一昨日の続き、というわけで。長くなったので結局別記事を立てます。
キャストトークショーの感想
【ぽ・わ~むな夜】「放課後のプレアデス」一挙オールナイト上映会 in シネマート新宿 という至福のひととき - Togetter
蚕録 -桑島法庫台帳-:TVアニメ『放課後のプレアデス』一挙上映&キャストトークショー キャストトークショー編
当日レポート等はこちらですでにまとまっていますね。まとめの方々お疲れ様です。F列ということで私は割合と前の方でしたか、キャスト陣の登場のあと、椅子に座るというので大橋さんなどはそのスカートだとまずいんじゃないとか思ってしまいましたけど、座るかなと思わせて座らない感じでまあそうだよねと。当日の衣装はこちらでわかるかと。藤田さんの紫ドレスが迫力ありましたね。
放課後のプレアデス 一挙上映&トークショー | 立野香菜子 オフィシャルブログ「もぎたてのKanako」Powered by Ameba*1
高森さん、大橋さん、藤田さんはプレアデスニコ生で出演してましたし、なんなら他の番組でも見ますけれども、桑島さんですね、私がアニメ見始めたころのナデシコのときから声優やってる人ですからね、お顔見たことなかったですそういえば。これが桑島法子なる歴史上の人物か、みたいな感じで見てました。歴史っつっても私とそんなに年かわらねーとかマジか。それとこちらも初見の立野さんは色が白い、という印象と、役柄よりも地声がけっこう高い、という感じ。お嬢様感凄いんだけど、いつきの木登りエピソードって確か立野さんの実話から取ったというはずなのでまさに、という(8/3追記、ここを見ると、ちょっと違うみたい)。
これね、立野さん「映画館の放課後のような時間に」とか「「プレアデスは希望でできているんです!」ってお願いしました」とか、名言多かったですね。「プレアデスは希望」って、私の長文と同じ意見ですよねこれは。
そういえば、大橋さんと立野さんがダビング現場に訪れて、目を閉じているみなとの目に涙を流させるようにした、という話がありますけど、ツイッターだとちょっと不正確な情報になってます。これは、上記のキャストトークのまとめでもあるように「台本にはみなと目を開けるって書いていて」と、当初の指示があったものが、ダビング現場で監督によって閉じた状態にしようって判断になりかけたのを、キャストおよび現場の女性陣の「プレアデスは希望でできているんです!」ってお願いで、最終話の表現になった、ということで。希望強めから、絶望強めに変えようとして、中庸くらいに落ち着いた、って流れ。以前の私の長文記事でも注釈で書いたように7/9更新分の佐伯監督ゲスト回の放課後のプレアデスラジオにおいても、このときのことが語られていて(23分頃)、最初目は開けていたような、と語っており「いろいろなバージョンも作ってはある」と言ってます。ここらへん、絶望を振りまく監督と戦う女性陣、という形で放課後のプレアデスがメタレベルで再演されているように思えて楽しい。もしや佐伯監督はみなとくんだった……?
それと、高森さん、トークでyoutube版での東屋(私が小屋と呼んだもの)が11話まで出てこなかったと言っていましたけれど、七話で出てきてますから! あおいと喧嘩したところ、その東屋ですから! そういえばその注釈で書いた三叉路、二話と七話以外でも六話冒頭でもすばるとあおいの場面で出てきていた。あと文化祭準備帰りでみんなと帰宅途中でも三叉路っぽいカットがあったような気がするけど、みんなといたし違ったか。
ラストシーンの演技指導が「卒業式」というのも非常に納得がいくもので面白い。これから、自分の場所に帰る訳だからなあ。自立、独立の話ではあって、それは個別回というか七話もそう。頼り頼られる共依存的な関係を離脱するっていうのがおそらくはすばるとあおいの課題として浮上してきていて、それを自覚したほうが、相手を置いていった。だから、置いていかれた方がキーホルダーを持っている。あおいがかわいい「制服」を着たかったというのも序盤からの性格描写として正しく、本心ではあるとしても、別の友達を作ってすばる依存をやめる、という理由もたぶんあって、それはそのうち言うつもりなんではないかな。それがまだだというのが12話時点、というのはどうですか。大橋さんに怒ったスタッフも納得していただけませんか?
