Chrono Cross Original Soundtrack

未プレイゲームサントラその二。なんかもはやゲームミュージックの大御所的存在と目されている様子の光田康典によるクロノクロスのサントラ。1999年リリース。
まあ、とりあえず何も言わずにこの映像を見てくれ。

これ聴いたときは本当に唖然としたね、あまりに凄くて。民族音楽的要素をごった煮にしたような感じで、アイリッシュもあるだろうけれど、序盤の篠笛、そしてラスト2:20秒から切り込む尺八(!)という無国籍ぶりにたまげる。悲しげなイントロからドラマティックに展開し、ストリングスの旋律、笛の切ない音色、重いパーカッションなどなど、いろんなアイデアが二分三十秒に詰め込まれていて、圧倒的な密度でおそってくる。最近聴いたアコースティックインスト大賞を、アコアスのRyu-Hyoと並んで授賞したい。
ちなみに、アコギ、ブズーキを吉良知彦、ベースを渡辺等、とザバダック人脈も参加。(吉良氏はわりとちょこちょこ光田氏の仕事に参加しているみたいだ)

この曲だけでも買う価値ありのこのサントラ、ディスク三枚組での圧倒的なボリュームは、ゲーム未プレイの身としてはなかなか曲が馴染まなくて大変だった。曲が多いし、知らない曲だし、サントラである以上、やはりゲームとのマッチングがあるわけで、単体で聴くと、なかなかむずかしい。

それに、私は光田氏の音楽はクロノトリガーしか知らない。トリガーはテーマはもちろん、
カエルのテーマ

黒の夢

風の憧憬
などなどの名曲は今でも印象深い。ある意味こうしたゲームミュージックらしいものを期待すると、かなり感じが違うので、そこもちょっとつまずいた。

それにしても、結構聞き込んでみると、どの曲も落ち着いたメロディが沁みてくる。ゲームミュージックらしくないのが、このサントラの特徴だろうか。派手でアッパーなシンセサウンドが迫力いっぱいで迫るというのとはかなり毛色が違う。

かなりの部分、アコースティックなサウンドが優しい民族音楽調で固められている。また、エレクトリックギターも効果的にいくつかの曲で用いられている。そして、このサントラ、opとヴォーカル曲をのぞきほとんど打ち込みで作られているのだけれど、それをまるで感じさせないクオリティで、そのことにさらに驚く。生音に近づけるのにかなり苦労した、というが、かなり報われていると思われる。

クロノトリガーはわり思い出深いゲームでもあり、クロノトリガーのテーマのアコギ変奏曲である「クロノマンティーク」は秀逸なアレンジ、また「時のみる夢」でのやや民族音楽調のテーマ変奏も良い。

他にも、「ガルドーブ」のホーム、アナザーの二曲や、「航海」のホーム(エレキギターが軽快で良い)、アナザーなどが気に入っている。ギターといえば、「Magical Dreamers 〜風と星と波と〜」での光田氏がマイク・オールドフィールド風の音色と言う、ギターサウンドも良い。他にも、パーカッションをフィーチャーした「疾風」や、マリンバの響きが印象的な「世界のへそ」「Fates〜運命の神〜」はリズミカルなサウンドが良い。

というか、曲数が多すぎて、まだまだ絞り切れていない。ただ、それにしてもクロノトリガーの方が、これは、という曲が多かった気がする。クロスは、良くも悪くもゲームミュージックっぽくないと思う。取りが^的なゲームミュージックらしい光田サウンドも聴いてみたいが。

まあ、まだまだ聞き込む余地はある大ヴォリュームのアルバムだ。それにしてもこれで三千円ちょっと、という価格は良い。ゲームミュージックは複数枚でも安い(四枚組で三千円台とか!)のだけれど、なぜだろうか。先日も紹介したアニメのサントラとかは、2クールものとかならだいたい二枚以上になるのに、一枚ずつ三千円ずつでリリースされるのがどうにも不思議だ。邦楽の五年も活動していないようなミュージシャンのベストを、二枚組にしないで一枚ずつ三千円で別売りするのと似た阿漕感がある。

それはそれとして、このトリガー、クロスのオーケストラアレンジは素晴らしい。


というか、Amazonではクロノトリガーのサントラが未だにゲーム部門で19位、クロスが25位という順位をマークしていて、十年前のゲームがこの順位というのは驚愕だ(おとといくらいにみたときはそれぞれ17.21ともっと上だった)。