『代わりに読む人0 創刊準備号』に後藤明生小論を寄稿しました

「可笑しさで世界をすこしだけ拡げる出版レーベル」とうたった一人出版社「代わりに読む人」から出る雑誌、『代わりに読む人0 創刊準備号』に寄稿しました。文学フリマで先行販売されましたけれど、書店発売は六月十日とのことです。

連載小特集「これから読む後藤明生」に「見ることの政治性 ――なぜ後藤明生は政治的に見えないのか?」という十枚程度の小論と、「2021年に読んだ本」のコーナーにエリアーデ『ムントゥリャサ通りで』と梁英聖『レイシズムとは何か』の紹介を書いています。

後藤論の副題は依頼文での提案をそのまま持ってきたもので、面白い視点でしたのでそれに答えるように書きました。後藤明生の読まれ方についての話をしながら、七〇、八〇、九〇年代の後藤をざっと素描したものにもなっているかと思います。

読んだ本のコーナーでは、最初に選んだ時点ではそういう考えではなかったのですけど、饒舌な語りと脱線、日本と朝鮮という二つの点で後藤明生ともリンクするものとなってます。
以下目次を転載。

【目次】

◎特集「準備」
二見さわや歌……行商日記
陳詩遠……………解凍されゆく自身とジュネーブ近郊の地下で起こっている乱痴気騒ぎについて
小山田浩子………バカンス
伏見瞬……………準備の準備のために、あるいはなぜ私が「蓮實重彥論」を書くことになったか
田巻秀敏…………『貨物船で太平洋を渡る』とそれからのこと
オルタナ旧市街…完璧な想像(ポートオーソリティ・バスターミナルで起こったこと)
近藤聡乃…………ただ暮らす
橋本義武…………準備の学としての数学
わかしょ文庫……八ツ柳商事の最終営業日
柿内正午…………会社員の準備
海乃凧……………身支度
太田靖久…………××××××
佐川恭一…………ア・リーン・アンド・イーヴル・モブ・オブ・ムーンカラード・ハウンズの大会
鎌田裕樹…………オチがない人生のための過不足ない準備
毛利悠子…………思いつき
友田とん…………雑誌の準備、準備としての雑誌

◎「2021年に読んだ本」
近藤聡乃/太田靖久/佐川恭一田巻秀敏/柿内正午/蛙坂須美/小山田浩子/二見さわや歌/オルタナ旧市街/伏見瞬/東條慎生/海乃凧/陳詩遠/鎌田裕樹/わかしょ文庫/haco/友田とん/コバヤシタケシ
◎連載・小特集「これから読む後藤明生
haco………………日常と非日常の境界線
蛙坂須美…………後藤明生と幽霊 ──『雨月物語』『雨月物語紀行』を読む
東條慎生…………見ることの政治性 ——なぜ後藤明生は政治的に見えないのか?
友田とん…………後藤明生が気になって

◎コバヤシタケシ…………dessin (1)
◎執筆者略歴
◎編集後記

◆装画・挿画・ロゴ◆
佐貫絢郁

◆制作◆
装幀・コバヤシタケシ
組版・飯村大樹
校正・サワラギ校正部
印刷製本・シナノ印刷株式会社

雑誌の内容詳細は以下のリンク先を参照して下さい。
www.kawariniyomuhito.com

社主友田とんさんは後藤明生に私淑する書き手で、作中でしばしば後藤明生オマージュが仕込まれていますし、後藤明生小特集も連載という通り毎号行なう予定とのことで、後藤明生リバイバルに繋がる場に呼んで頂いたのは光栄でした。