- アーティスト: イーグルス
- 出版社/メーカー: UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
- 発売日: 2007/10/31
- メディア: CD
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数十年のインターバルをおいての再結成アルバムとなるわけで、こうした作品にはオールドファンからの賛否両論があるものだけれど、個人的にはなかなかの作品だと思う。「ならずもの」や「呪われた夜」「ホテル・カリフォルニア」並の名盤、とはさすがにいえないが、70年代バンドの現在形としてはかなり良い出来なのではないかと思う。まあ、少なくとも「ロング・ラン」よりは良い。
良いことは良く、安定したクオリティの曲が並んでいることは確かなのだけれど、突出した曲には乏しいという印象は否めない。イーグルスメンバーはソロでもやっていける人たちなので、これくらいのクオリティを量産することはいくらでもできるのではないか。
AOR的な完成度の高さはあるにしても、ドン・フェルダー不在のせいか、ギター多重録音によるいかにもイーグルスらしいギターロックが少ないのも物足りない。大人の大人による大人のための落ち着いたロック。「How Long」のような初期イーグルス的な爽やかなスタイルもその一曲以外にはなかったのも惜しかった。
そういう意味で、70年代のイーグルスサウンドを求める向きには様々な不満が出る作品だろうとは思うけれど、ドン・ヘンリーの近作とか、最近のメンバーの作品もフォローしている人にとってはそこからの延長として聞くのが適切だと思う。そういう点ではやはりなかなかのクオリティではある。でも、やっぱり一、二枚目の叙情性は薄いし、四、五枚目のころの緊張感はないなあ、と思ってしまう複雑なアルバム。
ただ、「How Long」、「Waiting In The Weeds」そして十分を超える大作「Long Road Out Of Eden」は文句なく名曲。
1. No More Walks In The Wood
アコギのイントロに導かれて、メンバーのコーラスのみによって構成されたイントロ。メッセージ性の強い曲。
2. How Long
初期を思わせる爽やかな叙情性が魅力的で、こういう曲がもっと聞きたかったと思う。J・D・サウザーの曲らしい、そのうちサウザーも聴いてみるかも。
3. Busy Being Fabulous
軽快さのあるポップな曲調で、気持ちよくギターが響く。
4. What Do I Do With My Heart
グレン・フライによる非常に洗練された落ち着いたバラード。後半のドン・ヘンリーとグレン・フライによるデュエット展開が良い。
5. Guilty Of The Crime
ジョー・ウォルシュのヴォーカルによるギターもハードな一曲。ピアノも軽快でオールドタイプな曲調がいかにも、という印象。
6. I Don't Want To Hear Any More
ティモシー・シュミットヴォーカルで、「ロング・ラン」でもあったような都会的なバラード。作曲者のポール・キャラックというのは、マイク&ザ・メカニクスの人か?
7. Waiting In The Weeds
ヘンリーのヴォーカルが光る名バラード。アコースティックを基調にした静かなバッキングに、ヴォーカル、コーラスが沁みる。
8. No More Cloudy Days
これも穏やかな曲調、サックスソロなど出てきたりして、いかにもAOR的。
9. Fast Company
ドンの裏声なのか、そういう声で皮肉な曲調。
10. Do Something
これも柔らかい印象のティモシーの曲。
11. You Are Not Alone
落ち着いたバッキングで、良い歌であることは確かなんだけど、この種の曲が多すぎてあまり印象に残らない。
1. Long Road Out Of Eden
このアルバムの核となる大作。勿体つけたイントロから、徐々に盛り上がっていく歌メロと演奏がかなり良い。
2. I Dreamed There Was No War
大作の余韻を引き継ぐように、アコースティックギターによるインスト。この流れはなかなか良い。
3. Somebody
ハードめの曲で、ギターも活躍。
4. Frail Grasp On The Big Picture
これもギター重視のハードな曲。
5. Last Good Time In Town
軽快でポップな曲。
6. I Love To Watch A Woman Dance
懐古調で穏やかな曲で、これもなかなかの曲だなという感じ。
7. Business As Usual
ややハードなドン・ヘンリー作らしい皮肉な曲調の一曲。
8. Center Of The Universe
抑えめの演奏で、シリアスな曲調。
9. It's Your World Now
ボーナストラックをのぞき最後の曲。だが、なぜか南国調。一休み、という感じだろうか
10. Hole In The World
コーラスの綺麗な曲で、911以降を意識した曲らしい。ボーナストラックだが、これの方がラストらしい曲に感じる。
やはり、曲のクオリティはそれなりに高いものの、似た曲が多く、埋もれてしまう感じがある。悪くはないんだけど、もうひとつ足りない感じがしてしまうなあ。
Youtubeにあった、「How Long」のライブ二種。現在のと初期のもの。
The Eagles-How Long(live on CMA)
'How Long' The Eagles live 1973