あと、桑島法子Wikipediaを見ていたら、岩手県出身で宮澤賢治の朗読会をライフワークにしている、とあってそんな彼女がみなと役、というのにびっくりする。前の記事でみなと=カムパネルラ説を書いた時は知らなかった話。銀河鉄道なんか死ぬほど繰り返し読んでいるだろう桑島さんは何か思うところがあったんでは。牧野由依も九歳とか十歳とかで岩井俊二映画の劇伴でピアノを弾いていた人で、これはひかるのエピソードに取り入れられたんだったはず。パッケージ二巻のジャケットにあるひかるが弾いているおもちゃのピアノ、あれは「ソ」が鳴らないピアノだよね。
個人的にはプレアデスキャストのMVPは藤田咲だなって思う。酷使しすぎ活躍しすぎってのもあるけど、多弁な会長のさなかに繰り出される緩急のあるななこの低い声が非常に良いと思います。
どうでもいい突っ込みとして、作中では「運命線」なのに、「世界線」て言う人多くないですか?
一挙上映
で、一挙上映のほう。大画面大音量で見るのはさすがに凄い。OPとかのロック調の曲は特に映えるんだけれど、一回しかかからなかった。切りどころとはいえ、フルバージョン予告とあわせて流しても良かったんでは。ドライブシャフトのエンジン音が低音で唸りまくるのは迫力ある。あと、角マント系楽曲か。逆に高い声はスピーカーで大音量で鳴らすと割れかけるのか聞きづらくなる。これは普段聴いてるイヤホンの方が良いな。大画面は空、宇宙、空間を映すとやはり映える。背景美術の綺麗さ。あるいはエフェクト、ブルーレイで第一話とかを見て、あれ、こんなキラッキラな綺麗な場面あったかと思って配信話数をチェックしてみたらバッチリ同じだったというのがあったりして、たぶん同じものを見ても、画面で見るのと、映画館で見るのとではまるで違うものを見ている。異様に眠くて八話でアパテを見つけてから仲間を呼ぶまでのアクションシーンが記憶にないのとか痛いなあ。母親の顔が確認できるのが家族写真の小さいワンシーンだけなのはチェックしたけど。あれ配信だとわかんないくらい小さい。菅さんが書いていた病院のシーン、エルナトとカケラ探ししてた日付が1/16で、退院日の翌日だったな。
全体としては、五時間くらいかかったはずなのに、いつの間にかもうそんな時間か、というくらい時間が消し飛んでいた。テレビアニメにありがちな間延びした部分や退屈な部分がない。飽きっぽい私が繰り返し繰り返し見ていられるのはきっちり詰め込まれた濃密さゆえだろう。四話ずつで休憩が入れられていたけれど、監督が言う三話構成もいいけど、四話構成もそれなりにまとまっていると思う。確か四話で初めてED曲がちゃんとかかるので一区切りがつく。そして八話で五人の話が終わり、九話からみなとすばるストーリーと見ても差し支えないからだ。
構成と全体
この構成、九話以降で雰囲気が異なる点に不満がある意見を見る。私も、ある種の乖離かもとは思い、これは当初劇場版として発表されたころのシナリオを軌道修正した痕跡だろうかとか思ったこともあった。三話ごとに分けたときの第四シーケンスが原案だったのかな、とか。ただ、すぐにそれは違うな、と。テレビシリーズとして企画を変更したとき、おそらく脚本も完全に練り直したはず。全体を通して見てみて、やはりそれは間違いない。そもそも、すばるとみなとのストーリーへ至る肉食系すばるを育てるための土台固めとして、三話まで、六話まで、七話、八話と至る仲間との結束、あおいとの仲直り、みなとの扉を何度でも開く決意が必要とされているわけで、九話以降はそれまでの要素を用いたすばるの圏外突破でもあった。悲しい要素が終盤に偏っているのは監督が「Febri」で書いたように、「最終的にはシリアスな展開になることはわかっていたので、この第9話までは頑張って、楽しくしています」と、いうことだろう。
