Collage - Moonshine

Moonshine

Moonshine

サテライトの前身バンド、コラージュのセカンドアルバム、1994年リリース。

サテライトではよりモダンでデジタルな音を取り入れ、タイトかつハードめな方向性だったけれど、今作ではストリングスシンセというのか、オーケストラみたいなキーボードサウンドが大仰かつシンフォニックに盛り上げる点が大きな違いか。

一種過剰なスケール感が魅力で、曲の出来もメロディに関してはサテライトより印象的かな、という印象。もちろん、エレクトリックギターの切り込むような鋭い演奏が気持ちよいところはサテライトと同じ。

このリマスター盤はボーナストラックとボーナス映像をCDエクストラとして収録している。

1曲目のHeroes Cryは、いきなり大仰なシンセストリングスが鳴り渡るイントロが印象的。叙情的に展開するメロディが良いのはいかにもこの人たちの曲だなという感じがする。シンセストリングスと天まで昇るようなハイトーンのギターサウンドの絡みがなかなか幻惑的で良い。

2.In Your Eyes
アコギのイントロからドラマティックに盛り上がり、かと思うと中盤でどこか牧歌的な展開になるなど、叙情性とハードなアンサンブルが繰り返し入れ替わる大曲。キーボードの闊達なソロやピアノの音色など、キーボードの活躍が良い。

3.Lovely Day
シームレスにつながるこの曲は、アコギ、ピアノなどのAcousticな響きを生かした、牧歌的な歌もの。

4.Living In The Moonlight
バンドお得意の夜のイメージをまとったミディアムテンポの曲調。私の個人的な趣味だと、Collageの曲でこのヴォーカルの人はちょっと声が荒いなあと思うことがある。パワフルなんだけど、叙情的な面で弱いというか。良い曲だけど。
しかし、ヴォーカルの人のエアバンド面白すぎる。

5.The Blues
で、前曲のラストを切り裂くようにパワフルかつスピーディなギターサウンドが主役のこの曲へとつながる。力強いヴォーカルパートが終わると、キーボードとギターのソロの応酬から、ギターの独壇場へ展開して、これでもかとソロを披露する。しかし、キーボードサウンドの大仰さはほんと凄いな。

6.Wings In The Night
序盤のスローテンポなヴォーカルパートから、速度あがる場面の展開の仕方がなかなか格好いい。中盤からの歌メロが非常に印象的で良い。後半のドラマティックに展開するところでのキーボードの演奏がおもしろい。最後の締めもむやみに壮大だ。

7.Moonshine
大音量でシリアスに迫ってくるイントロから切迫した雰囲気が立ちこめる。歌メロもなかなかの迫力だ。穏やかなパートでのシンセフルートはややペラい気がする。後半でハードに展開した後、きらきら音をさせながら静かに演奏が退潮していく。

8.War Is Over
前曲の後を接いでアコギから始まるのこ曲は、前曲までのシリアスなムードを一気に穏やかに変えてしめやかなエンディングを飾っている。歌のメロディも穏やかにタイトルをリフレインし、優しげな雰囲気を放つ。歌詞を読んでいないからわからないけれど、このアルバム自体が全曲つながっているし、コンセプトアルバムというわけで、そのエンディングとしてこの曲があるのだろうか。さて、このアルバムで一番感動的なのは、歌が大盛り上がりになって、楽しげにタイトルを皆で合唱した後に、アコギや笛やアコーディオンでエンディングパートのアンサンブルを奏でるところだ。爽快で楽しげなメロディはアイリッシュトラッドみたいで、とてもすばらしい。

9.Almost There
全曲の最後に一分の無音を挾んで、ボーナストラック。シンセストリングスで幕を開ける大仰なサウンドのいかにもな一曲だ。これも佳曲。


90年代プログレの代表的な作品として知られるアルバムで、非常に評価が高い今作は確かにかなりのクオリティだ。大仰なシンセと鋭いギターサウンドが絡まる作風はこの手のもののひとつの頂点だろうと思う。Satellite時代もいいが、Collageも面白い。

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