枠で。
伊福部昭
伊福部は去年も記事にしたけど、これも素晴らしい。交響譚詩はすでに聴いたことがあり、日本的な旋律がやはり面白い「土俗的三連画」もいいんだけど、「日本狂詩曲」が最高すぎる。最初の楽章もいいのだけれど、二部の「祭」の圧倒的な狂奔するテンションがすごい。祭囃子のような旋律がクラシック編成で演奏され、怪獣映画のBGMみたいなドンタコと暴れるリズムが全体を支配する野蛮なまでの一曲。「和風」というと落ち着いたイメージがあるけれど、そういう印象を吹き飛ばす攻撃的な曲だ。これが1935年の作曲というのには驚かされる。今聴いてもすごい。ブックレットでのコメントにあるのだけれど、伊福部自身は、自分の曲が最近評価されるようになったのは、ロックなどのおかげでリズムを強調する音楽に違和感を覚えない人が増えたためではないか、ということをいっていて、ロックリスナーの自分としては非常に面白い発言だった。以下は上掲の広上指揮のものとは違う指揮者。
冒頭のクラリネット?がなんだかジブリ音楽みたいに聞こえた。
Rodrigo Y Gabriela
メキシコ出身のギターデュオで、元々はメタルバンドにいたという二人がアコースティックギターのテクニカルなインストを披露する。その出自故かメタル、ハードロックのカバーをすることがあり、セルフタイトル作ではZEPの「Stairway to Heaven」やメタリカのカバーがあった。アコースティックギターによる圧倒的なテンションと、テクニカルな演奏、そしてメロディの良さも相俟ってかなり良い。とりあえず映像を見てもらえれば一発だ。
ZEPのカバー。
Steve Stevens
スティーヴ・スティーヴンスといえばトップガンアンセムやマイケル・ジャクソンの「Dirty Diana」のギターなどでハードロックな方面で有名な人らしいのだけれど、そんな彼がフラメンコをテーマにして作った一枚がこれ。表題曲はサッカー番組のテーマ曲として有名なもの。攻撃的な弾きまくりフラメンコから、ムーディなものまであり、フラメンコ的なものを取り入れたロックなりを聴きたかった私には非常に面白かった。テリー・ボジオ、トニー・レヴィンなどとトリオで組んだ即興バンドでもフラメンコ的な音が出てきたりしていて面白い。