そもそも、できあがったこれを見て、どう劇場版にするのだろうと思う。個別回の秀逸さやみなととのやりとりの積み重ねといったものはある程度の尺の長さがないと実現できない。これを劇場版にするとしたら、まっさきに削られるのは個別回だろうけれど、プレアデスの作品の豊かさを支えていたのはまさにそこだろう。youtube版での、すばるとあおい、そしてみなと、という軸を膨らませる形でなら、できなくはないだろうし、たぶん当初の劇場版ってそれだったんじゃないかな。でも、劇場公開だったら私は見てないだろうな。
深夜帯でやっていて、ある程度はその文脈を持ち込んではいるものの、完成度を高めすぎてしまった子供向けみたいな要素の強い作品なので、深夜帯アニメ的なものを好む層とはズレて、かといって美少女もの的な見た目からキッズ向けとも思われなかったことで、やや需給の食い違いを起こした恨みはあるかもしれない。エロや暴力に引きずられない、悪趣味でない、真面目なジュヴナイル、児童文学的作品として、きわめて出来の良いことは間違いないので、再放送なりなんなりで徐々に見られていくといいと思います。今すでにキッズステーションで、来月からAT-Xで再放送とのこと。
放課後のプレアデス / SUBARU x GAINAX Animation Project:TVアニメ『放課後のプレアデス』 再放送のお知らせ
赤い花その他気づいたこと
一挙上映を見るまで気づいていなかったんだけれど、第一話冒頭を見ていて、はっと気づいたのがこれ。七話で再登場するキーホルダーをなくした小川を渡る場面。画面右下、おそらくはあおいがキーホルダーを見つけた場所近くに、さりげなく赤い花が咲いている。これ、確か七話でも、12話でもない。ここにしかない。これ会場ですっごい気になっていた。
「放課後のプレアデス」 | バンダイチャンネル
第一話はウォーターマークのないバンダイチャンネルからキャプチャ。
第一話冒頭
(C)GAINAX/放課後のプレアデス製作委員会 以下同
第十二話終盤(ニコニコ動画より)
*2
この花なんだろうか。夏が過ぎたし、アザミ? 帰宅してブルーレイでよく見ると、花びらからさらに糸状の花びらが出ている花で、あれ、これよう知ってるわ、名前が出てこないと思って検索したら出てきた。彼岸花だ。
ヒガンバナ - Wikipedia
「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」「転生」。
「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」
彼岸で向こう側、パラレルワールドを示唆してもいるだろうし、花言葉が、まさにみなと関係だ。あおいとの思い出の場所に咲いているからあおい関係かなと思ったらそうでもない。なくもない、か。まさにこれからの物語の予示、だ。検索して一番ドキッとしたなこれ。言及している人見たことなかったからあんまり気づいている人いないのかと思ったら、プレアデス、彼岸花で探すと過去ふたばと2chに数人いた。あー、そりゃいるか。どこかで運命線の指標と捉えてる人がいたけれど、これは単に物語の予告、遊びに近いものだと思う。そして赤はみなとの色。「また会う日を楽しみに」、これ、最終話からここまでリピートしてくることを見越しているとしたら恐ろしい。でも、花言葉って誰が決めてるんだ?
