Don Henley - Inside Job

Inside Job

Inside Job

“ヴォイス・オブ・ホテル・カリフォルニア”と呼ばれ、イーグルスの「Hotel California」や「Desperado」で知られるドラマーにしてヴォーカリストドン・ヘンリーのソロ第四作。2000年リリース。

イーグルス解散後からソロ活動を始めて、これで第四作、というすごい寡作ぶりだが、十何年ぶりのアルバムということで作品の出来はきわめて高い。ドン・ヘンリーのソロ作はベストと二枚目(「Building the Perfect Beast」)しか聴いていないのだけれど、ベストと充分タメを張れるほどの出来だ。まあ、私が80年代的サウンドがさほど好きではないので、現代的な音になっている今作のほうが気に入るのはある意味当然の成り行きだが、曲自体もかなり良いのがそろっていると思う。

名作とは言い過ぎだろうが、非常に高水準でドン・ヘンリーのしわがれた独特の声が充分堪能できる。ただ、やはり年を経たせいか、若い頃の声よりもしわがれ度が高くなっていて、ややしわがれ過ぎてしまったようにも思う。ホテカリやですぺらのヴォーカルはほんと素晴らしいものだったが、それを期待するとやや裏切られる。それでもやはり声はあの、ドン・ヘンリーだ。

曲自体はミドルテンポのバラードが多い。まあ、ドン・ヘンリーの声ではやはりバラードが聴きたくなるので、これは良い。バラード以外のものも良い曲が多く、特に1曲目と8曲目は良い。1はノリの良い曲に皮肉めいた歌詞が乗るドン・ヘンリーらしい曲。8は、私が今作で一番好きな曲。メロディも良いが、皮肉めいた調子でなぜか宇宙人(たぶん)について歌っているらしい歌詞が妙で面白い。名曲。

全体的に落ち着いた雰囲気で、しかし暗く重いものも感じられる作風になっていて、ポップではないが、その作風とドン・ヘンリーの声は非常にマッチしている。

今作二曲目の落ち着いたバラード。名曲。
Don Heneley - Taking You Home

このアルバム発表後のライブDVD。

ライブ・インサイド・ジョブ [DVD]

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タイトルの割に今作からの曲が少なめだが、ドン・ヘンリーベストセレクトという感じでなかな楽しめる。今作もそうだが、Amazonなどでは中古で数百円という安さ。

で、なんとイーグルスが近々「ロング・ラン」(79)以来のオリジナルアルバムをリリースするとのことで、びっくりだ。「ロング・ラン」は悪くはないが突出してよくもなかったので、はたしてどんなものになるのやら。