Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion-

Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion-

Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion-

エロゲーメーカー、ニトロプラスのBL部門ニトロプラス・キラルから出たゲーム、「Lamento」のサウンドトラック、2006年リリース。

もちろん、ゲームはやったことがない。なぜこれを聴いたかというと、ZIZZ STUDIOのサントラのうちで、先日紹介したミスター・アストゥーリアス、大山曜の提供曲が多く、全体のおよそ半分を担当しているアルバムだからだ(時間にすれば、CD二枚組の内まるまる一枚分が大山作曲になる)。また、現アコアスのメンバーも参加しており、川越好博、筒井香織はいくつかの曲を提供しており、伊藤恭子は曲こそ提供していないけれど、演奏には数曲で参加しており、アコアス全メンバーが勢揃いしているアルバムでもある。また、アコアスのアルバムに収録された「Coral Reef」の別バージョンも収録されている。

音はヘヴィなエレクトリック路線から、Acousticな穏やかなサウンドまでが収録されており、結構な高品質なうえ、五曲のヴォーカル曲(ラテン語や英語詞などが中心)がどれも秀逸で聴き応えがある。また、それ以外にも声を活用した曲もあり、サントラとしてかなりの本気度を見せた一作。スパニッシュケルト、ということらしく、それをイメージしたアコギの曲も良いし、バリバリのエレクトリック路線の曲にヴァイオリンが絡んだりするアレンジも面白いし、生楽器を多用した落ち着いたサウンドはやはりかなりレベルが高いと思う。

ただ、個人的にはやはり未プレイのゲームのサントラということで、曲単体でスリリングに聴かせるというほどのものはなく、確かに大山作曲のものは大山らしさみたいなものが感じられるものの、メロディについてもアストゥーリアスで見せた神がかったクオリティはなかった。サントラをまったく思い入れのない状態で聴くのはやはりちょっとむずかしい者があるなと思った。

大山曜自身も、サントラ仕事、依頼された曲に関しては公式ブログで触れることはほとんどなく、「アストゥーリアス」としては限定的な位置付けだと書いている。

しかし、まあそれは「アストゥーリアス」と比較するからであって、これ、たぶんサントラとしてはかなり意欲的だとは思う。これらの曲が、もしゲームのなかでかかったらやっぱり結構驚くだろうという曲だ。

で、ヴォーカル曲がかなり良い。
ワタナベカズヒロいとうかなこが参加しているのだけど、どれも良い。特に好きなのは、ワタナベカズヒロの「Temple Of Soul」とワタナベといとうかなこの「When The End」か。ワタナベカズヒロの声はクセがあってやや好みが分かれると思うけれど、この声はロック向きだ。「When The End」はデュエットを生かした名曲。冒頭のいとうの「Lamento」も一曲目からヴァイオリンが入り、ラテン語で歌われる衝撃的な曲だ。ベースも良い。
Temple Of Soul

When The End

サントラということを充分認識していれば、これはなかなかいい作品だとおもう。ただ、アストゥーリアスレベルを期待してはいけない。

公式サイトの紹介ページ。各曲のクレジットは以下参照。
http://www.zizz-studio.com/discography.php?id=42

なお、大山氏がブログで紹介していたので知ったのだけれど、以下のサントラはエンディング以外はすべて大山曜作曲によるほぼ単独作のサントラらしい。
「破天荒遊戯」サントラ : Asturias

TVアニメーション『破天荒遊戯』サウンドトラック

TVアニメーション『破天荒遊戯』サウンドトラック

これもやはりケルト系アコースティックサウンドらしい。Lamentoに比べるとジャケはキツイが、ちょっと気になる。というか、BLゲームのジャケの方がはるかに買いやすいんだけれど、それはどうなんだろう。