あと、最終話を見てからだと、序盤のみなと温室カウンセリングのセリフが、病室での自分を暗示しているように読めるものがあった。これはブルーレイとかで再度じっくり聴いてみないと。
それと、みなとのすばるに対する癖っ毛が角みたいで格好いいね、って確か三話で言っていたけど、あれって角マントの格好のこと? アルデバランという名前はプレアデス星団に続いて上ってくる星だから、「後に続くもの」というアラビア語に由来するらしいけれど、だとすると、これも面白いセリフ。でも、彼が宇宙人に「エルナト」と名付けたのはすばるに出会う前だった。幼少期最初魔法使いになったときは角はなかった。角マントの角は、牡牛座というよりすばる由来なのかも。でも、温室噴水には黄道十二宮のマーク。
それと、五話の劇中劇がプレアデス全体の予告になっていることについては前にも書いたけど、塔の内部が温室内部とそっくりだというのは一瞬のカット挿入で、お姫様がみなとみたいだ、ということについては五話の劇中でちゃんとすばるに言わせている。ここまではっきり描いていたとは覚えていなかった。詳細なメモを取っていたのは七話以降だからなあ。
あと、9話10話に出てくるみなとの病室には「太陽系図」が貼ってあるんですね。
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クレジットに出てて思い出したけど、これデザインが小阪淳。SFファンは知ってますよね。ジャック・ウォマック、グレッグ・イーガンの本のデザイン、イラストの人ですね。格好いいなと思ってたらこの人か。
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作画修正
これ、監督が言うように、ちょこちょこあったみたいですね。
一挙上映会、参加したお疲れさまでした。実は後半の話数は一部ですが手直ししたものに差し替えてありました。 #sbr_gx 放課後の#プレアデス https://t.co/NANgnxDe8o
— 佐伯 昭志 (@sae980) 2015, 7月 26
あれ、と思うところはいくつかあり、特に12話は確実に変わってると思ったところが複数あった。第一話ではほとんどできあがっている映像にアフレコできたとキャストが語っていたスケジューリングだった作品も後半話数ではさすがに息切れしてしまったようだ。他の部分で変わった箇所があると言っている人もいたけれど、私が気づいた箇所を挙げるとすると、高森さんがラジオで監督に言っていた、エルナトがみなとに抱きつくシーン。足の角度が好きだと言っていたけど、その角度が修正されていた。がっつりホールドする感じだったのが、伸ばした足で挾む感じになっていた。あ、高森さんが悲しむ! と思って。
ここのエルナト(会長)の可愛さ。※おとこのこ pic.twitter.com/zCCiS6oDpu
— あき(?△?) (@Aki3210) 2015, 7月 1
これ。これが足をまっすぐ伸ばす感じに。一連のエルナトシーン描き直してるんじゃないかな。
あと、宇宙船が消えるシーン。元は向こうの光に向かってバビューンって飛んでいくシーンだったと思ったんだけど、上映版では、粒子化して消えてった。あれ、飛んでいかねーのかよと。
宇宙船も、船体にAVOVAって読めそうな文字みたいな模様があるなってのがずっと気になってて、これ元からあったっけって家帰ってから画像とか探してみたら、文字は元からあった、むしろ、たぶん宇宙船の書き込みがたぶん増えていた。放送版は宇宙船が出てくるシーンごとで書き込みの多さに多寡があるので、それを描き直していると思う。
あと、ツイッターで言及している人いたけれど、やっぱりサントラ未収録曲あるよね? アレンジでなく。どこかで聞き覚えのない曲が流れていて、でも、これは私の記憶力がタコなだけか、と思ったけど、やっぱりとりあえず一曲サントラで馴染みのない曲があったように思う。
いやところでどうでもいい話なんだけど、ブルーレイってキャプチャできないのはクソがと思ってもまあ仕方ないとして、うちの再生ソフトWinDVDは、DVDはズームできてもブルーレイはできないってのはどういうことなん? 高画質なのに拡大できないとかってどういう? 著作権的な制約で制限されてる? 画質がいいという以外はあらゆる面で不自由しかない。画質を上げても細部が確認できないとか悪い冗談。どうしてこんなクソメディアを売りつけようとか思えるんだろう。滅びろブルーレイ。動くな、死ね、甦るな! どうしてDVDが駆逐されないのかよくわかるわ。ドライブ買う前からなんかいろいろ制約多くて面倒だなとは思っていたけどここまでアレだとは。ここまでやるんならキャプチャや拡大もできる低ビットレートデータも同梱義務づけておくくらいしないとダメだろ。調査研究のために買った面もあるのに、それに資する使い方が全くできないというのは驚き。
8/3追記と画像引用の権利者表記を追加